「将来のキャリアとプライベートの両立に不安を感じる」「同性のロールモデルが少なくて心細い」IT業界で活躍する女性エンジニアが年々増加している一方で、職場での理解不足やキャリア形成における不安など、まだまだ多くの課題が存在しています。
本記事では、女性エンジニアが感じるリアルな職場でのあるあるや、評価される瞬間、そしてキャリア形成の悩みを元女性エンジニアの筆者の意見や感想も交えて解説します。本記事を読めば、共感できる場面や新たな発見が得られるはずです。
キャリアアップを目指す方や、現状に悩みを抱える方にとって、前向きな一歩を踏み出すきっかけとなる情報をお届けします。
女性エンジニアの職場でのリアルなあるある
ここでは、多くの女性エンジニアが経験する職場での「あるある」な状況をその背景と共に解説します。
- 会議中に「技術の説明役」になる場面が多い
- 男性同僚に「意外と技術に強いね」と驚かれる
- 職場でのコミュニケーションギャップ
会議中に「技術の説明役」になる場面が多い
女性エンジニアが会議で「技術の説明役」を任される場面は少なくありません。エンジニアは、プロジェクトの進行やクライアントへのプレゼンテーションにおいて、複雑な技術用語や概念を平易な言葉で説明する場面が頻繁にあります。
この説明を非技術職の同僚やクライアントにする役割を担う女性エンジニアが多いのです。また、クライアントや他部門のメンバーからの質問が女性エンジニアに集中しやすい傾向もあります。これは、女性エンジニアが持つコミュニケーション能力の高さが影響していると考えられます。
こうした役割を担うことで得られるスキルは多い一方で、この「説明役」という役割が固定化されすぎると、本来の開発業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。そのため、過度に説明役にならないよう、役割の分担を意識し、必要に応じてチームメンバーとの相談が重要です。
なお、複雑な技術用語を、誰にでも理解できる言葉で説明する能力は、キャリアの幅を広げる役に立ちます。負担にならない程度で、上手く機会を活用してプレゼンテーションスキルを磨くのもおすすめです。
男性同僚に「意外と技術に強いね」と驚かれる
IT業界では、依然として「女性は技術が苦手」という固定観念が根強く残っています。そのため、高度な技術的課題を解決したり、複雑なコードを書いたりした際に、「意外と技術に強いね」という言葉をかけられた経験を持つ女性エンジニアも多いでしょう。
このような反応の背景には、IT業界における男女比の偏りや、無意識のジェンダーバイアスが影響しています。特に、技術職では男性が大多数を占める環境が多く、女性エンジニアの実力が適切に評価されにくい状況が生まれています。
こうした状況を改善するためには、日々の業務で着実に実績を積み重ね、技術力で信頼関係を構築していくことが重要です。また、「意外と」といった何気ない一言に違和感を覚えた場合は、上司や同僚に素直に伝えてみましょう。
筆者自身も経験がありますが、周囲から過小評価され続けると、いつの間にか自己評価が低くなってしまうことがあります。こうした連鎖を断つためには、資格取得などの自己研鑽を通じて自信を高め、女性エンジニア自身も自分を過小評価しないように努める必要があると感じました。
職場でのコミュニケーションギャップ
技術的な議論やプロジェクトの進行において、女性エンジニアが独特のコミュニケーションギャップを感じることは珍しくありません。職場でのコミュニケーションにおけるズレは、プロジェクトの進行や会議の場面で発生しやすいものです。
男性中心の職場では、会話のトーンや話題が男性同士の文化に偏りがちで、女性エンジニアが発言しにくさを感じることもあるでしょう。また、意見を述べても流される、重要な決定が非公式な場で行われていると感じるケースがあります。
このような問題を解消するには、まず自分の意見を効果的に伝えるための工夫が重要です。資料を準備や発言内容を簡潔にまとめるなどの工夫をしてみましょう。さらに、共通の話題を見つけて日常的なコミュニケーションを増やすことで、相互理解を深める努力も求められます。こうしたアプローチによって、より円滑な職場環境が実現するでしょう。
