QAとはQuality Assurance(品質保証)の略で、QAエンジニアの業務はシステムやソフトウェアの品質保証を担当します。QAエンジニアになると、どんなキャリアパスが描けるのでしょうか。
この記事では、QAエンジニアを目指している人や現役のQAエンジニア向けの、必要なスキルやキャリアパスについて解説します。
QAエンジニアのキャリアパスとは?
未経験から始めた初心者QAエンジニアは、どのようなキャリアを歩んでいくのでしょうか。段階的に習得するべきスキルや、業務内容を紹介します。
0~2年程度
初心者のQAエンジニアのキャリアは、基礎的な業務を通じてソフトウェア開発と品質管理の基本を学ぶことから始まります。最初のステップは、手動テストやバグレポートの作成、品質管理プロセスの理解です。開発者や他のQAエンジニアと協力しながらテストケースを作成し、手動テストを実施します。ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の流れや、品質管理におけるQAの役割を把握するための基礎的なスキルです。
手動テストでは、細かい作業に対する注意力や忍耐力が必要です。また、JIRAやRedmineなどのバグトラッキングツールを使用してバグの記録や管理を行います。さらに、バグ修正プロセスや品質管理全体の役割を学び、開発者とのコミュニケーションを通じて問題解決スキルを身に付けます。
この段階は、一般的に0~2年程度の経験を想定しています。基礎的な業務をしっかりと身につけることで、高度なQAスキルやテスト自動化を習得するための土台を築くことができるでしょう。
3~5年程度
QAエンジニアとして3~5年程度の経験を積むと、周囲から「中堅エンジニア」として扱われることが多くなるでしょう。この段階では、単なる手動テストだけではなく、テスト自動化やプロセス改善といった高度な業務に携わるようになります。具体的には以下のようなスキルが求められます。
- テスト自動化:SeleniumやAppiumを使ったテストスクリプトの作成。
- CI/CD環境の活用:JenkinsやGitLabでの自動テストの導入。
- プロセス改善:テスト環境の効率化や品質管理プロセス全体の改善提案。
- リーダーシップ:テスト戦略の立案やチームメンバーへの指導。
中堅エンジニアは、プロジェクト全体を見渡し、開発チームやプロジェクトマネージャーと連携して品質管理の改善に貢献する役割を担います。また、新しいツールやテスト手法の導入を積極的に行い、チーム全体の生産性向上を目指します。
さらに、プロジェクトリーダーとして進捗管理やタスクの割り振りを任される機会も増えます。この経験を通じて、QAマネージャーやテストアーキテクトといったリーダーシップポジションや専門的なキャリアへの道が開けていきます。
QAエンジニアのスキルセットと求められる能力
QAエンジニアとしてのキャリアアップしていくためには、求められるスキルや能力を身に付けていく必要があります。ここからは、QAエンジニアに必要なスキルと求められる能力について解説します。
手動テストから自動化テストへの移行
QAエンジニアにとって手動テストは基本的なスキルですが、近年の開発スピードの向上やシステムの複雑化により、自動化テストの重要性が増しています。自動化テストは、効率よく正確な品質管理を行うために欠かせないものです。SeleniumやAppiumなどの自動化ツールを活用すれば、手動テストにかかる時間を短縮し、より多くの範囲をテストすることが可能になります。
自動化スキルを磨くことで、QAエンジニアとしてのキャリアパスが広がり、より高度な役割を任せられる機会が増えるでしょう。
テスト管理とリーダーシップスキルの重要性
QAエンジニアにとって、テスト管理やリーダーシップスキルは、キャリアパスを切り開く上で欠かせない能力です。大規模プロジェクトでは、適切なテスト計画を立て、進捗を管理することも重要です。チーム全体で品質目標を達成するために、リーダーとして指揮をとる役割も求められます。
テスト管理ではスケジュール調整やリソース配分を行い、開発者やプロジェクトマネージャーと密な連携を取ることが必要です。リーダーシップスキルは、チームのモチベーションを高め、全員が同じ目標に向かって進む環境を作るために必要不可欠です。
スキルを磨くことで、QAエンジニアの役割を超え、プロジェクト全体を成功に導く中心的な存在になることができます。
QAエンジニアのキャリアパスの選択肢
QAエンジニアとして活躍し続けると、どのようなキャリアパスが描けるのでしょうか。
キャリアパスの選択肢は、以下のとおりです。
- テストマネージャーやリーダーへの昇進
- 自動化エンジニアやテストアーキテクトへの道
- DevOpsエンジニアへの転向
- プロジェクトマネージャーやプロダクトオーナーとしてのキャリア
テストマネージャーやリーダーへの昇進
QAエンジニアとして経験を積むことで、テストマネージャーやQAリーダーへ昇進できる可能性があります。業務内容としては、チーム全体のテスト戦略の策定や、プロジェクト全体の品質を保証するためのプロセスの監督などがあります。メンバーの指導やリソース管理、スケジュール調整といったチームマネジメントも必要です。
こうしたポジションに就くことで、プロジェクト全体の品質を左右する、重要な意思決定を任されるようになります。QAエンジニアとしてのスキルを磨き経験を積むことが、キャリアアップに必要不可欠です。
自動化エンジニアやテストアーキテクトへの道
技術スキルを高めたいQAエンジニアにとって、自動化エンジニアやテストアーキテクトになるという選択もあります。これらのポジションでは、手動テストの自動化を通じてテストの効率化と精度向上を目指し、ツールやシステムの設計・導入を担当します。テストアーキテクトは、プロジェクト全体を見渡しながらテスト戦略の設計やプロセスの改善を進め、品質保証の強化に関わる重要な役割です。
技術力を深めるだけでなく、プロジェクト全体へ貢献することができます。次のステップへキャリアアップするチャンスを掴むためにも、自動化やテストアーキテクトの専門知識を積み重ねていきましょう。
