社内SEに求められるコミュニケーション力とは?現場で使える4つの力と改善法

社内SEに求められるコミュニケーション力とは?現場で使える4つの力と改善法

社内SEとして評価されるためには、技術力や知識だけでなくコミュニケーション能力も必要です。技術と業務の橋渡し役として、社内のさまざまな部門と円滑に連携し、システムの導入や運用をサポートしなければならないからです。

本記事では、社内SEに必要なコミュニケーション能力とその具体的な向上方法、実際の現場で直面する課題と解決策について解説します。コミュニケーションに課題のある社内SEの方は最後までご覧ください。

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社内SEに求められるコミュニケーションスキル

社内SEに求められるコミュニケーションスキルは、主に以下の4点です。

  • 技術と業務を橋渡しするスキル
  • 非技術者にもわかりやすく説明するスキル
  • ユーザーのニーズを的確に把握するスキル
  • 組織全体のIT要件を統合するスキル

順番に詳しく解説します。

技術と業務を橋渡しするスキル

社内SEの最も重要な役割のひとつが、IT技術と業務の橋渡しです。社内SEは、IT関係の技術的な用語を業務部門の方が理解できる言葉に「翻訳」しなければいけません。「APIの連携が不安定」という技術的な問題を「部門間でデータがうまく受け渡されていない」と言い換えるなど、相手の理解度に合わせた言葉選びが求められます。

業務部門から寄せられる要望や課題をヒアリングし、実現可能なITソリューションに落とし込む能力も重要です。システム導入や改修が業務プロセスにどのような影響を与えるのかを予測し、関係者にわかりやすく説明するスキルも求められます。社内SEのコミュニケーションスキルは、IT化を推進する企業にとって重要な要素なのです。

非技術者にもわかりやすく説明するスキル

システムやITの専門知識を持たない社内ユーザーに対しては、専門用語を極力避け相手のレベルに合わせた説明が必要です。「サーバーのメモリ不足によるパフォーマンス低下」ではなく、「システムの処理能力が限界に達し、動作が遅くなっている」といった言い換えを心がけましょう。

説明の深さや表現方法も、相手に合わせて調整する必要があります。経営層には全体像とビジネスインパクトを簡潔に、実務担当者には具体的な操作方法や変更点を詳細に説明するなど柔軟な「伝え方」が求められます。

システムの障害など、ユーザーに不便が生じる可能性のある事柄については丁寧な説明が必要です。理由や想定される復旧時間、代替手段の有無を含めた情報を提供しましょう。

ユーザーのニーズを的確に把握するスキル

社内ユーザーのニーズを把握するには、表面的な要望だけでなく背景にある本質的な課題や目的を深掘りする質問力が必要です。「新しいシステムが欲しい」という要望の裏には、「現行システムの操作が複雑で時間がかかる」といった具体的な問題が隠れている場合もあります。

「5W1H」を意識した質問を重ねれば、本当に解決すべき課題が見えてきます。表面的な「欲しいもの」と本質的な「必要なこと」は往々にして異なるため、この見極めが重要です。

また、複数の部署や担当者から異なる意見や要望が寄せられることも少なくありません。共通する課題や目的を見出し、最適な解決策に集約する調整力も求められます。

組織全体のIT要件を統合するスキル

社内SEは、各部署の個別最適だけを考えるのではなく、会社全体のIT戦略を考慮した提案が求められます。ある部署だけに特化したシステム導入が、全社的なセキュリティポリシーやデータ連携の観点から問題を生じさせる可能性もあるからです。

部門間の利害関係や優先順位を理解し、全体最適の観点から調整・交渉する能力も求められます。顧客データの柔軟な活用と、セキュリティ強化といった相反する要件を調整し、双方が納得できる落としどころを見つける交渉力が必要です。

経営層や他部門に対して、IT投資の必要性や効果を論理的に説明し合意形成を図る能力も重要です。経営視点でのメリットを明確に伝えられれば、予算獲得や全社的な協力につながります。

筆者が社内SE時代に直面したコミュニケーション課題

筆者が社内SE時代に直面した代表的なコミュニケーション課題は以下の4つです。

  • 技術用語と業務用語のギャップ
  • 部署間の優先順位の相違
  • リモートワーク環境での意思疎通の困難さ
  • 過剰な業務負荷による対応遅延

順番に見ていきましょう。

技術用語と業務用語のギャップ

IT部門と業務部門の間には、使用する言語に大きなギャップがあります。当たり前のように使っていた「API」「バッチ処理」「レスポンスタイム」といった技術用語が、ユーザー部門の方々にはまったく通じず、説明に苦労した経験があります。

