ユーザー体験をデザインするUI・UXデザイナーは、注目されている職業の一つです。本記事では、年収や業界別報酬、成功するためのキャリアパスを解説します。UI・UXデザイナーを目指している方は最後までご覧ください。
UI・UXデザイナーとは?
UI・UXデザイナーは、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)を設計する専門職です。
UIデザイナーの仕事は、アプリやウェブサイトの見た目や操作性に焦点を当て、ユーザーが直感的に理解し、使いやすいデザインを作成することです。視覚的なデザイン要素、レイアウト、カラーパレット、フォントなどを駆使し、ユーザーの視覚的な満足度と操作性を高めます。
UXデザイナーは、ユーザーが製品やサービスをどのように感じ、どのように利用するかに注目し、全体的なユーザー体験を改善するための設計を行います。設計する際には、ユーザーのニーズや行動を理解し、使いやすさ、わかりやすさ、魅力的な体験を提供することが重要です。
これは、ユーザビリティテスト、ユーザー調査、ワイヤーフレーム作成、プロトタイプの作成、そしてデザインの改善などを含む包括的なプロセスです。
UI・UXデザイナーに必要なスキルセットと資格
UI・UXデザイナーになるためには、デザインの基本スキルに加えて、特定のツールやソフトウェアの習熟が不可欠です。
まず、デザインスキルとしては、色使い、レイアウト、タイポグラフィ、画像処理など、視覚的な要素を効果的に活用するビジュアルデザインスキルが求められます。
次に、一般的に使用されるツールである、Adobe XD、Sketch、Figma、InVisionなどのデザインソフトウェアを使いこなすスキルが必須です。また、HTML、CSS、JavaScriptなどのコーディング知識は、デザインの実装や開発者との連携をスムーズにするために役立ちます。
UI/UXデザインに関する資格は、専門性を証明し、就職活動に役立ちます。例として、UXデザイン協会認定資格、Adobe Certified Associate(ACA)などがあります。
UI・UXデザイナーの主な仕事内容
ここではUI・UXデザイナーの主な仕事内容を5つ解説します。
・ユーザーリサーチと分析
・ワイヤーフレームとプロトタイプの作成
・ビジュアルデザイン
・インタラクションデザイン
・ユーザビリティテスト
ユーザーリサーチと分析
UI・UXデザイナーにとって、ユーザーリサーチは製品やサービスを成功させるための基盤となります。ユーザーに最適なデザインを生み出すために、ユーザーリサーチを通じて、ターゲットユーザーのニーズ、行動、モチベーション、課題などを深く理解することが重要です。
ユーザーリサーチの手法には、アンケート調査、インタビュー、ユーザビリティテストなどがあります。なかでもユーザビリティテストを行えば、実際に製品やサービスを使用している姿から、使いやすさや課題を把握できます。
これらの手法を通じて集めたデータを分析し、ユーザーのペルソナやユーザージャーニーマップを作成することで、ユーザーが製品をどのように使用するかを明確化します。明確化された結果は、デザインの設計、改善、評価に活用されます。
ワイヤーフレームとプロトタイプの作成
ユーザーリサーチの結果を基に、デザイナーはワイヤーフレームを作成します。ワイヤーフレームは、アプリやウェブサイトの基本的なレイアウトを示す図であり、要素の配置、ナビゲーションの構造、コンテンツの配置などを視覚化します。ユーザーインターフェースの全体的な構造が把握できるため、改善点を見つける際にも有効です。
ワイヤーフレームが完成したら、それをプロトタイプに進化させます。プロトタイプは、インタラクティブなモデルであり、ユーザーが実際にどのようにインターフェースと対話するかをシミュレーションするためのツールです。
デザインの使いやすさや操作性を実際に確認することができるため、ユーザーから直接フィードバックを得ることが可能です。得られた声を活用すれば、デザインのさらなる改善につながります。
ビジュアルデザイン
UIデザイナーは、アプリやウェブサイトの視覚的なスタイルを決定する役割を担います。これは、ユーザーが直感的に理解し、美しく機能的なインターフェースを作成するために重要なプロセスです。
ビジュアルデザインには、色の選択、フォントの決定、アイコンや画像の使用など、さまざまな要素が含まれます。ブランドイメージやターゲットユーザーに合わせた適切な色を選んだり、読みやすさ、視認性などを活かしたフォントを選んだりする必要があります。
また、一貫性のあるデザインを維持するためには、デザインシステムやスタイルガイドの作成が必要です。デザインシステムは、色のパレット、フォント、グリッド、スペースなどのデザイン要素を定義します。デザインシステムは、スタイルガイドによって詳細に説明され、デザイナーや開発者が使うデザインのルールを統一します。
インタラクションデザイン
インタラクションデザインは、ユーザーがインターフェースとどのように対話するかを設計することを指します。UI・UXデザイナーは、見た目が美しいデザインを作るだけでなく、ユーザーが製品やサービスを快適に利用できるよう設計しなければなりません。
