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フリーランスとして5年。「このままでいいのか」と思い、社内SEを選んだ理由
フリーランスという働き方は、自由で魅力的だ。案件を自分で選び、技術スタックも自分で決め、単価も高い。「会社員には戻れない」と感じているエンジニアも多いはずだ。
しかし、ある程度キャリアを積んだタイミングで、ふとこんな疑問が頭をよぎることがある。——「このままでいいのか?」
今回お話を聞いた中村恒一さん(35歳)は、フリーランスエンジニアとして約5年間、スタートアップ案件を中心に安定した収入を得ていた。それでも、キャリアの転換を決断した。現在は東京都内の事業会社で社内SEとして働き、自社のtoCプロダクトの開発・改善に携わっている。
「自由」と「安定」のはざまで揺れたリアルな意思決定。その背景にある考え方と、社内SEとして働く現実を率直に語っていただいた。

【転職者情報】
氏名:中村 恒一(なかむら こういち)
年齢:35歳
居住地:東京都
現職:社内SE(事業会社・toCサービス)
前職:フリーランスエンジニア(約5年)
エンジニア歴:12年
技術スタック(現在):React / Next.js、Go / Node.js、AWS(ECS / RDS / S3)
参画企業:従業員500名規模、自社Webプロダクトあり

エンジニアとしての原点——「作ること」の面白さに気づいた学生時代
Q. エンジニアになったきっかけを教えてください。
「大学時代にWebサイトを趣味で作り始めたのがきっかけです。PHPとMySQLで簡単な掲示板を作ったとき、『自分が書いたコードがブラウザで動く』という感覚が純粋に楽しくて。それが原体験ですね」
卒業後は中規模のSIerに新卒で入社。Java中心のシステム開発に携わりながら、業務外ではReactやNode.jsを独学。3年ほどで「もっとモダンな技術を使った開発がしたい」という思いが強くなった。
フリーランスへの転身——「自由と高単価」を求めて
Q. フリーランスになった理由は?
「正直に言うと、最初のモチベーションは単価と自由度でした。当時の会社では、やりたい技術スタックをなかなか使わせてもらえなかったんです。フリーランスなら案件を選べる。TypeScriptもReactも、自分から提案できる。そのギャップが大きかった」
転身してすぐ、月単価は会社員時代の1.5倍以上になった。スタートアップの新規プロダクト開発に携わることが多く、React / TypeScript / AWS(Lambda・API Gateway・DynamoDB)を使った開発が中心。「技術的にも成長できているし、収入も上がった。当時はフリーランスの選択を疑ったことはなかった」と振り返る。
フリーランス5年間のリアル——良かった点と、積み重なった「違和感」
Q. フリーランスとして良かった点を教えてください。
フリーランスとして働いた約5年間、中村さんが感じていたメリットは明確だ。
- 案件選択の自由度が高く、興味のある技術・ドメインを選べた
- 単価が高く、収入の上限が見えやすかった
- 技術選定に深く関与でき、スキルアップが早かった
- 特定の組織文化に縛られず、複数の現場を経験できた
Q. 一方で、課題や違和感を感じていたことはありますか?
「3〜4年目ごろから、じわじわと感じ始めたことがあって。それは『自分のキャリアが積み上がっている感覚がない』ということでした」
案件は半年〜1年ごとに切り替わることが多く、プロダクトに深く関与しきれないまま終わる。次の案件では環境がリセットされ、また一からキャッチアップが始まる。その繰り返しに、どこか空虚さを覚えるようになったという。
「プロダクトの成長を見届けられないんですよね。リリース直後に案件が終わって、その後どうなったか分からないことが続いた。技術的な達成感はあるんですけど、事業として意味があったのかどうかが見えない。そこに物足りなさを感じていました」
さらに、将来に対する不安も徐々に大きくなっていった。
「フリーランスって、今の案件が終わったらどうなるか分からない。案件が途切れたことはなかったけど、それがずっと続く保証はどこにもない。35歳を超えてスキルが合わなくなってきたとき、自分はどうなるんだろう、と」
フリーランスの「隠れたコスト」
高単価・高自由度の裏には「プロダクトとの断絶」「キャリアの不連続性」「将来の不確実性」という3つのコストが存在する。これらは短期では見えにくいが、5年・10年のスパンで積み重なっていく課題だ。