筆者自身も過去に、男性陣だけが喫煙所で会議の続きをしていたということがありました。女性は会議の進行役を担う機会が多いことから、自分で会議のアジェンダをあらかじめ決め、議論をコントロールするのも一つの手です。女性ならではの強みを活かし、前向きな姿勢でコミュニケーションの課題を克服していくことが重要だと感じます。
女性エンジニアならではのスキルや視点が評価される瞬間
職場での課題がある一方で、女性エンジニアならではの視点やスキルが高く評価され、プロジェクトの成功に大きく貢献する場面も数多くあります。ここでは、女性エンジニアの強みが活きる具体的な状況を紹介します。
- UI/UX改善の意見がプロジェクトを変える
- チームの橋渡し役として重宝される
- 繊細なバグ検出や問題解決能力
UI/UX改善の意見がプロジェクトを変える
女性エンジニアの視点は、UIやUXの改善において非常に重要な役割を果たしています。機能性を重視しがちな開発現場では、使用する人の立場に立った直感的な操作性やデザインの提案は、プロジェクトに新たな価値をもたらすことがあります。
特に、エンドユーザーの多様性を考慮した提案や、使いやすさを重視したインターフェースの改善案は、開発チーム内で高く評価されることが多いです。たとえば、高齢者や子育て中の親など、様々なユーザー層の視点に立った改善提案は、製品の使いやすさを大きく向上させられるでしょう。
また、デザインの美しさだけでなく、実際にユーザーが抱える不満や改善点を細かく分析し、提案に反映させる能力も女性エンジニアの強みです。これらの視点は、最終的な製品の質を高め、ユーザー満足度の向上につながっています。
チームの橋渡し役として重宝される
職場では、女性エンジニアが開発チーム内外でのコミュニケーションを円滑にする場面がよく見られます。高いコミュニケーション能力や共感力を活かし、複数の立場の意見を調整しながらプロジェクトを前進させる場面もあります。
例えば、開発チームとデザインチーム、またはクライアントとの間で意見の食い違いが起きた際に、技術的な制約と要望の両方を理解しながら、適切な解決策を見つける力が評価されることが多いです。また、チーム内の雰囲気を読み取り、メンバー間の関係性をスムーズにする役割を果たすこともあります。
もちろん、こうした役割は全ての女性エンジニアが担うわけではありませんが、時には客観的な視点で状況を判断し、プロジェクトを進める力が発揮されることで、組織全体に大きな貢献をするケースもあります。
筆者の経験からも、チーム間の橋渡し役を担う女性エンジニアがいることで、多様な視点を活かした協力体制が作られることを実感しています。そうした存在は、職場の円滑なプロジェクト運営に欠かせないものです。
繊細なバグ検出や問題解決能力
女性エンジニアが持つ細やかな観察力や問題解決能力は、システム開発の現場で頼りにされることが少なくありません。特に、多様なユーザー視点を活かして使用パターンを想定したり、細部にまで気を配ったバグ検出や改善提案が得意な方も多いです。
例えば、一見問題がないように見える箇所でも、潜在的なバグや改善点を見つけて、プロジェクト全体の品質向上に貢献する場面が多くあります。また、不具合が発生した際には、原因の特定から解決策の提案までを丁寧かつ論理的に進め、チームからの信頼を得ることができるでしょう。
こうしたスキルは、開発プロジェクトの完成度を高めるだけでなく、運用フェーズでのトラブル防止や、システムの長期的な安定性向上にも繋がります。女性エンジニアが活躍するこうした場面は、職場にとって大きな強みと言えるでしょう。
女性エンジニアのキャリア形成におけるあるあるな悩み
キャリアを積み重ねていく過程で、女性エンジニアならではの課題に直面する場合があります。ここでは、多くの女性エンジニアが経験するあるあるな悩みと、それらを乗り越えるためのヒントをご紹介します。
- ライフイベントとキャリアの両立
- 昇進に対する周囲からの期待と自身の葛藤
- 女性エンジニアとしてのロールモデル不足
ライフイベントとキャリアの両立
女性エンジニアにとって、結婚・出産・育児といったライフイベントとキャリアの両立は大きな課題となっています。育児休暇や時短勤務の選択により、キャリアの停滞や昇進のチャンスを逃すのではないかという不安を抱える人も少なくないでしょう。
