インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク環境などのインフラを設計・構築・運用する職種です。この仕事を続けるうちに、業界平均と比べて自分の年収がどの程度なのか気になる人もいるでしょう。
この記事では、現在インフラエンジニアの人やこれから目指す人向けに、平均年収と年収を上げる方法を詳しく解説します。
インフラエンジニアの将来性
インフラエンジニアの将来性は、クラウド化の浸透により物理的なサーバー数減少の傾向があるものの、仕事が減ることはなく活況と言えるでしょう。
クラウド環境においてもソフトウェアの設定やシステムの最適化など、インフラ業務が発生するためです。近年は物理的なサーバーでのインフラ環境から、クラウドに移行する企業が増えてきました。
実際、以下の図のように令和4年度で81.7%の企業がクラウドを利用している、または利用予定とのデータもあります。
インフラ環境を整備するのに、クラウドを利用すると一から構築・運用をしなくて済み、費用と労力を削減できるためです。
オンプレミス案件への対応力だけでなく、需要のあるクラウドに関する技術や知見があることで、今後も十分活躍できる仕事が用意されています。
インフラエンジニアの仕事はきついのか?
インフラエンジニアの仕事は、状況によってはきついと感じる場面も発生します。
その理由は、以下の2つです。
・作業範囲が多岐にわたるため
・障害や予期せぬトラブルへのプレッシャーがあるため
作業範囲が多岐にわたるため
インフラエンジニアは、サーバーとネットワークなどのインフラ全般を管理することが求められます。多くの責任を担っており、それぞれの分野で知識とスキルが必要です。
とくにインフラ環境構築の作業範囲が多岐にわたるため、期限までに作業を完了しないといけないことに責任を感じ、きついと思うことがあるようです。
障害や予期せぬトラブルへのプレッシャーがあるため
ネットワーク機器やサーバーは、いつ故障や不具合が発生するかわかりません。
障害やトラブルが発生したときには、時間外にもかかわらず対応を迫られるため、それによりプレッシャーとなることできついと感じてしまう要因となります。
次の章では、インフラエンジニアの平均年収について見ていきましょう。
インフラエンジニアの平均年収
インフラエンジニアの平均年収について、以下の4点を紹介します。
・年代別での平均年収
・未経験の場合の平均年収
・年収が高い理由
・年収1,000万円以上のインフラエンジニアの特徴
年代別での平均年収
厚生労働省のデータによると、ITシステム運用管理者の平均年収は534.6万円です。
20代は、新卒社員やIT未経験者が下流工程に多く従事しているため、ほかの年代より平均年収が低いのが特徴です。
30代は、10年ほどIT業務に関わって経験を積んだことによりスキル向上が評価され、20代と比べて平均年収が100〜200万円ほどアップしています。
40代は、チームリーダーやマネージャーとして活躍する人が増えるため、さらに平均年収が高い傾向です。
50代以降になると、企業の幹部やシニアエンジニア、マネージャーとして従事する人がいるため平均年収が約732万円とピークに達します。
初任給は低めですが、実務経験や高いポジションに就くことで、年収アップが期待できる職種といえます。
未経験の場合の平均年収
求人ボックスの情報によると、インフラエンジニアの初任給は月給21万円であり、年収に換算すると約250〜300万円です。
初任給はあくまで新卒入社の目安であり、保有スキルによりもう少し高い年収になる可能性もあります。たとえば、ルーターとスイッチを自費購入し、自宅でネットワークとサーバー構築をした経験などは初任給を上げるうえで効果的です。
まったくの未経験でも採用される可能性はありますが、新卒と同程度の年収となるため、前職よりも一時的に年収が下がる可能性があります。ただし、未経験で入社したとしても、3年程度の設計や構築などの実務経験を積むことや、自分で知識を吸収していくことにより年収アップが期待できます。
年収が高い理由
インフラエンジニアの年収が高い理由は、高い専門性を持っていることと、IT業界全体で人材が不足していることによるものです。
インフラ環境は企業にとって必要不可欠であることから、インフラエンジニアは重要な役割を担っています。この職種は専門的な技術・知識が必要となるため、技術手当・資格手当が支給されることが一般的です。