例えば、ボタンのデザインや配置、アニメーションの速度やタイミングなど、ユーザーの操作感を大きく左右する要素を慎重に設計する必要があります。また、ボタンをクリックした時の反応、スクロールやスワイプなどの動作に対するフィードバック、エラーメッセージの表示など、システム側の反応にも注意しなければなりません。
適切なインタラクションデザインは、ユーザーにシームレスで直感的な体験を提供し、使いやすさを向上させるだけでなく、製品やサービスの成功にも大きく貢献します。
ユーザビリティテスト
デザインの有効性を評価するために、UI・UXデザイナーはユーザビリティテストを実施します。これは、実際のユーザーがプロトタイプを使用して、製品やサービスを試用し、問題点や改善点を特定するプロセスです。
テスト参加者にタスクを依頼し、観察やインタビューを通して、ユーザーの行動や反応を分析します。具体的には、ユーザーがどこで戸惑うか、どのような操作が難しいと感じるか、どのような機能が使いやすいと感じるかなどを調べ、その内容をもとにデザイン上の問題点や改善点を見つけ出すのです。
UI・UXデザイナーはフィードバックをもとにデザインを改善し、より使いやすく、ユーザーにとって最適なインターフェースを作成することができます。このように、ユーザビリティテストは、ユーザー中心の設計を実現するために非常に有効な方法です。
UI・UXデザイナーの年収
ここからは、UI・UXデザイナーの年収に関して2つの視点で解説します。
年収の平均値と中央値
UI・UXデザイナーの年収は、経験、スキルセット、地域、企業規模などによって大きく異なります。
indeedによると、UI・UXデザイナーの平均年収は、670万円です。これは、一般的な職業全体の中でも比較的高いといえるでしょう。これは、UI・UXデザインが近年ますます重要視されるようになってきたこと、そして、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための専門知識やスキルが求められるようになったことを反映しています。
経験豊富なデザイナーや特定の専門スキルを持つデザイナーは、これ以上の収入を得ることも可能です。例えば、ゲームUIデザイン、金融業界向けUXデザインなど、高い専門性が求められる現場では、年収も高くなる傾向にあります。
社内SE転職ナビが保有するUI・UXデザイナー求人では、最低年収の平均が529万円、最高年収の平均は893円(2024年8月時点)となっています。社内SE転職ナビでは様々な求人があり「とにかく年収が高い会社がいい」「年収はそこそこで、ワークライフバランスを大切にしたい」といったニーズに対応できます。まずは一度、求人検索で実際の求人をチェックしてみてください。
経験年数別の年収
UI・UXデザイナーの年収は、経験年数によって大きく変動します。新卒や未経験のUI・UXデザイナーの初任給は約300万円から400万円が一般的です。その後、3〜5年の経験を積み、デザインスキルやツールスキルが向上すると、プロジェクトをひとりで任されることも増え、年収は500万円から700万円へと上昇していきます。
さらに、10年以上の経験を持つシニアデザイナーやリードデザイナーであれば、年収800万円を上回ることもあります。豊富な経験に基づいたデザインセンスのほか、問題解決能力、チームリーダーシップといったマネジメント能力を発揮できれば企業からの信頼も厚くなり、それに伴って年収も向上するでしょう。
UI・UXデザイナーは、継続的な学習とスキルアップを重ねることで、より高い年収を目指せる職業といえます。
UI・UXデザイナーの業界別の年収
次に、UI・UXデザイナーの年収について5つの業界に着目してみていきます。
・IT業界でのUI・UXデザイナーの年収
・ゲーム業界でのUI・UXデザイナーの年収
・金融業界でのUI・UXデザイナーの年収
・ヘルスケア業界でのUI・UXデザイナーの年収
・eコマース業界でのUI・UXデザイナーの年収
IT業界でのUI・UXデザイナーの年収
IT業界は、UI・UXデザイナーの主要な雇用市場の一つであり、多くの企業がこの分野の専門家を求めています。Webサービス、アプリ開発、ソフトウェア開発など、ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスが製品やサービスの成功に大きく影響するため、実力のあるUI・UXデザイナーは貴重な存在です。そのためIT業界で働くUI・UXデザイナーの年収は、比較的高い傾向があります。
特に、東京や大阪などの大都市圏では、IT企業の競争が激しいため、給与も高く設定されることが多いです。また、テクノロジー企業やスタートアップ企業では、年収に加えてストックオプションやボーナスが提供されることもあります。
ゲーム業界でのUI・UXデザイナーの年収
エンターテインメント性が高く、ユーザー体験が重要視されるゲーム業界も、UI・UXデザイナー需要が非常に高いです。ゲームの成功は、魅力的なユーザーインターフェースと、直感的で快適な操作性にかかっているといっても過言ではないでしょう。
