近年、企業の採用活動において注目を集めているのが 「ダイレクトリクルーティング」 です。求人広告や人材紹介といった従来型の採用手法に比べ、企業が自ら候補者にアプローチできる点が大きな特徴であり、採用の効率化やミスマッチ防止につながるとして導入する企業が増えています。
一方で、「そもそもダイレクトリクルーティングとはどのような仕組みなのか」「従来の採用と何が違うのか」「メリット・デメリットは?」といった疑問を持つ採用担当者も多いでしょう。
本記事では、
- ダイレクトリクルーティングの意味・仕組み
- 従来の採用手法との違い
- メリット・デメリット
- 導入の流れや成功のポイント
- 事例や費用感
までをわかりやすく解説します。これから採用手法を見直そうと考えている企業の方は、ぜひ参考にしてください。

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ダイレクトリクルーティングとは?基礎知識を整理
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求人媒体に募集を掲載して応募を待つのではなく、自ら候補者に直接アプローチして採用活動を行う手法を指します。
候補者データベースや転職プラットフォームを活用し、興味を持った人材にスカウトメールを送ることで接点をつくるのが一般的です。
この手法は「攻めの採用」と呼ばれることもあり、従来の「待ちの採用」と対比されます。特に転職市場において、優秀な人材の多くが“潜在層(積極的に転職活動をしていない層)”に存在するため、ダイレクトリクルーティングはその層にリーチできる手段として注目されています。
従来の採用手法との違い
従来の採用活動(求人広告や人材紹介など)は「求職者が応募してくるのを待つ」受動的な仕組みでした。
一方、ダイレクトリクルーティングは 企業から候補者にアプローチできる点で大きく異なります。
以下に、代表的な採用手法とダイレクトリクルーティングの違いを比較表にまとめました。
| 採用手法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 求人広告 | 媒体に募集を掲載し応募を待つ | 応募数を集めやすい、短期採用に強い | 掲載費用が発生、母集団の質を選びにくい |
| 人材紹介 | エージェントが候補者を紹介 | 専門人材を探しやすい、採用工数が少ない | 成功報酬が高額、採用単価が上がりやすい |
| リファラル採用 | 社員紹介で採用 | 自社にフィットする人材が集まりやすい | 社員ネットワークに依存する、規模拡大に限界 |
| ダイレクトリクルーティング | 企業が候補者に直接スカウト | 潜在層へアプローチ可能、採用力の強化につながる | 工数がかかる、スカウトの質で成果が左右される |
このように、ダイレクトリクルーティングは「コスト」「スピード」「人材の質」のバランスをとりながら、自社の採用力を高められる点が大きな特徴です。
ダイレクトリクルーティングの仕組みと流れ
ダイレクトリクルーティングは、単に候補者にスカウトを送るだけの手法ではありません。候補者データベースの活用からアプローチ、面談、そして採用に至るまで、一連のプロセスを理解しておくことが成功の鍵となります。ここでは、一般的な流れをステップごとに整理して解説します。
候補者データベースの活用方法
ダイレクトリクルーティングの第一歩は、転職プラットフォームや自社のタレントプールに登録されている候補者データベースを活用することです。
- 職種・スキル・経験年数などで検索
- 潜在層(まだ転職活動をしていない層)を含めてアプローチできる
これにより、従来の求人広告では出会えない人材にリーチすることが可能になります。
スカウトメール送信のプロセス
候補者を絞り込んだ後は、スカウトメールを送ります。ここで重要なのは テンプレート的な文面ではなく、自社の魅力や候補者のキャリアに沿ったオリジナルメッセージを作ること です。開封率や返信率を大きく左右するため、文面作成はダイレクトリクルーティング成功の要ともいえます。
面談・採用までのステップ
スカウトに返信があれば、カジュアル面談や一次面接へと進みます。従来の応募型採用と比べて、候補者との接点が「応募前」から始まるため、候補者の理解を深めながら信頼関係を築けるのが特徴です。
採用に至るまでの流れは以下のようになります。
求めるスキル・経験・勤務地条件などを設定し、候補者データベースからマッチする人材を探します。
この段階で「必須条件」と「歓迎条件」を整理しておくと、効率よく候補者を抽出できます。
候補者に向けてスカウトメールを送信します。