さらに、IT業界では人材が不足しており、高いスキルを持つインフラエンジニアはますます重宝されるでしょう。
たとえば、実力のあるインフラエンジニアが在籍していれば、その希少価値と専門性から高い年収が設定されます。仮にその企業が低い年収を設定した場合、他社に引き抜かれてしまう恐れがあるからです。
また、高いスキルのインフラエンジニアは、大規模な案件や重要なプロジェクトに参画する機会が多く、年収を上げる要因となります。
このような背景から、インフラエンジニアの年収は高くなる傾向です。
年収1,000万円以上のインフラエンジニアの特徴
年収1,000万円以上のインフラエンジニアの特徴として、以下の3つが挙げられます。
・大手IT企業に勤めている
・プロジェクトマネージャーなどの役職に就いている
・フリーランスとして働いている
まず、『大手IT企業に勤めている』と、社内インフラの規模が大きいことから受注案件で確保できる予算が大きくなり、社員の年収に反映されやすくなります。
次に『プロジェクトマネージャーなどの役職に就いている』など、もともとの平均年収が業界内で高い役職に就いていると、実力により年収1,000万円以上を達成できることもあります。
最後は『フリーランスとして働いている』ことです。実力のあるインフラエンジニアがフリーランスとして独立すると、案件の報酬がすべて自分のものになり、働き方によっては年収1,000万円以上を達成できます。
これらについては、以降の章で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
次の章では、インフラエンジニアの年収アップの方法について見ていきましょう。
インフラエンジニアの年収アップの方法
インフラエンジニアの年収アップの方法は、以下の5つです。
・スキル・経験を積む
・社内で昇格する
・キャリアチェンジする
・転職する
・独立・フリーランスで働く
それぞれ解説します。
スキル・経験を積む
スキル・経験を積むことで、インフラエンジニアとしての対応力が上がるため、年収を上げる手助けとなります。
たとえば、オンプレミス環境でしか設計・構築の経験がない人は、近年普及しているクラウド環境でも実務経験を積めるようにできるとよいでしょう。オンプレミス環境・クラウド環境の両方ができるインフラエンジニアは、どのような企業に勤めても今後役立つといえます。
クラウド・仮想化などインフラ技術は次々に進化しているため、最新のインフラ技術のトレンドを積極的に取り入れることが必要です。
ほかにもネットワークやセキュリティなどの知識やスキルがあれば、インフラエンジニアとして幅広く活躍できるでしょう。
社内で昇格する
今の会社で年収アップを目指すのであれば、社内で昇格することが最短ルートです。
具体的には、プロジェクトマネージャーへの昇格を目指すと良いでしょう。このキャリアパスは、スキルを極めるだけではなく、リーダーシップやプロジェクト管理などの裁量をもって働きたい人に向いています。
プロジェクトマネージャーは、平均年収691万円と、IT職種の中でもトップレベルで高いようです。プロジェクトマネージャー試験・PMPといった専用の資格もあるため、取得してからキャリアチェンジを目指すのもよいでしょう。
このことから、高度なスキルとリーダーシップを有していることを証明できれば、プロジェクトマネージャーへの昇格と年収アップを同時に実現できます。
キャリアチェンジする
キャリアチェンジすることも、年収アップには有効な方法です。
たとえば、ITコンサルタントは年収相場が602万円と、インフラエンジニアよりも高く設定されていることが多いです。
ITコンサルタントは「手を動かす仕事よりも対人コミュニケーションが主体の仕事が向いている」と感じる方におすすめします。仕事は、クライアントが抱える課題をIT技術を使って解決するための「考える」内容です。
適切な解決策を提案するためには、現場をよく見て、関わる人の声に耳を傾ける姿勢も求められます。
インフラエンジニアとは役割が異なりますので、自分自身が「技術志向」なのか「対人志向」なのか見極めることが大切です。
転職する
年収アップには、転職することも有効な方法です。
とくに、大手企業や外資系企業に転職することで年収アップが期待できるでしょう。
