エンジニアが転職でステップアップするには?②理想とのギャップを埋める方法【体験談】

私は家電製品の商品開発におけるソフトウェア開発組織において、ソフトウェアエンジニアをキャリアのスタートとして、その後技術リーダーやマネージャーを経験し、何度かの転職も経験してきました。

そんな私の経験から、エンジニアとして転職してステップアップしたいと考える人に対して必要な準備と進め方、取得したい資格や利用したいサービスについて説明していきます。

この記事は以下の方におすすめです!

・エンジニアとして「転職」が気になり始めている方
・エンジニアとして実際に転職した人の例が知りたい方
・転職を見据えたキャリアプランの描き方を知りたい方

firstriver

ライター:firstriver

30年以上の会社生活を経験。家電機器に組み込むマイクロコンピュータのソフトウェアと周辺回路の設計を皮切りに、ソフトウェア開発部門、技術開発部門の開発リーダーやマネージャーに。その後、ケーブルテレビ配信の技術規格策定に携わる。現在は、化学メーカーの情報システム部門で各種システムやツールの導入・運用を担当。

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この記事は後編となります。前編は「エンジニアが転職でステップアップするには?①キャリアプランの立て方【体験談】」をご覧ください。

ナレッジコラムシリーズ

この記事の目次

ITスキルを強化する

転職を考える場合に、希望する先の会社が求めるスキルを習得するための準備が必要です。

「希望する仕事とのギャップのチェック」で明らかとなったギャップ=「強化が必要なスキル」を習得します。

現在働いている中で、時間を作って、スキル強化の時間に割り当てるので、できる限り強化したいところに焦点を絞って効率的に学んでいくように心がけるべきと思います。

以下では、ITスキルを強化する4通りの方法について説明していきます。

ITスクールを利用する方法

ITスクールに通って勉強する方法は、スクールの持つこれまでの実績を踏まえ効率的な学習カリキュラムが組まれているという利点があります。

また、経験豊富な講師の指導により勉強できることから、効率的に必要なスキルを習得することが可能です。

独学で学習を行う場合に不明点が発生すると、解決するまで大きな時間を費やす可能性がありますが、ITスクールの場合、講師に質問する、または共に学んでいる仲間に尋ねるなどすれば、すぐに解決することができる点も魅力的です。

他方で、スクールで決められた時間拘束されるため、都合がつかない場合には工夫が必要で、たとえばスクールの提供するオンライン授業があれば、これを併用するなどが考えられます。

e-Learningを利用する方法

e-Learningは、ITスクールに通う場合と同様に効率的に習得することが可能です。不明点が発生した場合でもすぐに講師に質問することで解決することが可能です。加えて、拘束時間は当然ありますがITスクールと比較した場合、それを自分で選択して比較的柔軟に対応することができる利点があります。

自分で勉強する

自分で本を買い、ネットを利用したりしながら勉強する方法です。

常に自分のペースで自分の理解度に合わせて学習していくことができるため、消化不良にはなりにくいという利点があります。しかし不明点などが発生した場合に、基本的に自分で解決しなければなりません。

1つの課題を解決するだけで数日費やすようなケースもあるため、強い意志を持って学習に臨むことが必要です。

組み合わせる方法

働きながら勉強を進める場合、学習時間を確保しつつできる限り効率的に学んでいく方法が必要です。

そのために、最低限の知識はe-Learningを利用して学び、それ以降は書籍とネット情報を利用しながら学んでいきます。逆に書籍とネット情報を活用し、できるところまで頑張ってみて、e-Learningも利用してみたいとなったら使ってみるというやり方でもいいと思います。

このように、複数の方法を組み合わせ、自分に合った方法で効率的に学習する方法を勧めたいです。

最近私がDjangoを学習した際に取ったのは前者の方法です。udemy(e-Learning)でごく基本的なことを学習しました。しかし、e-Learnigの場合、学んだときは理解できても後に残らないので、後から不明点を調べようとすると体系的にまとめられた書籍が欲しくなります。

そのために後から書籍を購入しました。購入しなくても、不明点が出てくるたびにネットで調べる方法もありますのでそれで十分という人は書籍を購入せずとも大丈夫です。

ただし以上の方法は、ある程度強い意志を持って進めないと継続することは難しく途中で頓挫してしまうこともありえます。このように、意志が弱く自信の持てない方には、ITスクールの利用をお勧めします。

※Pythonで書かれたプログラム(Webアプリ)のフレームワーク

資格を取得する

転職するためには、会社が必要とするスキルに関係する実務経験があればベストですが、それがない場合には就きたい仕事に関係する資格を取得することが効果的です。

実務経験がなくても、資格を保有していれば、企業側の面接官に好評価される可能性が高くなります。

私も会社において、幾度となく中途採用するエンジニアの面接官を経験してきました。面接していて、一番説得力があり魅力を感じるのは、当社で必要とする技術スキルを保有している人になりますが、その次に魅力を感じるのは関連する資格を保有している人であり、高ポイントに繋がります。