逆に、ユーザー部門が使う業界特有の専門用語や略語が理解できず、要件把握に時間がかかったケースもあります。経理部門の「仕訳」や「消込」、営業部門の「アップセル」「クロスセル」など、各部署特有の用語を理解するまでに時間を要しました。

このような用語のギャップがあると、要件定義の段階で誤解が生じ、開発したシステムが実際のニーズと合わず手戻りが生じる場合もあります。曖昧な表現はそのままにせず、具体的な確認作業が必要です。

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部署間の優先順位の相違

社内SEとして頭を悩ませたのが、各部署からの「最優先」という依頼の調整でした。営業部からは「顧客対応に直結するから最優先」、経理部からは「月次決算に間に合わせる必要があるから最優先」など、それぞれが自部署の業務を最も重要と考えるのは仕方ありません。

年度末に経理システムの改修と営業支援システムの機能追加が重なった際には、経理の決算業務を優先せざるを得ませんでしたが、営業部門からは強い不満の声が上がりました。

また、計画的に進めるべき中長期プロジェクトと、日々発生する緊急対応のバランスを取るのも難しい課題でした。どちらも重要ですがリソースは限られているため、経営層を巻き込んだ全社的な優先順位付けが必要でした。

リモートワーク環境での意思疎通の困難さ

リモートワークの導入は新たなコミュニケーションの課題をもたらしました。対面で行っていた打ち合わせや相談が、テキストチャットやビデオ会議に置き換わる中で、特有の難しさが生じたからです。

チャットでのやり取りでは、相手のニュアンスや感情が読み取りにくく、誤解が生じることがありました。文字だけでは伝わりにくい複雑な説明を、図や画面共有なしで行おうとして混乱を招くこともありました。

オフィスであれば気軽に声をかけて確認できる小さな疑問や確認事項も、リモート環境では「わざわざ連絡するほどでもないか」と後回しになりがちです。オンライン会議での発言タイミングも独特です。チームの一体感や関係性の構築が難しくなったと感じることも少なくありませんでした。

過剰な業務負荷による対応遅延

社内SEの業務は、日々のヘルプデスク対応やシステム導入・改修プロジェクト、インフラ管理、セキュリティ対策など、さまざまな役割を少人数で担当しており常に時間との戦いでした。

特に厳しかったのは、複数の大型プロジェクトが並行して進む中で、日常的なユーザーサポート業務も滞りなく対応しなければならない状況です。優先度の高いプロジェクト業務に集中している間に、メールやチャットでの問い合わせが溜まり、返信が数日遅れるということもありました。

キャパシティオーバーの状態が続くと、単に対応が遅れるだけでなく、丁寧なコミュニケーションを取る余裕も失われます。質問に対する簡潔すぎる回答や説明不足、感情的な対応など、当時を振り返って反省するばかりです。

効果的な社内SEコミュニケーション改善方法

社内SEのコミュニケーション改善に効果的な方法の例を3つ紹介します。

  • 定期的なユーザーミーティング
  • コミュニケーションツールの戦略的活用
  • IT専門知識の見える化と共有

上記の点について詳しく解説するので、ぜひご活用ください。

定期的なユーザーミーティング

コミュニケーションギャップを埋める効果的な方法が、定期的なユーザーミーティングです。部署ごとや主要なシステムごとに、月次や四半期ごとの情報交換会やヒアリングの場を設定して、問題の早期発見・対応に活かしましょう。

IT部門からの情報提供と、ユーザー部門からの要望や課題の吸い上げを行います。「IT推進協議会」のような名称で各部署のキーパーソンを集めた定例会議を設け、IT戦略の共有や部門横断的な課題解決の場を設けるのも効果的です。

ミーティングでは事前に議題を収集し、参加者全員が発言できる機会の提供が大切です。技術的な話題と業務的な話題のバランスを取り、双方が関心を持てる内容にすれば参加者の意欲も高まります。

コミュニケーションツールの戦略的活用

コミュニケーションツールの選択と、活用ルールの明確化も重要です。「何のために、どのツールを使うか」を組織内で統一すれば、情報のちらばりや混乱を防止できます。

システム改修依頼や不具合報告はチケットシステム、緊急対応はチャット、正式な連絡や全社への通知はメールというように、目的に応じたツール選定が必要です。対応状況や優先順位が可視化されるダッシュボードを導入すれば、ユーザーが自分の依頼の進捗を確認できます。

