通勤時間がなく、自分のペースで働ける点に魅力を感じ、フルリモート勤務を希望する方は増えています。一方で、孤独感やオン・オフの切り替えの難しさなどから、「フルリモートは思ったよりきつい」と感じる人も少なくありません。
この記事では、フルリモート勤務で感じやすい課題や、疲れやすい人の特徴、働き方を見直すヒントについて解説します。「今の働き方が合っていないかも」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

フルリモートがきついと言われる理由
フルリモート勤務は通勤のストレスから解放され、自分のペースで働けるというメリットがありますが、その一方で、働く環境や心理面での課題を感じる人も少なくありません。オフィス勤務とは異なるスタイルであるがゆえに、特有の悩みが生じやすく、心身に負担を感じるケースもあります。
特に社内SEのように、関係部署とのやり取りや情報共有が日常的に発生する職種では、リモート環境における連携の難しさが、仕事の進めづらさやストレスにつながることもあります。
ここでは、フルリモート勤務が「きつい」と言われる主な理由を整理し、なぜそう感じやすくなるのかを詳しく見ていきましょう。
孤独感が強い
フルリモートワークできついと言われる理由のひとつが孤独感の強さです。オフィスでの雑談や対面でのコミュニケーションが減るため、孤独や孤立を感じやすくなるからです。
エンジニアの仕事はPCに向かう時間が長いものの、オフィスであれば、ちょっとした技術的な相談やランチタイムの雑談が、気づかないうちに気分転換や連帯感の醸成につながっていました。リモート環境ではそのような機会が失われがちです。
チャットやビデオ通話ツールはありますが、相手の時間を奪うことへの配慮から、業務以外の気軽な会話はためらわれることが多いでしょう。誰とも話さない日が続くと、社会から切り離されたような感覚に陥り、精神的に不安定になるケースも少なくありません。
オン・オフの切り替えが難しい
仕事場と生活空間が同じであるフルリモートでは、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりがちで、オン・オフの切り替えに苦労する人もいます。
リビングのテーブルで作業していると、休憩中も仕事の機材が目に入り、完全にリラックスすることが難しくなります。終業時間を過ぎても「もう少しだけ」と作業を続けてしまい、結果的に長時間労働につながるケースも珍しくありません。
自宅は本来リラックスする場所であるはずが、常に緊張感を伴う空間となり、ストレスが蓄積しやすくなります。燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクにもつながります。意識的に切り替えの工夫をしないと、心身の健康を損なうことにもなりかねません。
評価が見えづらい
フルリモート環境では、仕事のプロセスや努力が上司や同僚に見えにくいため、成果物だけで評価されがちになるという問題があります。自分の頑張りが正当に評価されていないと感じ、理不尽さやモチベーションの低下につながりかねません。
オフィスにいれば、難易度の高い課題に粘り強く取り組む姿勢や、チームのために率先して動く姿も評価の対象になり得たものの、リモートでは伝わりにくいのです。逆に、コミュニケーションの量やチャットのレスポンスの速さといった、本来の業務成果とは直接関係のない部分で評価される場合もあります。
成果を出すことはもちろん重要ですが、その過程が見えにくいことへの不安は、フルリモートがきついと感じる理由のひとつです。
設備・環境が整っていないことがある
快適な業務遂行に不可欠な設備や環境が自宅に整っていないと、フルリモートがきついと感じるでしょう。高速なインターネット回線や、身体への負担が少ない椅子・机などは、自宅では自己責任で準備しなければなりません。
Web会議中にネット回線が不安定になって音声や映像が途切れてしまったり、リビングで長時間作業した結果、肩こりや腰痛に悩まされたりするケースは少なくありません。また、PCのスペックが低いと、日々の業務効率を下げ、大きなストレスとなり得ます。