転機——「10年後の自分」をイメージできなかった
Q. 社内SEへの転職を意識し始めたきっかけは何ですか?
「決定的だったのは、パートナーとの結婚を意識したタイミングです。将来の家族のことを考えると、今の働き方を10年続けるイメージがどうしても持てなかった」
これは単純に「安定志向になった」ということではない、と中村さんは強調する。
「フリーランスが嫌になったわけじゃないんです。ただ、自分のキャリアをどう積み上げていきたいか、という問いを立てたとき、今の働き方だと答えが出なかった。技術スキルはある。でも、事業やプロダクトへの深い関与という点では、明らかに蓄積が浅い。そこに不安を感じていた」
思考の軸が「今、いくら稼げるか」から「10年後、どんな人材になっているか」へとシフトしていったのだ。
エージェントとの出会い——「売られた」のではなく「整理された」
Q. エージェントを利用したきっかけを教えてください。
「最初はフリーランス案件の紹介サービスとして登録していたんです。ところが担当の方から『今後のキャリア全体についても話しませんか』と声をかけていただいて。それが最初の接点でした」
最初の面談では、転職の意思確認よりも「今どんなことに悩んでいるか」「5年後・10年後のキャリアイメージはあるか」といった問いが中心だった。これが他のエージェントとは大きく異なったと言う。
「正直、最初は転職する気なんてなかったし、『また求人を勧めてくるだけでしょ』と思っていました。でも担当者は一切そういう話をしなかった。ひたすら自分の状況を整理してくれた。今のフリーランスの良い点・悪い点、何を大切にしたいか、を一緒に言語化してくれたんです」
その後、社内SEというキャリアパスについての情報提供を受けながら、約2ヶ月かけてじっくりと方向性を固めていった。
社内SEという選択——転職で不安だったこと
Q. 転職を決めた理由を教えてください。また、不安はありましたか?
「一番の理由は、プロダクトに長期的に関与できること。フリーランス時代に感じていた『リセットされる感覚』がなくなる環境が欲しかった。あとは、技術だけでなく事業の視点も持てるようになりたかった。社内SEなら、開発の上流からリリース後の改善まで一気通貫で関われますから」
一方で、不安もゼロではなかった。
主に感じていた懸念点:
- 年収がフリーランス時代より下がる可能性
- 自由な技術選定ができなくなるのでは、という懸念
- 組織のペースに合わせた動き方への適応
- フリーランスに戻れなくなるのでは、という恐れ
「エージェントさんには、年収についても正直に相談しました。結果として、前職とほぼ同水準の条件で入れる企業を紹介してもらえた。もちろん月単価換算では若干下がりましたが、福利厚生や安定性を加味すると、トータルでは遜色ない水準でした」

社内SEとして働いてみてわかったこと——理想と現実
Q. 転職後の業務内容と、働いて感じたことを教えてください。
現在は、React / Next.js(フロントエンド)とGo / Node.js(バックエンド)を使いながら、AWSインフラ(ECS / RDS / S3)の管理も担当。フルスタックに近い形で、プロダクト全体に関与している。
「技術的には、フリーランス時代より幅が広がりました。特にGoを業務で使うのは初めてで、最初は苦労しましたが、チームで学べる環境があるのは助かっています。フリーランスだと、技術的な壁は基本的に一人で乗り越えなきゃいけないので」
Q. 転職して感じたギャップ(良い点・悪い点)はありますか?
▼ 良かったギャップ
- プロダクトの改善が数字に出たとき、達成感が桁違い
- チームで意思決定できる。フリーランス時代は外部委託扱いで声が通りにくかった
- 中長期のロードマップを一緒に考えられる環境
▼ 想定外だった点(課題)
- 技術選定は完全に自由ではない。既存システムへの制約がある
- 社内調整のコストがフリーランス時代より大きい
- 幅広い業務を担当するぶん、特定技術の深掘りが難しい場面も
「社内SEが「楽」だという情報も目にしますが、私の場合は全然そんなことない(笑)。むしろやることが増えた感覚がある。でも、忙しさの質が変わったんですよね。フリーランス時代の忙しさは『次の案件どうしよう』という不安と常にセットでしたが、今は純粋に仕事に向き合える」

今後のキャリアと、同じ悩みを持つ人へのメッセージ
Q. 今後はどんなキャリアを考えていますか?
「技術をベースにしながら、プロダクトマネジメントの領域にも関わっていきたいですね。エンジニアとして事業課題を解決できる人材になりたい。フリーランス時代の『技術を売る』という感覚から、『技術で事業を作る』という感覚へと変わってきています」
Q. フリーランスとして同じような悩みを持つ方へ、一言お願いします。
「すぐ動かなくていいと思います。フリーランスは悪い働き方じゃないし、自分も今でも良かったと思う部分はたくさんある。ただ、一度立ち止まって『このままのキャリアが10年後に積み上がっているか』を考えてみてほしい。その問いに答えられるなら、続ければいい。答えが出ないなら、整理してみる価値はあると思います」
「あと、エージェントはぜひ使ってほしい。ただし、転職を勧めてくるだけじゃなく、キャリアを一緒に考えてくれる人を選ぶことが大事。私の場合は、そこで考え方が整理できたことが一番の収穫でした」
編集後記
フリーランスエンジニアという働き方は、自由・高単価・技術選定の裁量という点で、多くのエンジニアにとって魅力的な選択肢であり続けるだろう。この記事でもその良さをきちんと描くことを意識した。
ただ、中村さんの話を通じて浮かび上がったのは、「良い働き方」かどうかは時間軸によって変わる、という視点だ。今この瞬間の最適解が、10年後のキャリアにとっても最適とは限らない。
フリーランス継続か、社内SEへの転換か。この二択は対立ではなく、「どんなキャリアを積み上げたいか」という問いへの、それぞれの答えに過ぎない。まず自分に問いを立ててみること——それが、この記事が届けたいメッセージだ。
フリーランスから社内SEへの転職を考えている方へ
社内SE転職ナビでは、フリーランスエンジニアの方のキャリア相談を無料で承っています。転職を決めていない方でも、今後のキャリアを整理したい方はお気軽にご相談ください。
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※掲載している写真・はイメージです。インタビュー内容とは直接関係ありません。