企業規模が大きいほどインフラ環境が複雑化・セキュリティレベルも高度化し、インフラエンジニアに求める期待値が高いためです。外資系企業は実力や成果が重視されがちで、社内競争が激しくなる半面、最新のIT技術に触れられるためスキルアップしやすい環境になります。
しかし、企業規模が大きくなるにつれてレベルが高いエンジニアが多く在籍しており、転職難易度は高まるようです。
このため、IT特化型の転職エージェントを利用し、アドバイスを受けながら転職活動を進めることが内定への近道といえます。
独立・フリーランスで働く
独立・フリーランスで働くと、自身の実力次第で会社員以上に年収を得られるようになります。
フリーランス向けのインフラエンジニア案件は比較的多いですが、完全に実績重視のため、企業でインフラエンジニアの経験を積んだのちに独立するのがよいでしょう。
フリーランスになるとマイペースに働ける反面、自分で営業して案件を獲得する必要があります。会社員よりも自己責任の度合いが強くなりますので、着実に実績を積み重ねることでスキルアップを行い、クライアントから信頼を得られることが大切です。
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次の章では、インフラエンジニアに求められるスキルについて見ていきましょう。
インフラエンジニアに求められるスキル
インフラエンジニアに求められるスキルは、以下の7つです。
・サーバやネットワークに関する知識
・ソフトウェアやインフラ設計に関する知識
・セキュリティに関する知識
・クラウドサービスに関する知識
・プログラミングスキル
・仮想化のスキル
・ビジネススキル
それぞれ解説します。
サーバやネットワークに関する知識
サーバーやネットワークに関する知識は、インフラエンジニアの仕事をするうえで必須です。
インフラの設計・構築・運用、そして障害対応の場面で、知識がないと適切に対処できないからです。サーバーの仕組みやネットワークの構成を理解しておくことで、適切なソフトウェアとハードウェアを選定できるようになります。
また、障害対応時には、ログ解析やネットワークの障害対応などの臨機応変な対応が求められるため、日頃の実務で身につけておきましょう。知識を身につけるためには、資格取得が一つの指標となるため、業務時間外にもスキルアップの時間を確保して意欲的に学ぶことをおすすめします。
ソフトウェアやインフラ設計に関する知識
ソフトウェアやインフラ設計に関する知識を身につけることで、要件定義や設計工程の場で役立ちます。
たとえば、要件定義の際に必要な機能や性能面でのクライアントのニーズを正確に把握することができ、設計においても適切なアーキテクチャやセキュリティ対策を考慮した設計が行えるからです。
また、災害復旧とビジネス継続計画(BCP)の場面でも、インフラ設計の知識が活かせます。災害リスク対策をインフラ設計に組み込むことで、企業の重要なデータとシステムを保護できるメリットがあるためです。
それにより、上流工程に対応できるインフラエンジニアとして評価され、高い年収が期待できるでしょう。キャリアアップを考えたいインフラエンジニアにとって、身につけておきたい知識です。
セキュリティに関する知識
セキュリティに関する知識も身につけておくと、インフラ設計の際に役立ちます。
近年では、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクが懸念されるようになりました。そのため、インフラ設計を行う際には、そういったリスクに対応するセキュリティに関する知識が必要となります。
具体的には、外部からの攻撃や内部からの脅威に対抗するためにファイアウォールやリモートアクセスのセキュリティを保護するためのVPNなどに詳しくなっておくとよいでしょう。
このような背景から、自主的にセキュリティに関する学習を進め、実務で対応できると市場価値が高まります。
クラウドサービスに関する知識
クラウドサービスに関する知識は、技術の発達にともない身につけておくと良いでしょう。
クラウドサービスを活用する企業は近年増えており、従来のオンプレミス型サーバーの使用から切り替えて、ハードウェアの保守・管理のコストを減らす傾向にあります。
代表的なクラウドサービスにはMicrosoft AzureやAWSなどがあり、コストを削減できるだけでなく、拡張のしやすさやどこでも利用できるのがメリットです。