ゲーム業界でのUI・UXデザイナーの年収は、他の業界と比べて幅が広いのが特徴です。社内SE転職ナビのゲームエンジニア求人では、最低年収の平均が432万円、最高年収の平均が854万円となっています。(2024年8月時点)
また、ゲーム業界では、クリエイティブなスキルや独自のデザインセンスが重視されるため、充実したポートフォリオが成功のカギとなるでしょう。
金融業界でのUI・UXデザイナーの年収
金融サービスのデジタル化が進む中、ユーザーフレンドリーなインターフェースの設計がますます重要になっています。従来の複雑でわかりにくい金融サービスを、誰でも簡単に利用できるような、シンプルで使いやすいインターフェースにデザインすることが求められます。
金融業界のUI・UXデザイナーは、金融サービスの専門知識とユーザー体験のデザインスキルを兼ね備えている必要があるため、そのぶん年収は、他の業界と比べて高い傾向にあります。 特に、金融機関のデジタル化を推進する企業や、新しい金融サービスを開発するスタートアップ企業では、より高い年収が期待できるでしょう。
ヘルスケア業界でのUI・UXデザイナーの年収
国民の健康意識が高まる中、医療アプリやウェアラブルデバイスの普及が広まっています。これに伴い、ヘルスケア分野でもUI・UXデザイナーの重要性が増しています。患者が使いやすい医療アプリや、健康管理に役立つウェアラブルデバイスのインターフェース設計は、人々の健康増進に大きく貢献することでしょう。
ヘルスケア業界のUI・UXデザイナーは、医療に関する知識や倫理観を持ち、ユーザーのプライバシーやセキュリティにも配慮したデザインを行わなければなりません。特に、医療分野のデジタル化を推進する企業や、新しい医療サービスを開発するスタートアップ企業であれば、より高い年収が期待できます。
eコマース業界でのUI・UXデザイナーの年収
直接店舗に行かなくても、オンラインショッピングサイトやモバイルアプリで注文ができるようになった現代では、ユーザー体験が売上に直結するため、UI・UXデザイナーの役割は非常に重要です。ユーザーが快適に商品を探し、スムーズに購入できる魅力的なインターフェースと、わかりやすい操作性を提供しなければなりません。
eコマース業界のUI・UXデザイナーは、ユーザーが購入しやすいデザインを設計するだけでなく、マーケティング戦略やデータ分析に基づいたデザインを行うことも求められます。特に、大手ECサイトや成長著しいスタートアップ企業では、より高い年収が期待できます。
UI・UXデザイナーの年収を上げる方法
ここでは、UI・UXデザイナーの年収を上げるための2つの方法について解説します。
必要なスキルを身につける
UI・UXデザイナーとしての収入を上げるためには、継続的なスキルアップが不可欠です。オンラインコースやワークショップを活用して、最新のデザインツールや技術を学ぶことをおすすめします。
例えば、UdemyやCourseraなどのプラットフォームでは、Figma、Sketch、Adobe XDなどのデザインツールに関するコースが多数提供されています。これらのコースを受講することで、ツールを使いこなせるようになり、効率的かつ効果的なデザイン制作が可能となるでしょう。
さらに、ユーザーリサーチや情報アーキテクチャなどの専門分野についての深い学びも重要です。また、デザイン関連の書籍を読むことや、ブログやポッドキャストを通じて最新のトレンドを把握することも効果的です。
資格取得もキャリアアップに有効で、例えば、UXQB認定の資格は、就職活動や転職活動において信頼性を高める手段となります。
ポートフォリオを充実させる
ポートフォリオはUI・UXデザイナーにとって最も重要なツールの一つです。多様なプロジェクトを含めたポートフォリオを作成し、Webサイト、アプリ、ゲームなど、さまざまなジャンルのデザイン作品を掲載して、幅広いスキルを持っていることをアピールしましょう。
成功したプロジェクトや、ユーザー問題をどのように解決したかを具体的に説明するケーススタディを含めると、より説得力のあるポートフォリオになります。特に、ユーザーリサーチからプロトタイプ作成、ユーザビリティテストまでのプロセスを詳細に示すことが効果的です。
ポートフォリオサイトを定期的に更新し、最新のトレンドや技術を反映させましょう。また、プロジェクトの成果物を美しく見せるためには、ビジュアルデザインやインタラクションデザインのクオリティも重要です。
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まとめ
UI・UXデザイナーは、ユーザー体験をデザインする重要な役割を担う存在として、さまざまな業界で求められています。そのため、年収も高い水準にあり、継続的なスキルアップと質の高いポートフォリオがあれば、さらなる高収入も目指せる職業です。
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