汎用的なテンプレートではなく、候補者の経歴やキャリアに寄り添った文面にすることで、返信率が高まります。
いきなり選考に進むのではなく、カジュアル面談を設定して候補者と双方向で情報交換します。
候補者は「自分に合う会社か」を判断でき、企業は「自社の魅力を直接伝えられる」場となります。
面談後、双方の意向が合えば通常の選考フロー(面接・適性検査など)へと進みます。
候補者は事前に自社を理解しているため、選考がスムーズに進むケースが多いです。
最終選考を経て内定を出し、採用へとつなげます。
ダイレクトリクルーティングの場合、企業と候補者が早い段階で関係を築いているため、入社後のミスマッチが少ないのも特徴です。
このプロセスを繰り返すことで、短期的な採用だけでなく、中長期的な「自社に関心を持つ人材層(タレントプール)」を形成できる点も大きなメリットです。
ダイレクトリクルーティングのメリット5つ
ダイレクトリクルーティングは、従来の「待ちの採用」では得られなかった成果を実現できる点が魅力です。ここでは、採用スピード・コスト・人材の質といった観点から、企業にとっての5つのメリットを解説します。
1. 採用スピードの向上
求人広告では「掲載 → 応募待ち」というタイムラグが避けられませんが、ダイレクトリクルーティングなら企業が直接動くため、候補者との接点を最短で作ることができます。
特に、競争が激しいエンジニアやデジタル人材の採用では、「スピード感のある声掛け」が内定承諾率を高めるカギになっています。
2. 潜在層へのアプローチが可能
転職サイトや人材紹介を使うと、どうしても「今すぐ転職したい人」ばかりが候補者になります。ところが実際には、優秀な人材の多くは“良い会社があれば動いてみたい”程度の潜在層です。
ダイレクトリクルーティングなら、こうした層に企業から声をかけられるのが強みです。応募を待っているだけでは出会えなかった人材に、スカウトを通じて接点をつくれるため、採用の幅が一気に広がります。
3. 採用コスト削減
人材紹介を利用すると成功報酬が発生するため、1人の採用に高額のコストがかかることがあります。
一方、ダイレクトリクルーティングは「利用料+スカウト数に応じた費用」が中心のため、採用人数が増えるほど1人あたりの採用単価を抑えやすいのが特徴です。
特に複数ポジションで同時に採用活動を行う企業にとっては、トータルコストを効率的に管理できる手法といえるでしょう。
4. 採用ブランディングの強化
スカウト文面や面談を通じて、自社のビジョンやカルチャーを候補者に直接伝えられるため、企業イメージの向上につながります。応募者が「この会社から声をかけてもらえた」と感じることで、好意度が高まりやすいのもポイントです。
5. 採用ノウハウの蓄積
求人広告や紹介に依存せず、候補者検索・スカウト・面談のプロセスを自社で回すことで、採用チームにノウハウが蓄積されます。中長期的には「社内の採用力そのもの」を底上げできるのが大きな価値です。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
メリットが多い一方で、ダイレクトリクルーティングは“始めればすぐ結果が出る”ような魔法の手法ではありません。実際に運用してみると、人事の負担や時間的な制約を感じるケースも少なくありません。ここでは、導入時に注意しておきたいポイントを整理します。
採用担当者の工数が増える
候補者の検索、スカウト文面の作成、返信対応…。求人広告のように「掲載して待つ」だけではなく、毎日の地道な作業が発生します。採用専任がいない企業では、人事担当者が本業と兼務しながら進めることになり、思った以上に負担を感じるケースがあります。
短期採用には向かない
「すぐに1〜2名採用したい」というニーズには不向きです。候補者からの返信を待ち、カジュアル面談を経て関係を築く流れになるため、どうしても一定の時間がかかります。短期決戦型の採用よりも、中長期でじっくり人材を獲得していきたい場合に力を発揮します。
スカウトの質によって成果が左右される
一斉送信のようなスカウトでは、返信がほとんど返ってこないことも珍しくありません。候補者の経歴に目を通し、関心を持ちそうなポイントを押さえたスカウトを作る必要があります。ここを手抜きすると、工数だけかかって成果が出にくくなります。
タレントプール形成に時間がかかる
スカウトを送った相手がすぐに転職を考えているとは限りません。むしろ「今すぐではないけど覚えておきたい」という人が多く、成果が見えるまで時間がかかります。ただ、その積み重ねが将来の採用母集団(タレントプール)を作ることにつながるので、継続する意識が欠かせません。
他の採用手法との比較
