
会社紹介
社名:株式会社みんなの銀行
代表者:取締役頭取 永吉 健一
事業内容:
・B2C事業(個人向け金融サービス)
・B2B事業(法人向け金融サービス)
・BaaS事業(Banking as a Service)
・バンキングシステム提供事業
2021年にサービス提供を開始した「みんなの銀行」は、日本初のスマートフォン専業のデジタルバンクです。口座開設から入出金、支払い、貯蓄、ローンまで、銀行サービスをスマートフォン上で完結できる新しい金融体験を提供しています。
その裏側では、銀行システムをフルスクラッチで構築し、現在は内製化を推進。さらに、要件定義から設計、開発、テストまでAI活用を広げ、開発プロセスそのものの進化にも取り組んでいます。
今回は、開発組織を率いる宇留島宏佳さんと、AI 駆動開発・SET(テスト自動化・品質エンジニアリング)を推進する金丸祐介さんに、みんなの銀行のエンジニア組織や開発環境、銀行システムの内製化、AI駆動開発への取り組みについて伺いました。さらに、AI時代に求められるエンジニア像や働き方、組織文化など、みんなの銀行への転職を検討するエンジニアが気になるポイントについても詳しくお聞きします。
プロフィール
Application Development Headquarters / Engineering Division1&2
Division Manager 宇留島 宏佳さん
SIerでFXシステムや公共系システムの開発を経験した後、2020年に株式会社ふくおかフィナンシャルグループへ中途入社。みんなの銀行の設立準備段階からバックエンドエンジニアとして参画し、開発組織の立ち上げ・拡大を経て、マネジメントへ転向。現在はApplication Development HeadquartersのDivision Managerとして、複数のバックエンド開発チームに加え、アプリケーション基盤やAI導入、テスト自動化などを担うチームを横断的にマネジメントしている。
Application Development Headquarters / Engineering Division1 AI&SET Group
Group Manager 金丸 祐介さん
Javaエンジニアとしてキャリアをスタートし、多様な業界において、受託・請負から自社サービス開発まで幅広く経験。PL・PMとしての実績も重ね、2022年にみんなの銀行へ入社。みんなの銀行ではローン機能のシステム開発・保守運用やエンジニアリングマネジメントを担当し、現在はAI駆動開発の推進チームと、テスト自動化を中心としたSETチームの双方でGroup Managerを務める。
フルスクラッチだから実現できる、みんなの銀行のスピードと柔軟性

―― みんなの銀行が展開している事業について教えてください。
宇留島 宏佳さん(以下、宇留島):
大きく4つの事業があります。
1つ目は、一般のお客さまにスマートフォンアプリを通じて銀行サービスを提供するB2C事業です。店舗を持たず、口座開設からさまざまな銀行取引まで、基本的にスマートフォンで完結するサービスを提供しています。
2つ目は、法人向け銀行サービスのB2B事業です。最短翌営業日の口座開設やパスキー認証、リーズナブルな手数料などを通じて、スモールビジネスが抱える「時間・手間・コスト」の負担を削減しています。2026年4月に始まったばかりなので、今後は機能を拡充していく予定です。
3つ目はBaaS(Banking as a Service)事業です。銀行以外の事業者さまに、みんなの銀行が持つ銀行機能をAPIとして提供し、それぞれのサービスに組み込んでいただいています。
例えば、ピクシブ様やメルカリ様との取り組みがあります。メルカリ様では、メルカリアプリの中で「メルカリバンク」として銀行口座を開設・利用できる仕組みに、みんなの銀行の機能が活用されています。
そして4つ目が、銀行システムそのものを外部に提供する事業です。みんなの銀行は、一般的な銀行のように既存のパッケージを導入するのではなく、銀行システムをゼロからフルスクラッチで構築しています。自分たちでつくったシステムだからこそ、それ自体を外部へ提供できることも大きな特徴です。
―― 一般的な銀行と比べて、みんなの銀行のシステム開発や内製化にはどのような特徴がありますか?
宇留島:
まず、お客さまから見える部分でいうと、アプリのデザインやUXは大きく違うと思います。ホーム画面にもイラストを大きく取り入れるなど、視覚的な分かりやすさにこだわっています。
また、細かな説明を読まなくても直感的に操作できるよう、操作性についても継続的に改善しています。見た目のデザインだけでなく、使いやすさを含めた体験全体をより良くしていくことを大切にしています。
開発の面でも違いがあります。現在は銀行システムの内製化を進めており、自分たちでシステムを開発し、運用しています。そのため、不具合や改善したい点があった際にも、外部ベンダーとの契約や調整を待つのではなく、自分たちで対応することができます。
また、サービスを継続しながらリリースできる仕組みも整えており、緊急性の高い修正などにも迅速に対応できます。BaaS事業でも、提携先から「こういうことを実現したい」という要望をいただくことがあります。特定のパートナーだけのための機能をつくるというより、「みんなの銀行のAPIを使って、どう実現できるか」を一緒に考えていける。そうした柔軟性も、フルスクラッチでシステムをつくっているからこその強みだと思います。
―― 金丸さんは以前も銀行向けシステムに携わっていたそうですが、みんなの銀行に入って違いを感じた部分はありますか?
金丸 祐介さん(以下、金丸):
一番違いを感じたのは、リリースまでのスピード感ですね。
前職で銀行向けのシステムに携わっていたときは、システムを納品してから、実際に銀行のお客さまが使えるようになるまで1カ月以上かかるケースもありました。
みんなの銀行では、システムの内製化を進め、自分たちで開発から保守・運用まで担っているので、リリースまでのスピードは大きく違うと感じています。
ただ、私たち自身は「他と比べて速いから十分」とは考えていません。より速く、より効率的に開発するために、仕組みや進め方そのものを変えていきたいと考えています。その取り組みの一つとして、現在特に力を入れているのがAIの活用です。単に今の開発工程にAIを取り入れるのではなく、AIを使うことを前提に、開発のあり方自体を見直していこうとしています。
銀行×AI。みんなの銀行が進める「AI駆動開発」とは