集中できる環境が確保できなければ、仕事の質も下がり、精神的な疲労も蓄積しやすくなります。快適なワークスペースを整えて、フルリモートで高いパフォーマンスを維持しましょう。

フルリモートで疲れやすい人の特徴
フルリモートは、すべての人に快適とは限りません。通勤のストレスがないなどのメリットがある一方で、特定のタイプの人はかえって疲れやストレスを感じやすい傾向があります。自分の特性を理解し、働き方が合っているかを見極めて、心身の健康を保ちながら仕事を続けましょう。
ここでは、フルリモートで疲れやすい人の主な特徴を紹介します。どのような点に困難を感じやすいのかを事前に確認し、対策を行ったうえでフルリモートで働いてください。
人との会話が好きなタイプ
同僚との雑談や対面でのコミュニケーションが好きな人は、フルリモート環境で孤独感や物足りなさを感じ、疲れやすくなる傾向があります。オフィスでの何気ない会話は、チームの一員であるという安心感を得るうえでも重要です。
リモートワークでは、気軽なコミュニケーションの機会が激減します。チャットやビデオ会議は主に業務連絡が中心となり、目的のない雑談は生まれにくい環境です。会話が好きな人は刺激が少なく感じ、気分が沈みがちになる場合もあります。
一日中誰とも話さずにいると、社会から孤立しているような感覚に陥りかねません。意識的にオンラインでの雑談時間を設けたり、社外のコミュニティに参加したりする工夫が求められます。
スケジュール管理が苦手な人
フルリモート勤務では、オフィス勤務のように決まった始業・終業時間や周囲の目がないため、自己管理能力が不可欠です。 もともとスケジュール管理やタスク管理が苦手な人は、時間の使い方に苦労し、疲れやすくなる傾向があります。
オフィスにいれば、周りの同僚が集中して作業している雰囲気から自然と仕事モードに入れますが、自宅ではテレビや私用のスマートフォンなど、誘惑が多く存在します。集中するタイミングを逃してしまうと、簡単なタスクにも時間がかかり、結果的に業務が溜まってしまいかねません。
時間の区切りをつけられず、ダラダラと仕事をしてしまう人は、生産性が上がらないだけでなく、仕事に追われている感覚になり、精神的に消耗してしまうでしょう。

生活リズムが乱れがちな人
生活リズムが乱れやすくなる人も、フルリモートで疲れやすい特徴のひとつです。決まった時間に起き、家を出る必要がないため、つい夜更かしをして朝起きるのが遅くなるからです。
不規則な生活が続くと、睡眠不足や昼夜逆転につながり、日中の集中力やパフォーマンスの低下を引き起こします。作業効率が悪くなり、仕事が終わらずにさらに夜更かしをするという悪循環に陥りかねません。体調不良を引き起こしやすくなり、精神的な健康にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
オフィス勤務では確立されている基本的な生活リズムを、フルリモートでは自らの意志で維持しなければなりません。身体的な疲労や精神的なストレスを避けるために、自己管理を徹底してください。
フルリモートで疲れたときの対処法
フルリモートで疲れを感じたとき、放置してしまうと心身の不調につながりかねません。「きつい」と感じたら、働き方を見直すサインと捉えましょう。精神論で乗り切ろうとせず、具体的な行動で環境や仕事の進め方を改善することをおすすめします。
ここでは、フルリモート疲れに有効な方法を3つ紹介します。物理的な環境を整えることから、仕事の進め方を工夫することまで、すぐに実践できるものばかりなので、ぜひ試してみてください。
ワークスペースを見直す
フルリモートで疲れを感じたら、仕事をする物理的な環境、つまりワークスペースを見直しましょう。長時間過ごす場所だからこそ、少しの改善が身体的な負担を軽減し、作業効率の向上につながります。
体に合った椅子や、適切な高さのデスクを導入しましょう。ダイニングチェアやローテーブルでの作業は、腰痛や肩こりの原因となります。PC画面だけでは作業領域が狭いため、外部モニターを導入すると、格段に作業効率が上がります。手元を明るくするデスクライトもおすすめです。
最初に費用がかかるものの、快適に働き続けるための投資です。オフィス以上に集中できる空間を自宅に作れば、身体的な疲れが減り、精神的にも前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。