DevOpsエンジニアへの転向
キャリアパスの選択肢として、DevOpsエンジニアへの転向という道があります。DevOpsエンジニアは、開発と運用をつなげて、ソフトウェアの継続的な提供と高い品質の維持を行う重要な役割です。QAエンジニアの経験は、DevOpsエンジニアに必要なスキルに活かすことができます。テスト自動化やCI/CDパイプラインの知識は、DevOpsの基盤となるでしょう。
これまでのテスト自動化の経験は、DevOpsにおける継続的インテグレーション(CI)や継続的デリバリー(CD)のプロセスにも直接活かせることができます。DockerやKubernetesなどのインフラ技術やPython、Rubyといったスクリプト言語を習得することで、他のDevOpsエンジニアと差別化を図ることできます。これらのスキルは、自動化やインフラ管理において重要な役割のため、QAエンジニアからDevOpsエンジニアへの転向を成功させる強力なアピールポイントとなるでしょう。
プロジェクトマネージャーやプロダクトオーナーとしてのキャリア
QAエンジニアとしての経験を活かし、プロジェクトマネージャー(PM)やプロダクトオーナー(PO)といった管理職へのキャリアパスを目指すこともできます。PMの主な役割は、プロジェクト全体の進行管理やリソース配分、目標達成に向けた意思決定です。POはアジャイル開発の現場で、チームをまとめ、製品の方向性を示しながらプロダクトの価値を最大化する役割です。
QAエンジニアとして身につけた品質管理や問題解決のスキルは、PMやPOとして求められるリーダーシップやマネジメントにも役立ちます。PMやPOを目指すことで、さらに広い視野でプロジェクトや製品に貢献できる可能性が広がります。これまでの経験を活かしたキャリアパスの選択肢のひとつとして、検討する価値は十分にあるでしょう。
QAエンジニアのキャリアに関するよくある質問
最後に、QAエンジニアのキャリアに関するよくある質問について回答します。
- QAエンジニアとしてのスキルアップ方法は?
- QAエンジニアからのキャリア転向は可能ですか?
- QAエンジニアはフリーランスでも働けますか?
QAエンジニアとしてのスキルアップ方法は?
QAエンジニアのスキルアップ方法として、最初に注目すべきはテスト自動化のスキルです。SeleniumやJUnit、Appiumといったツールを学ぶことで、作業効率を大幅に向上させることができます。JavaやPython、JavaScriptなどのプログラミング言語を習得すれば、技術の幅を広げられます。CI/CDの知識を深め、JenkinsやGitLab CIを活用して自動化パイプラインを構築することで、チーム全体の開発プロセスを最適化する力を身につけられるでしょう。
専門性を高める方法も重要です。APIテストやセキュリティテスト、パフォーマンステストのスキルを習得すれば、他のエンジニアとの差別化につながります。品質管理の知識を深めると、QAの専門家としての価値を高められます。将来的にチームリーダーやテストマネージャーを目指す場合は、プロジェクト管理やリーダーシップスキルの習得も欠かせません。
QAエンジニアからのキャリア転向は可能ですか?
QAエンジニアからのキャリア転向は十分可能です。QAエンジニアの経験は、多くのIT職種で求められるスキルと密接に関わっているからです。テスト自動化の経験を活かしてDevOpsエンジニアやSRE(サイト信頼性エンジニア)に転向する道があります。これらの職種では、ソフトウェアのリリースや運用の効率化、システムの安定性向上に貢献することが可能です。
プロジェクト管理やチームリーダーとしての経験を活用すれば、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーへの転向も可能です。品質管理の視点を活かし、プロジェクト全体を円滑に進める役割を担うことができます。開発プロセスやプログラミング言語の知識があれば、Webエンジニアになる選択肢もあります。
キャリア転向を成功させるには、希望する職種に必要なスキルを明確にし、不足しているスキルを学習することが重要です。
QAエンジニアはフリーランスでも働けますか?
QAエンジニアはフリーランスとしても十分に活躍できる職業です。特にIT業界では、テスト自動化やプロジェクトマネジメントのスキルを持つ人材が高く評価されています。ソフトウェア開発の外注が増加する現代において、企業はプロジェクト単位でフリーランスのQAエンジニアを起用するケースが増えているのです。Webアプリやモバイルアプリのテスト、設計、さらには自動化スクリプト作成など、幅広い業務を担当します。
リモートワークが一般化したことで、場所に捉われず仕事ができる点も魅力のひとつです。自由度が高い反面、収入が不安定になるリスクも伴います。収入を安定させるためにも、クライアントとの信頼関係を構築し、長期契約を獲得することが重要です。ポートフォリオを充実させ、エージェントサービスを活用することで、継続的に案件を獲得しやすくなります。
テストや品質管理の経験を活かして、社内SEとしてのキャリアを築く選択肢があります。社内SE転職ナビでは、自社内でじっくりとシステム全体に携われるポジションから、情シス的な役割まで5,000件以上の公開求人を取り揃えています。
テストの自動化や品質管理スキルを活かし、システムの改善や運用に主体的に関わることで、技術を深めるだけでなく、プロジェクト全体を支えるやりがいを得られます。また、社内SEはエンドユーザーに近い立場で仕事ができるため、成果を直接感じられるのも魅力です。
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まとめ
QAエンジニアのキャリアパスを成功させるためには、段階的にスキルを習得し、現場で経験を積むことから始めましょう。求められるスキルを身に付けることができれば、テストマネージャーや自動化エンジニアなど、様々なキャリアアップの選択肢があります。エージェントサービスを活用し、理想のキャリアパスを実現させましょう。