また、システム開発現場では予期せぬトラブル対応や締切に向けた残業の発生も多く、家庭生活との両立に悩む場面も少なくありません。
この課題に対しては、まず働き方の見直しが重要です。リモートワークやフレックスタイム制度の積極的な活用で、仕事と家庭の両立をより柔軟に進められます。さらに、育児や介護などのライフイベントを見据えた長期的なキャリアプランを立てることで、段階的なスキルアップや役割の調整が可能になります。
加えて、家庭内の役割分担を見直して、パートナーや家族との協力で負担を軽減できるでしょう。
筆者自身も、エンジニアの女性比率が低い職場では、出産などの特有の課題が男性に理解されにくいと感じた経験があります。こうした状況を改善するには、男性社員も巻き込んで周囲に相談し、理解を深めてもらう取り組みが必要だと考えます。
昇進に対する周囲からの期待と葛藤
キャリアの節目において、女性エンジニアは昇進や職務選択に関する葛藤を経験することがあります。特に、専門技術を極めるエンジニアとしての道を進むか、マネジメント職として組織を率いる道を選ぶかという選択に直面した際、周囲からの期待と自身の志向との間でジレンマを感じることが多いです。
このような状況を乗り越えるためには、まず自分自身のキャリアビジョンを明確にしましょう。技術専門職とマネジメント職、それぞれの道でのやりがいや課題を見極め、自分の適性や価値観に合った選択が大切です。また、上司や先輩に相談して、客観的な意見を得られれば、視野を広げられるでしょう。
さらに、スキルアップを図ることで、選択肢を増やす努力も大切です。リーダーシップ研修への参加や高度な技術資格の取得など、両方の道を見据えた準備を進めることで、柔軟なキャリア選択が可能になります。
女性エンジニアとしてのロールモデル不足
女性エンジニアの数が少ないため、ロールモデルとなる存在を見つけにくいことも、キャリア形成における課題の一つです。特に、女性の上司や先輩が少ない職場では、キャリアの方向性を明確に描くのが難しいと感じることがあります。また、相談できる相手がいないことが孤独感を助長し、モチベーションの低下に繋がる場合もあるでしょう。
この課題に対しては、女性エンジニア向けの勉強会やイベントなど外部コミュニティの活用が有効です。外部コミュニティへの参加で、他業界や他社のロールモデルと出会う機会を得られます。
また、オンラインで公開されているインタビュー記事やキャリア事例を参考にするのも一つの方法です。さらに、性別に関係なく、自分の成長を支えてくれるメンターを見つけることも、キャリア形成の大きな助けとなるでしょう。
筆者も、自身のキャリアにおいてロールモデルを見つけるのが難しいと痛感した経験があります。しかし、完全に一致するロールモデルを求めるのではなく、似たような職種や部分的に参考になる事例を積極的な活用が大切だと思います。
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まとめ
この記事では、女性エンジニアが職場で感じるリアルな「あるある」や、評価される瞬間、キャリア形成における悩みについて紹介しました。
女性エンジニアは、技術の知識やスキルを活かして活躍しながらも、職場でのコミュニケーションやライフイベントとの両立など、独特の課題に直面することが多いです。一方で、UI/UX改善やバグ検出といった繊細な視点が評価されるなど、その存在価値が高く注目されています。
エンジニアという職種は、魅力的な仕事です。女性エンジニアの皆さんにとって、この記事が一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
ライター:夏野ゆきか(なつの ゆきか)
元システムエンジニアのフリーランスライターです。
新卒で大手SIerに入社。自動車業界(組み込み系)/旅行業界(WEB系)の開発・保守・運用を行っておりました。退職後は、フリーランスライターとして独立。IT系メディアに関するコラムや地域情報、さまざまなジャンルの執筆をしております。
https://x.com/natuno_abnormal