仕事用とプライベートの空間を分ける
仕事とプライベートのオン・オフを切り替えるために、物理的に空間を分ける方法は有効です。同じ部屋で仕事と休息の両方を行うと、リラックスすべき時間に仕事が頭から離れなかったり、逆に仕事中に集中できなかったりします。
理想は仕事専用の部屋を用意することですが、難しい場合でも工夫は可能です。部屋の角にデスクを置き、パーテーションや本棚、カーテンなどで簡易的に仕切るだけでも、「ここから先は仕事スペース」という意識が生まれます。
「仕事専用の椅子に座る」「仕事用の服に着替える」といった行動もおすすめです。仕事モードとリラックスモードのメリハリがつき、長時間労働の防止や精神的なストレスの軽減につながります。
作業内容を細分化して進める
大きなプロジェクトや複雑なタスクに取り組む際、全体像が掴めずに圧倒されてしまい、疲れを感じる場合もあります。作業内容をできるだけ細かく分解(細分化)して進めると良いでしょう。一つひとつのタスクが明確になり、着手しやすくなるからです。
「新規機能の開発」というタスクがあった場合、「要件定義の確認」「DB設計」「API設計」といったように、小さく管理しやすい単位に分割します。タスク管理ツールなどを使ってリスト化すると、進捗が可視化され、達成感を得やすくなるでしょう。
タスクが小さくなれば、休憩を取るタイミングも掴みやすくなり、精神的な負担が軽減されます。漠然とした不安は具体的な行動計画に変えて、フルリモートの疲れを乗り越えましょう。
フルリモートに向いている人
フルリモートは、特有の課題がある一方で、特性を活かして高いパフォーマンスを発揮できる人もいます。通勤時間がなく、自分のペースで仕事に没頭できる環境は、特定の人にとっては理想的です。自分がフルリモートに向いているかどうかを知れば、キャリアプランを考える上での指針となるでしょう。
ここでは、フルリモートでの仕事に適性がある人の特徴を3つ解説します。いずれの特徴も、自律性や自己解決能力と深く関わっています。
一人で黙々と作業するのが好きな人
周囲の雑音に邪魔されたり、話しかけられたりすることなく、自分のペースで集中して作業に没頭するのが好きな人は、フルリモートがおすすめです。リモート環境では、同僚からの急な相談や電話対応などが少なくなり、作業の中断が減少するからです。
コーディングや設計など、深い集中を必要とするエンジニアにとって、この環境は大きなメリットとなります。静かな環境で誰にも邪魔されずに一つのタスクに集中できるため、生産性の向上が期待できます。
自己解決能力が高く、不明点があっても自分で調べて解決できるタイプの人は、他者とのコミュニケーションが少なくても業務を遂行できます。したがって、フルリモートのメリットを最大限に享受できるでしょう。
ITリテラシーが高い人
ITリテラシーが高い人は、フルリモート勤務においても安定したパフォーマンスを発揮しやすい傾向があります。フルリモートでは、PCやネットワーク、業務ツールなどのトラブルに直面した際、基本的に自分で状況を把握し、必要な対応を行う力が求められるからです。
たとえば「VPNに接続できない」「リモートデスクトップが不安定」「社内システムが表示されない」といった問題は、テレワーク環境では日常的に発生し得ます。そうした際に、切り分けや原因の推定、一次対応までを自身で行える人は、業務への影響を最小限に抑えられます。
特に社内SEのように情報システムの知識を活かす職種では、自らの業務を円滑に進めるだけでなく、他部署からの問い合わせやサポート依頼にも冷静に対応できる力が重要です。ITインフラに関する幅広い理解やトラブルシューティング能力は、フルリモート環境下でも高く評価されるスキルと言えるでしょう。
コミュニケーションを文面で行える人
自分の意図を正確かつ簡潔に文章で伝えられる能力のある人は、フルリモートで業務をスムーズに進めることができます。フルリモートのコミュニケーションは、チャットやメール、ドキュメントといったテキストベースが中心となるからです。