オンプレミス型のサーバーの利用企業も一定数ありますが、クラウドサービスに関する知識を高めることで、担当プロジェクトが増えて活躍の場が広がるでしょう。
プログラミングスキル
プログラミングのスキルがあれば、業務の幅を広げられます。
インフラ構築の際に、バッチファイルやシェルスクリプトを使うことがありますが、そのファイルやスクリプトの中身を編集できるためです。
さらにPHPやPythonの知識があれば、サーバーやネットワーク管理のルーティン業務を自動化できるほか、システムの監視やデータの集計で使えるツール作成にも役立ちます。
データベースの設定が必要な場合には、データベース言語であるSQLなどの知識が有効です。
プログラミングを学ぶには、学習コストがかかりますので、業務と両立できるオンラインスクールの活用など効率のよい手段で学びましょう。
仮想化のスキル
仮想化のスキルは、コンピューターなどのリソースを最適化するためには有効な知識です。
ハードウェアの物理的構成にとらわれず、フレキシブルに運用できるからです。
たとえば1台のサーバーを仮想化して分割することで、1台のサーバーで複数台のサーバーとして活用することができ、Webサーバー・ファイルサーバーなどを一緒に運用できます。
仮想化の技術は、以下の場面で利用できます。
・サーバーの仮想化
・デスクトップ仮想化
・ストレージ仮想化
・ネットワーク仮想化
限られたリソースを最適化するために仮想化について学んでおくと、インフラの効率的な運用に役立つでしょう。
ビジネススキル
インフラエンジニアが身につけておきたいビジネススキルは、以下の2つです。
・コミュニケーション能力
・マネジメント力
コミュニケーション能力があることでチーム間の連携がスムーズに進み、クライアントへのヒアリングや提案の場面でも理解が得られやすくなることで、安心感を与えることができます。
また、日頃から専門知識や自分の置かれた状況を相手にわかりやすく伝えるよう意識することで、自然にコミュニケーション能力が磨かれることでしょう。
将来、リーダーやマネージャーになりたいと考える人には、マネジメント力も必要です。おもに上流工程の実務を経験することで身につきますが、後輩がいる場合には育成に積極的に関わることでマネジメント力を伸ばせます。
次の章では、インフラエンジニアのおすすめの資格について見ていきましょう。
インフラエンジニアのおすすめの資格
インフラエンジニアのおすすめの資格として、代表的な3つを挙げました。
・ネットワークスペシャリスト
・AWS(Amazon Web Services)認定資格
・Microsoft Azure認定資格
『ネットワークスペシャリスト』は情報処理技術者試験のなかで、もっとも難易度の高いレベルの資格です。
合格すれば、ネットワークのプロとして通用する技術があると認められ、年収を上げられるでしょう。
『AWS認定資格』は、Amazon社が展開するサービスを取り扱う能力が問われる資格で、セキュリティやネットワークなど分野ごとに資格が分かれています。
取得している従業員が一定数いる場合、AWSよりパートナー認定されるため、AWSを企業で利用しているのであれば取得するとよいでしょう。
『Microsoft Azure認定資格』は、Microsoft社が展開するクラウドサービスであるAzureの資格です。インフラエンジニアに関する資格は50種類以上あり、企業でAzureを導入していれば付加価値を高められるでしょう。
どの資格もインフラエンジニアのキャリアアップの手助けとなるため、積極的に取得することをおすすめします。
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まとめ
この記事では、インフラエンジニアの平均年収と年収を上げる方法について詳しく解説しました。
年収を上げる方法は、以下のポイントを押さえることが重要です。
・インフラエンジニアは、クラウドの普及により今後も将来性がある職種である
・インフラエンジニアは、実務経験や高いポジションに就くことで、年収アップが期待できる職種である
・インフラエンジニアが学ぶべきスキルには、クラウドやセキュリティなどのさまざまなスキルがある
ご紹介した方法でキャリアアップに向けて行動することで、年収アップが実現する可能性が高まります。
この記事が、現在インフラエンジニアをしている人やこれから目指す人の一助となれば幸いです。