―― みんなの銀行の開発組織について、体制や規模感を教えてください。
宇留島:
開発組織は、CIOのもとでアプリケーションやインフラなどの領域に分かれています。社員を中心に、各領域には開発パートナーにも参画いただきながら開発を進めています。
アプリケーション開発では、モバイルやバックエンドなど領域ごとのチームに加え、AI活用やテスト自動化など、組織横断で改善を進めるチームもあります。セキュリティやITガバナンスについては、専門組織と連携しながら進めています。
―― 現在、AI駆動開発を推進する「AIスクラム」を立ち上げています。AI活用に本格的に取り組み始めた背景を教えてください。
宇留島:
本格的に取り組み始めたのは2025年春頃です。AIの進化によって、今後はエンジニアの働き方や開発プロセスそのものが大きく変わっていくと考え、「AIスクラム」という推進チームを立ち上げました。アプリケーションやインフラなど、組織を横断してメンバーを集め、AIツールの検証・導入を進めています。
銀行としてAIを利用する以上、セキュリティやガバナンスの確認は欠かせません。通信や情報の扱い、利用規約や責任範囲などを各専門部門と確認しながら、「銀行だから使わない」のではなく、安全に使うための環境を整えるという考え方で取り組んできました。
―― 現在は、開発のどのような工程でAIを活用しているのでしょうか?
宇留島:
かなり幅広く使っていて、今では使っていない工程の方が少ないと思います。
要件定義や設計の段階からAIを使いながら内容を整理し、それをもとに開発を進める。さらにテストでもAIを活用するというように、開発工程全体にAIが入ってきています。
ただ、単純にこれまで人間がやっていた仕事をAIへ置き換えているだけではありません。AIを使うことを前提に、開発のやり方そのものを変えていくことも同時に進めています。
例えば、従来のように人間が画面を一つひとつ操作してテストする方法では、AIによる自動化には限界があります。そこで、AIが操作やテストを行えるような仕組みに変えていく。AIをより効果的に活用するために、そもそも開発プロセスをどう設計すべきかというところから見直しています。
AIと働く時代に求められる、エンジニアの役割とは

―― AIが開発工程のさまざまな場面で使われるようになる中で、人間が担う役割はどのように変わっていくと思われますか?
宇留島:
コードを書くなど、実際に手を動かす部分は、今後さらにAIに任せられるようになると思っています。一方で、人間が担うべきなのは「どうあるべきか」を考えることです。
AIに対して目的や前提を伝え、その結果が意図したものになっているかを確認する。そして最終的に責任を持つ。AIの活用が進んでも、そこは人間のエンジニアに残る役割だと考えています。
今後はAIの作業を人間が一つひとつ確認する必要はなくなるかもしれません。それでも、期待した結果になっていることを担保する責任は人間に残ると思います。
―― これからのエンジニアにはどのようなスキルが求められると考えていますか?
金丸:
一つは、言語化する力です。
これまでは人同士だからこそ、暗黙知や雰囲気で伝わっていたこともあったと思います。ただ、AIにはそれでは伝わりません。ドキュメント化されていない考えやナレッジも含めて、相手が理解できる形で適切に伝える力が、これまで以上に重要になると思っています。
もう一つは、本質的な課題を見つけ、定義する力です。
これまでは「どう解決するか」という部分がエンジニアの大きな強みでしたが、そこは今後AIに任せられる範囲が増えていくと思います。
そうなると、人間により求められるのは「なぜそれをやるのか」「本当に解決すべき課題は何なのか」「ユーザーが求めているものは何なのか」を考えることです。Howだけではなく、WhatやWhyを考え、AIに任せられるレベルまで課題を整理する力が重要になると考えています。
自ら考え、学び、動く。みんなの銀行のエンジニア組織と開発文化