ダイレクトリクルーティングを理解するには、求人広告・人材紹介・リファラル採用といった従来手法との違いを整理することが欠かせません。ここでは「それぞれの特徴」「メリット・デメリット」「ダイレクトリクルーティングが向いているケース」を具体的に比較します。
求人広告との違い
求人広告は、媒体に掲載して「応募を待つ」仕組みです。短期採用や応募者数を増やす目的には適していますが、母集団の質をコントロールしにくいのが課題です。
一方、ダイレクトリクルーティングは「企業が候補者を選ぶ」採用手法。応募待ち型に比べて、質の高い母集団形成が可能です。
人材紹介との違い
人材紹介は、エージェントが候補者を推薦するサービスで、企業の工数が少なく済むのがメリットです。
ただし、成功報酬が高額になりやすく、採用単価が上がる点がデメリット。
ダイレクトリクルーティングは初期工数は必要ですが、長期的にはコスト効率が良く、自社に採用ノウハウを蓄積できるのが違いです。
リファラル採用との違い
リファラル採用は社員の紹介を通じて人材を獲得する仕組みで、カルチャーフィット度の高い人材を採用できる点が強みです。
ただし社員の人脈に依存するため、採用人数を拡大するのが難しい場合があります。
一方、ダイレクトリクルーティングは幅広い候補者層にアプローチできるため、母集団形成の柔軟性に優れています。
ダイレクトリクルーティングの費用相場
ダイレクトリクルーティングを検討するとき、多くの企業が気になるのが「費用感」です。求人広告や人材紹介と比べると、費用の体系が異なるため、あらかじめ仕組みを理解しておく必要があります。ここでは、一般的な料金体系とコスト削減の考え方を解説します。
主な料金体系
ダイレクトリクルーティングの費用は大きく3種類に分けられます。サービスによって料金モデルは異なるため、相場感と向いているケースを把握しておくと検討しやすくなります。
| 料金体系 | 概要 | 相場感の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 月額利用料型 | 候補者データベースやスカウト機能を一定期間利用できる | 月額数十万円〜(データベース規模によって変動) | 通年で中途採用を行う企業、複数ポジションを同時に募集する企業 |
| スカウト課金型 | 送信したスカウト数や開封数に応じて課金される | 1通あたり数百円〜1,000円前後 | 採用人数が少ない企業、必要なときだけスポット利用したい場合 |
| ハイブリッド型 | 月額利用料+スカウト数に応じた課金 | 組み合わせ次第 | 採用規模は中程度〜大きいが、コストをコントロールしたい企業 |
ハイブリッド型は両者のメリットを兼ね備えた方式で、採用人数が増えてもコストを一定程度コントロールできるのが強みです。ります。
月額利用料型は固定費がかかる一方、スカウトを多く送るほど単価が下がる仕組みです。中長期的に採用活動を続ける企業に適しています。
スカウト課金型は必要なときだけ利用できるので、スポット的に人材を探したい企業や、採用人数が少ない場合に向いています。
求人広告・人材紹介との違い
求人広告は、媒体に掲載料を支払って一定期間求人を出す仕組みです。たとえば大手転職サイトのプランでは、4週間単位で数十万円〜百万円規模の掲載料が発生します。期間中にどれだけ応募が来ても追加費用はかからないため、多人数を一度に採用したい場合にはコスト効率が高いのが特徴です。
一方で、応募が集まらなかった場合でも掲載料は返金されないため、成果保証がない点がリスクといえます。また、応募者の質をコントロールしづらく、スクリーニング工数が増えるケースもあります。
人材紹介は、候補者を紹介してもらい採用が決定した段階で費用が発生します。一般的には採用者の年収の25〜35%程度を成功報酬として支払う契約が多く、年収600万円の人材なら150万〜200万円前後が紹介料としてかかります。
成果が出たときにのみ費用が発生するため、「短期間で即戦力を採用したい」「自社では探しにくい専門人材を獲得したい」といったケースに適しています。ただし、採用人数が増えれば増えるほど費用も比例して膨らむため、大量採用や継続的な採用にはコストが大きな負担になります。
コスト削減につながるケース
ダイレクトリクルーティングは、どんな企業でも必ず費用が安くなるわけではありません。特に効果が出やすいのは「一定の条件を満たす企業」や「採用の仕方に特徴がある場合」です。ここでは、コスト削減につながりやすい代表的なケースを紹介します。
毎年一定数の採用を継続して行う企業
通年で中途採用を行う企業にとって、人材紹介を使うたびに高額の成功報酬を支払うのは負担が大きくなります。ダイレクトリクルーティングは月額利用料+スカウト数に応じた定額型が基本のため、採用人数が増えるほど1人あたりのコストが下がります。継続的な採用がある企業ほど、長期的にコスト削減効果を実感しやすいでしょう。