FAQやナレッジベースの整備も、問い合わせの負荷軽減に効果的です。よくある質問や操作方法、トラブルシューティングのガイドを社内ポータルなどで公開し、ユーザーが自己解決できる環境を整えましょう。

IT専門知識の見える化と共有

IT用語や社内システム構成に関する知識を、非IT部門のメンバーにも理解しやすい形での共有も効果的です。社内システム構成図や、よく使われるIT用語の解説集などを分かりやすく作成し、社内ポータルサイトなどで公開しましょう。

新入社員向けや希望者向けに、基本的なIT知識や社内システムに関する勉強会の定期開催もおすすめです。「ITリテラシー向上セミナー」のような形で、実務に役立つIT知識を提供すれば、ユーザーの自立度向上とIT部門への理解促進につながります。

新システム導入や大きな改修の際には、具体的に「このシステムによってどのような業務改善が期待できるのか」を示すことで、ユーザーの協力を得やすくなります。

コミュニケーションスキル向上のために取り組んだこと

筆者がコミュニケーションスキルを向上させるために、個人的に取り組んだことは以下の3つです。

  • カウンセリングや心理学の学習
  • 傾聴を学び聞く力を向上
  • 落語を見て伝え方のレベルアップ

それぞれについて詳しく解説します。

カウンセリングや心理学の学習

技術者として論理的思考に慣れていた私にとって、感情や立場の違いへの理解は苦労しました。そこで、基本的なカウンセリング理論や心理学を学び、相手の立場や感情を理解するための共感力や思いやりを身につけようと考えたのです。

具体的には、「カウンセリング」や「アドラー心理学」などの基礎を学び、コミュニケーションにおける自分のパターンや癖の理解から始めました。学びの中で自分には「批判的な目線」を持ちがちであると気づき、意識的に対等なポジションでコミュニケーションを取るよう心がけるようになりました。

また「コーチング」の学習を通じて、相手の考えを引き出す「質問力」も身につけました。結果、現場の担当者が深い考えまで話してくれるようになったのも記憶に残っています。

傾聴を学び聞く力を向上

「説明する」ことに長けている私は、「聞く」ことの重要性に気づいていませんでした。ユーザーの話を途中で遮り、自分の解決策を急いで提示してしまう傾向があったのです。この課題を克服するには傾聴スキルの向上が効果的でした。

まず、相手の話を最後まで遮らずに聞き、内容を正確に理解するためのトレーニングを行いました。ミーティングで自分が発言する前に「相手の言いたいことを要約できるか」を確認するようになり、自分の解釈と相手の意図のギャップを削減できたのです。

相槌やうなずきなどを用いて、話しやすい雰囲気も意識しました。発言内容だけでなく、声のトーンや表情、姿勢などの非言語情報にも注意を払うようになり、深い信頼関係の構築につながったのです。

落語を見て伝え方のレベルアップ

専門的な内容を分かりやすく面白く伝える技術を磨くには落語が効果的でした。落語家の巧みな話術や表現方法は、技術的な説明をする際にも応用できる点が多かったからです。

まず、聴衆を引きつける「間」の使い方や抑揚のつけ方を観察し、自身の説明に応用しました。重要なポイントを伝える前に少し間を取る、声のトーンを変えるなどの工夫が代表例です。難しい内容を面白く、分かりやすく伝えるための比喩表現も学びました。

落語家が観客の反応を見ながら話の構成や表現を柔軟に変える対応力も有効です。相手の表情を観察して「理解できていない」と感じたら、角度を変えて話せるようになり、「これまでで最も分かりやすい説明だった」と評価されたこともあります。

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まとめ

社内SEに求められるコミュニケーションスキルは、単なる技術的な説明能力を超えた多面的なものです。技術と業務の橋渡しやわかりやすい説明、ニーズの把握といった能力は、社内SEとして成功するための必須要素といってもいいでしょう。

筆者がスキル向上のために学んだカウンセリングや心理学、傾聴力などを参考に、あなたもコミュニケーションスキル向上に取り組みましょう。まずは筆者のように落語を観に行ってみてはいかがでしょうか。

ライター:にのまえはじめ

大手精密部品メーカーで社内SE・PGを経験。その後、国内のSIerに転職し生産管理システムの開発・導入・保守・運用を担当。現在は自らIT企業を立ち上げ、顧客企業のDX化やIT化による業務改善の支援を行っている。並行して企業サイトやWebメディアでライターとしても活動中。趣味は筋トレ・プロレス観戦。
Website:https://writer.yui-road.com/

社内SEに求められるコミュニケーション力とは?現場で使える4つの力と改善法

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