対面であれば表情や声のトーンで補足できるニュアンスも、テキストでは伝わりにくく、書き方次第では誤解を生む可能性もあります。要点をまとめて箇条書きにする、結論から先に書く(PREP法)、相手が判断しやすいように情報を整理して提示するなど、明確で分かりやすい文章を作成する工夫ができる人は高く評価されます。
文章でのやり取りを苦としない、むしろ得意とする人は、フルリモートという働き方に適していると言えるでしょう。

フルリモートの求人を探す方法
フルリモート勤務には向き・不向きがあるとはいえ、「通勤に縛られず働きたい」「自宅で集中できる環境を作りたい」などの理由で、あらためてフルリモートに挑戦したいと考える方も多いのではないでしょうか。
IT業界では、フルリモート勤務を認める企業が増えており、社内SE職においても「完全在宅勤務可」「週数日のリモートワーク可」といった求人が見られるようになっています。自分の働き方に合った職場を見つけるためには、信頼できる情報源から効率的に求人を探すことが重要です。
ここでは、正社員でフルリモート勤務を目指す際に有効な方法をご紹介します。
IT系転職エージェントを活用する
正社員として安定した環境でフルリモート勤務を希望するなら、IT業界に特化した転職エージェントを活用するのが効果的です。とくに「社内SE」など自社のシステムやインフラに関わるポジションでは、企業とのマッチング精度が重要になるため、エージェントを通じて希望条件に合う求人を紹介してもらうのが安心です。
転職エージェントでは、一般には公開されていない「非公開求人」も多数取り扱っており、「フルリモートOK」「全国どこからでも勤務可能」といった柔軟な勤務形態の案件に出会えるチャンスがあります。
また、「自分の市場価値を知りたい」「リモートワークに不安がある」といった相談にも親身に乗ってくれるため、納得感をもって転職活動を進めたい方にとって、非常に心強い存在です。
求人サイトで「リモート可」の条件を細かくチェックする
「フルリモート」や「テレワーク可」と記載された求人は近年増えており、IT系求人サイトでも条件を絞って検索することで、希望に合った働き方を見つけやすくなっています。
ただし、「リモート可」と一口に言っても、実際にはその運用方法や頻度、評価体制に大きな差があるのが現実です。
たとえば以下のような違いがあります:
- 完全在宅勤務が前提か、それとも週1~2回出社があるか
- 入社後すぐにリモートなのか、研修期間のみ出社が必要なのか
- チームや上司との連携に、どの程度オフラインの要素が残っているか
- リモート勤務でも、成果だけでなくプロセスやコミュニケーションも評価対象となっているか
求人票では「フルリモート可」と記載されていても、実際には出社前提の文化が残っていたり、評価が成果物重視に偏っていたりするケースもあるため、表面的な条件だけで判断するのはリスクがあります。
気になる求人を見つけた場合は、転職エージェントに実態を確認してもらうことが大切です。企業側の運用実態や、実際にリモートで活躍している社員の事例など、ネット検索では得られない情報を踏まえて判断することで、ミスマッチを防ぐことができます。
社内SEの求人なら社内SE転職ナビ

「フルリモートOK」と書かれていても、実際には「週1出社あり」「研修期間は出社」など、企業ごとに運用はさまざま。求人票だけでは分からない情報を見極めるには、エージェントの確認が欠かせません。
10,000件以上の求人を保有する社内SE転職ナビでは、リモート可の求人を多数掲載しているだけでなく、「本当に出社なしで働けるのか」「どんな評価制度か」といった実態をしっかり把握し、あなたに合った職場をご提案します。自分に合うリモート環境で働きたい方は、ぜひご相談ください。
まとめ
本記事では、「フルリモートはきつい」と感じる理由や、その対処法、向いている人の特徴について解説しました。
孤独感やオン・オフの切り替えの難しさ、成果の見えにくさ、設備面の課題など、フルリモートならではの悩みは少なくありません。とはいえ、自分に合った環境や働き方を整えれば、ストレスを減らし、集中して働くことも十分に可能です。
もし今の働き方に違和感がある、フルリモートの求人を検討したいという方は、求人票だけで判断せず、エージェントに相談してみてください。あなたにとって無理なく続けられる働き方を、一緒に見つけていきましょう。