資格の種類と特徴

大きく分類すると、国家資格、ベンダー資格、ベンダーニュートラルな資格があります。

国家資格は、その名の通り国がIT系のそれぞれの分野における知識や技術が一定のレベルを上回っていた場合、これを認定するものです。

ベンダー資格はIT関連製品やサービスを提供する企業が自社製品の取り扱い方法や関連する技術を評価して、一定のレベル以上であることを認めた場合、与えられる資格です。

ベンダーニュートラルな資格は、民間の資格ではあるものの特定の企業によらず、NPO法人などがこれを主導します。特定の技術分野に関する知識や技術が一定のレベルを上回っていることを認めた場合に与えられます。

具体的にどんな資格があるか

既にエンジニアとして働いている方を想定し、入門レベルの資格を除き、ステップアップのために必要な資格を、

  • ITマネジメント系資格
  • インフラ系エンジニア資格
  • セキュリティエンジニア資格

以上の3カテゴリーに分類して、夫々説明します。

ITマネジメント系資格

ITマネジメント応用情報技術者試験(AP)

IPA※が主催する国家資格です。合格率20%程度のため、結構難易度の高い試験と言えます。

難易度のレベルはIPAが定義したキャリアフレームワークの中でレベル3に位置付けられている試験です。(レベル1~4まであり、レベル4が最も難しい)基本情報技術者試験と同じように、出題範囲が幅広いため、実務の経験がないと合格は厳しいと考えられます。

※情報処理推進機構IT推進による産業強化や情報セキュリティ向上など国のIT製作実施の要である経済産業省の所轄する公的機関

プロジェクトマネージャ試験(PM)

IPAが主催する国家資格です。

プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトの予算、スケジュールや開発するシステムの品質を計画立案して、これを遂行してプロジェクトを成功に導いていく立場の経験とスキルが求められます。

加ええて、経験の浅いエンジニアを指導しながらともにゴールを目指していきます。

合格率は15%程度と難関ではありますが、この資格を持っていると転職の際に有利となるばかりでなく、年収アップにもつながることが期待できます。

PMP(Project Management Professional)

ベンダーニュートラルな国際資格です。アメリカに本部があるNPO法人プロジェクトマネジメント協会が主催しています。全世界で100万人の資格取得者がいると言われており、プロジェクトの管理と運営を行うスキルのチェックが試験を通して行われます。

具体的な合格率は公表されていませんが、難関な試験と考えられます。試験を受けるための条件として、例えば大卒の場合、3年以上の実務経験とその中で4500H以上の期間、プロジェクトマネージャとしての役割を担った経験が必要です。

この資格は、外資系の会社に転職する場合に特に有利となる国際資格試験です。

システムアーキテクト試験(SA)

IPAが主催する国家資格です。システムアーキテクトはプロジェクトマネージャの傘下において、情報システムのグランドデザインを行い、プロジェクトの成功に貢献する役割を担います。

具体的には、システムエンジニア(SE)としてシステムの要件を調査、分析して機能仕様を策定し、これを具現化するためのシステム設計、更にはシステムテストを担当します。

ITサービスマネージャ試験(SM)

IPAが主催する国家資格です。ITサービスマネージャ試験では、情報システムの安定稼働と障害発生時の対応を効率的かつ効果的に行うことができるスキルが求められます。

更にシステムの運用改善の提案や経験の浅いエンジニアの指導も行います。試験の難易度は非常に高く12~14%程度と言われており、合格するためには豊富な実務経験に加えて、豊富な知識の双方が求められます。

将来的にシステムの開発や運用を行っていきたいと考える人は是非、挑戦すべき資格です。

インフラ系エンジニア資格

シスコ技術者認定(CCNA)試験

シスコ技術者認定試験は、アメリカのメジャーなネットワーク機器メーカーであるシスコ社が主催する認定試験です。ネットワークに関する知識やシスコ社の製品の取り扱い方法を理解しなければなりません。

従って、この資格を取得できるとネットワーク系やクラウド系のエンジニアとして活躍できる可能性が高くなります。ただし、この資格は取得しても3年で失効してしまうため再度試験を受けるか、より上位の試験を受けなければなりません。

ネットワークスペシャリスト試験(NW)

IPAが主催する国家資格です。ネットワークや情報サービスに関する知識を理解していると共に、大規模で安全かつ堅牢なシステムを構築して運用できるスキルが求められます。

とても難易度が高く合格率12~17%程度と言われていますが、大規模なシステムの構築や運用を目指す場合、取得したい資格です。

データベーススペシャリスト試験(DB)

IPAが主催する国家資格です。経産省が認定する試験の難易度が「レベル4」と最も高難度に位置付けられています。

データベースに関する高い固有技術を生かして情報システムの企画、要件定義、開発、運用、保守において中心的な役割を果たすと共に技術支援できるスキルと経験が求められます。試験の合格率は低く、平均すると実質10%前後です。

今後ますます必要とされるAIにおける機械学習やビッグデータ分析において大規模なデータベースの取り扱いは避けることができないことから、データベーススペシャリストは、重宝される人材と考えられます。