中途採用で複数ポジションを同時募集する場合
営業、エンジニア、バックオフィスなど複数ポジションを一度に採用する場合、人材紹介だと1名ごとに成功報酬が発生します。そのため、まとめて複数人を採用するほど費用が膨らむのが難点です。
ダイレクトリクルーティングなら、同じ契約内で異なるポジションにアプローチできるため、同じ投資で幅広い採用活動を展開でき、結果的に単価を抑えられます。
人材紹介に依存していた企業が切り替える場合
人材紹介は即戦力採用には強い一方で、採用コストが高止まりしがちです。特に「紹介に頼り切りで、毎回数百万円単位の費用が発生している」という企業は少なくありません。
ダイレクトリクルーティングに切り替えると、成功報酬が不要になるため費用構造が一気に改善します。また、候補者へのスカウトや面談を自社で積み重ねることで、採用力そのものを社内に蓄積できるのも大きなメリットです。
ダイレクトリクルーティングに向いている企業・職種
ダイレクトリクルーティングは、すべての採用シーンに万能なわけではありません。特に効果を発揮しやすいのは「専門性が高い職種」や「採用力を強化したい企業」です。ここでは、どのような企業・職種に向いているのかを整理します。
専門性が高い職種を採用したい企業
エンジニア、データサイエンティスト、コンサルタントなど、専門知識やスキルが必要な職種は、求人広告ではなかなか母集団を形成しづらいのが実情です。
ダイレクトリクルーティングなら、候補者データベースを活用して スキルや経験を絞り込んだ検索 ができるため、ターゲットにピンポイントでアプローチできます。
中途採用を強化したい企業
「即戦力人材を採用したい」「採用コストを見直したい」と考える企業には特に向いています。
ダイレクトリクルーティングは 潜在層へのアプローチ が可能なため、応募待ち型の採用だけでは出会えなかった候補者に接触でき、中途採用の成功確率を高められます。
採用ブランディングを重視する企業
候補者に直接スカウトを送るため、自社の魅力をダイレクトに伝えられるのも特徴です。
「どんな会社なのか」「どんなカルチャーを持っているのか」を自ら発信できるため、採用広報やブランディングを戦略的に進めたい企業には効果的です。
採用ノウハウを社内に蓄積したい企業
人材紹介に依存していると、自社に採用ノウハウがたまりません。
ダイレクトリクルーティングを活用することで、候補者検索やスカウト文面作成、面談の運営方法といった知見を自社で積み重ねられ、長期的に「採用力の強化」につながります。
ダイレクトリクルーティングの導入ステップと成功のポイント
ダイレクトリクルーティングを導入する際は、単にツールを契約してスカウトを送るだけでは成果につながりません。成功している企業は「導入前の準備」「スカウトの質」「中長期的な運用」の3点をしっかり押さえています。ここでは導入のステップと成功のためのポイントを解説します。
どんなスキル・経験を持った人材を採用したいのかを定義します。ここが曖昧だと候補者検索やスカウトの精度が下がり、工数ばかり増えてしまいます。
サービスごとに登録者層が異なるため、自社が採用したい職種や年齢層に合うデータベースを選ぶことが大切です。
テンプレート的な文面ではなく、候補者の経歴に触れながら「なぜ声をかけたのか」を伝えることが返信率を高めるポイントです。
いきなり選考ではなく、双方が気軽に話せる場を設けることで候補者の安心感を高められます。面談での印象が選考意欲に直結します。
今すぐ転職しない候補者も含めて接点を持ち続けることで、将来的に採用につながる母集団を蓄積できます。
まず重要なのは、スカウトの質を高めることです。たとえば、候補者が過去に携わったプロジェクト名や使用してきた技術に触れながら「この経験を当社の新規事業で活かせる」と伝えると、テンプレート文だけのスカウトよりもはるかに反応が良くなります。候補者に「自分を理解してくれている」と思わせられるかどうかが、返信率を左右します。
次に大切なのが、継続的に運用する姿勢です。スカウトを数十通送って成果が出ないと「効果が薄い」と判断しがちですが、成功している企業は半年、1年と取り組みを続けています。例えば「今は転職を考えていない」と返信してきた候補者でも、半年後に状況が変わり再度連絡した際に採用につながるケースは少なくありません。短期的な成果よりも、タレントプールを積み上げる視点が欠かせません。
最後に、社内での協力体制を作ることも成果に直結します。現場のエンジニアがスカウト文の一部を書き加えたり、営業マネージャーがカジュアル面談に同席したりするだけで、候補者の印象は大きく変わります。採用担当者が一方的に伝えるよりも、実際に働く人の言葉や表情からリアルな雰囲気が伝わるため、候補者の入社意欲を高めやすくなります。