―― みんなの銀行の開発組織には、どのようなメンバーが多いですか?
宇留島:
自分で考えて、行動に移せるメンバーが多いと思います。
私たちは自分たちでシステムを開発し、運用もしているので、例えば障害が発生したときも、必ずしも私が入らなくても、各チームの責任者を中心に自分たちで対応してくれています。
また、同じやり方を続けるのではなく、「こういう課題があるので、別の技術や方法に変えたい」といった提案もメンバーから出てきます。より良いプロダクトや、より良い開発のために何ができるかを、自分たちで考えて行動する文化があると思います。
―― メンバーの学びや成長を支える取り組みについても教えてください。
宇留島:
私が見ているチームでは、育成の一環として週に1時間ほど技術書の輪読会を行っています。
ただ本を読むだけではなく、その内容と自分たちが担当するプログラムを掛け合わせながら、「自分たちの開発ではどう考えるべきか」を議論しています。
AIが賢くなる中でも、そのアウトプットが適切なのかを判断するためには、人間側にも知識が必要です。新しい技術を取り入れるだけでなく、その土台となるエンジニアとしての知識を継続的に深めていくことも大切にしています。
リモートワーク・フレックスも活用。みんなの銀行のエンジニアの働き方

―― 働き方について教えてください。
宇留島: 組織として最も生産性が高まる働き方を、各人・各組織が自律的に選択するという考え方を大切にしています。その前提のもと、出社とリモートワークを選択できる環境を整えており、適宜リモートワークも活用しながら働いているメンバーもいます。
実際には在宅勤務をしているメンバーが多いですね。フレックスも活用されていて、途中で仕事を抜けたり、朝早くから働いて保育園へ送っていったり、夕方に迎えに行ったりするメンバーもいます。
私自身も子どもが保育園に通っているので、送り迎えに合わせて働き方を調整することがあります。
―― リモート中心の環境では、メンバー同士のコミュニケーションをどのように取っていますか?
宇留島:
リモート中心だからこそ、意識的にコミュニケーションの機会をつくるようにしています。
例えば、毎週の定例ミーティングでは、メンバーが交代で司会を担当し、「小話」などを通じてお互いの人となりを知る場を設けています。
また、バーチャルオフィスも活用し、誰がどこで会話やミーティングをしているのかが分かる、話しかけやすい環境づくりにも取り組んでいます。
東京と福岡のメンバーが直接会う機会は多くありませんが、東京で入社したメンバーには入社後に福岡へ来てもらう機会を設けるほか、必要に応じて対面で1on1を行うなど、リモートを基本としながらもコミュニケーションが不足しないよう工夫しています。
実際に入社を決めたエンジニアが語る、みんなの銀行の魅力
社内SE転職ナビでは、実際にみんなの銀行への入社を決めたKさんにもインタビューしています。自社開発の環境や柔軟な働き方、新しい技術に挑戦できる点に魅力を感じ、入社を決めた経緯を紹介しています。
▶みんなの銀行への転職を決めたエンジニアのインタビューはこちら
高い品質とモダンな技術。その両方に挑戦したい人へ

―― みんなの銀行では、どのような方が活躍していますか?
宇留島:
これまでの経歴そのものよりも、自ら考え、行動に移せる方が活躍していると思います。
「こうした方がいい」と提案するだけでなく、自ら手を動かして実現まで進めたり、周囲を巻き込みながら取り組みを前に進めたりできる方ですね。自分たちでシステムを開発・運用しているからこそ、より良いものにするために何ができるかを考え、実行に移す姿勢は大切だと思います。
―― 最後に、みんなの銀行への転職を検討している方へメッセージをお願いします。
宇留島:
銀行システムは、業務ロジックや要件が複雑で、高い信頼性や品質も求められます。一方で、みんなの銀行ではAIをはじめとしたモダンな技術にも積極的に取り組んでいます。
難しい領域に向き合いながら、新しい技術にも挑戦したい方には面白い環境だと思います。決められたやり方に沿うだけではなく、自ら考え、周囲のエンジニアと議論しながら、より良い開発のあり方をつくっていきたい方に来ていただきたいですね。
金丸:
みんなの銀行は、まだまだ開発の仕組みや仕事の進め方をより良くしていける組織です。「もっとこうした方がいい」と考えたことを行動に移し、その取り組みを周囲にも広げていける方には、挑戦できることが多い環境だと思います。
また、リモートワークやフレックスを活用しながら、自分の生活スタイルに合わせて働くこともできます。仕事もプライベートも大切にしながら、変化を楽しめる方と一緒に働けたらと思っています。
編集後記
今回のインタビューから見えてきたのは、みんなの銀行が銀行システムの内製化を進めながら、AI駆動開発やテスト自動化など、新しい開発手法を積極的に取り入れていることです。銀行システムに求められる高い品質・セキュリティと、モダンな技術への挑戦を両立できる点は、みんなの銀行の開発組織ならではの特徴といえるでしょう。
また、エンジニアには単にコードを書く力だけではなく、「何を実現するべきか」「なぜ取り組むのか」を考え、AIを活用しながら課題解決を進める力が求められています。リモートワークやフレックスといった柔軟な働き方を活用しながら、技術力を磨き、銀行システムという難易度の高い領域やAIを活用した新しい開発に挑戦したいエンジニアにとって、注目したい環境です。
働き方の柔軟性も大切にしながら、技術力を磨き、難易度の高いシステム開発や新しい技術に挑戦していきたい方に、ぜひ知っていただきたい企業様です。
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