ダイレクトリクルーティング成功につながる取り組み例
成功している企業にはいくつかの共通点があります。単にスカウトを送るのではなく、「どう作るか」「どう見せるか」「どう継続するか」を工夫しているのです。ここでは、現場でよく実践されている具体的な取り組みを紹介します。
スカウト文面を候補者ごとにカスタマイズする
スカウトは一斉送信ではなく「候補者ごとに調整」することが成果を分けます。たとえば、候補者が過去に関わったプロジェクト名や使ってきたツールに触れ、「この経験を当社の□□プロジェクトで活かしていただきたい」と書くだけで、候補者にとって「自分宛のスカウト」だと認識されやすくなります。
実務上は、完全に一から書くと工数が膨らむので、共通部分+パーソナライズ部分の二段構成 にするのがおすすめです。共通部分では企業の魅力や事業内容を伝え、冒頭と締めくくりの部分だけ候補者に合わせて調整する。こうすることで工数を抑えつつ質を高められます。
現場社員を巻き込む
候補者は「この会社で誰と働くのか」を非常に気にします。そこで、現場社員の一言をスカウト文に入れたり、カジュアル面談に同席してもらうと効果的です。たとえば「当社の◯◯(職種)のリーダーも、あなたの経歴に関心を持っています」と書くだけで、候補者は「自分を評価してくれている人が社内にいる」と感じ、選考に進む意欲が高まります。
面談でも、採用担当者だけでなく現場社員が「実際の仕事内容」「やりがい」「課題」を率直に語ることで、候補者は働くイメージを持ちやすくなります。人事の説明よりも“現場の声”が動機付けに直結するのがこの取り組みのポイントです。
短期ではなく中長期で運用する
スカウトは送ってすぐに結果が出るとは限りません。むしろ「今は転職を考えていない」という候補者に接点を作り、半年後・1年後に再アプローチして採用につながるケースも多くあります。
そのため、送ったスカウトや面談履歴を記録し、継続的に候補者と関係を持てる仕組みを作ることが重要です。たとえば、返答がなかった候補者にも半年後に近況確認のメッセージを送るなど、地道な積み重ねが将来の採用に結びつきます。これがいわゆる「タレントプール」の形成です。
採用広報と組み合わせる
スカウトを受け取った候補者の多くは、必ず企業のことを検索します。そのとき、採用サイトや社員インタビュー、SNS発信が充実していれば「話を聞いてみたい」という気持ちを後押しします。逆に情報が少ないと、スカウト文に魅力があっても応募につながりにくいのです。
実務的には、スカウトの署名欄に「採用サイトはこちら」「現場社員のインタビュー記事はこちら」といったリンクを入れるのが効果的です。スカウトと採用広報を連動させることで、候補者に多面的に企業を知ってもらえます。
エンジニアの採用は社内SE転職ナビ

「社内SE転職ナビ」は、社内SE採用に特化したハイブリッド型の採用支援サービスです。経験豊富なキャリアアドバイザーによる人材紹介サービスに加え、登録者データベースを活用したダイレクトリクルーティング機能を利用できるのが最大の特徴。
採用担当者は、紹介による効率的なマッチングと、自らスカウトを送る主体的な採用活動を組み合わせることで、幅広い候補者層にアプローチ可能です。潜在層を含む優秀なIT人材に直接リーチできるため、従来の求人広告や人材紹介だけでは出会えなかった人材との接点が生まれます。採用コストを抑えつつ、社内SEの採用成功率を高めたい企業に最適なサービスです。
まとめ
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら候補者にアプローチする「攻めの採用手法」です。求人広告や人材紹介と比べ、潜在層にリーチできる点や採用単価を抑えやすい点が大きな特徴といえます。
一方で、導入すればすぐ成果が出るわけではなく、スカウト作成や候補者対応に工数がかかる、短期採用には不向きといった課題もあります。
成功している企業に共通するのは、以下のような取り組みです。
- 候補者ごとにパーソナライズしたスカウトを送る
- 現場社員を巻き込み、リアルな魅力を伝える
- 中長期的に運用を続けてタレントプールを形成する
- 採用広報と組み合わせ、候補者の理解を深める
こうした工夫を重ねることで、単なる採用コスト削減にとどまらず、自社の採用力そのものを底上げする仕組みとして機能します。
これから採用戦略を見直す企業は、ダイレクトリクルーティングを単なる「採用ツール」ではなく「中長期で育てる仕組み」と捉えて取り組むことが成功の第一歩となるでしょう。