AWS(Amazon Web service)認定試験

AWSはAmazonのウェブサービスです。このサービスをよく理解し、運用と保守ができるスキルが求められる資格試験です。この資格を持つことで、会社内においてそのことをアピールし、関連する業務を手掛けることができるようになることが期待できます。

試験にはいくつかのレベルがあります。最も易しい基礎レベルから、その上のアソシエイトレベル、更に高難度のプロフェッショナルレベルです。

セキュリティエンジニア資格

情報処理安全確保支援士試験(SC)

IPAが主催する国家資格です。2017年に新設された情報セキュリティに関する資格で比較的新しいものです。

「最新のセキュリティに関する知識・技能を備えた、高度かつ実践的な人材」として位置づけられており、知識と経験の双方が求められます。情報系の国家資格として初めての「士業」となっています。

合格率は15%前後と難関試験です。様々なセキュリティリスクから情報システムを守っていかなければならない状況の中で、今後、一層必要とされる人材と考えられます。従って、情報セキュリティ技術を必要とする企業への転職の際には大きな武器となると考えられます。

情報セキュリティマネジメント試験(SG)

IPAが主催する国家資格です。

情報処理安全確保支援士試験同様、2017年に新設された情報セキュリティに関する資格で比較的新しいものです。

情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティのスペシャリストの試験ですが、情報セキュリティマネジメント試験は違います。合格率は70%程度です。

企業において財務、法務、総務、人事、営業、製造、企画などを担当する人が、情報セキュリティを補助的なスキルとして保有する場合に取得する資格です。

経験や知識の豊富な人に相談する

転職すべきかどうか、それが正解かどうか最終的に決めるのは自分です。

しかし、自分の判断が妥当かどうかを経験のある第三者に相談してみるのもいいことです。相談相手は、まず職場などの先輩やその他付き合いの深い先輩などが考えられます。冷静な目で、アドバイスをもらえるはずです。

私の場合、家電メーカーからの転職を考えていた時に、同じ会社の信頼できる複数の先輩に相談しました。

「長年携わってきた〇〇製品事業の終了により、他の仕事をしなくてはならなくなりそうなのですが、会社の指示に従わずに別のところに移って頑張ってみようと思っています」と話したところ、1人の先輩は「今の会社で最後まで頑張ってみるという方法もあるのでは?」と言い、もう一人の先輩は「それも、いいんじゃないか。」との意見を頂きました。

この相談を通して私は「今の会社に残ることもアリ、他に移って頑張るのもアリ、要は自分で後悔せずに先に進むことが出来るかどうかがポイント。」と思いました。

結局私は転職したのですが、今にして思うと相談した時に実は自分の中で既に結論を出していて、その裏付けをもらいたいがために相談していたように思います。以上、私の実体験です。

転職エージェントの利用

転職する場合に、自分で希望する企業を探して個別に応募する方法も考えられます。しかし、転職支援を行う転職エージェントを利用した方が効率的で、自分の希望条件にあった企業を早く探すことができるため私はおすすめします。転職エージェントでは、以下の支援を通して転職の最初から最後までしっかりとサポートしてくれます。

対象者との面談対象者との面談を通して、保有するスキルや希望条件をヒアリングします。
候補企業の紹介面談結果を踏まえて、対象者の条件を転職エージェントが保有する企業と比較して条件が合致するまたは近しい企業をピックアップして紹介する
履歴書、職務経歴書の作成サポートと面接サポート入社を希望する企業へは履歴書や職務経歴書によって、アピールする必要があります。 面接においても、基本的な姿勢やアピールの方法などの勘所を指導してくれます。
雇用条件の交渉対象者の処遇や給与などの希望条件を踏まえ、企業と協議して少しでも良い条件を引き出す様調整してくれます。 経験がないと、スムーズに進められないため対象者にとって、安心できる点の1つです。

ちなみに転職者は無償で転職エージェントを利用できます。転職エージェントは、転職者の入社を成功させるたびに、転職者の予定年収の一定の割合を企業からもらう契約をしていて、これが彼らの収入源となっています。従って、転職エージェントを積極的に利用することは、転職者および転職エージェント双方にとっての利益になります。

転職の準備

転職を行う場合に必要となってくる準備事項を説明しておきます。転職エージェントからも言われますが、事前に準備しておくかまたは心積りだけでもしておく必要があります。

履歴書、職務経歴書

履歴書は学校の入学、卒業の実績から始まり、これまで経験したすべての会社の入社と退社の実績などをもれなく記載します。

職務経歴書は、初めて就職してから手掛けた主な業務テーマ、役割、主な成果などを記入して、企業側に自分をアピールするものです。職務経歴書は、企業が興味を持ちそうな内容とするため、受験する企業に合わせて内容の調整が必要になります。

なお、履歴書や職務経歴書は故意に虚偽の記載を行った場合、内定を取り消されるなどの可能性がありますので正確な内容の記載が必須です。

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面接の準備

面接に臨む際の姿勢は転職エージェントの指導に従いましょう。面接において、必ず用意しておかなければならない点がいくつかあります。

転職理由、志望動機、自分の強み/弱み、逆質問、自己PR、仕事で心がけていることです。

転職理由や志望動機は、前向きな表現でまとめておきます。「新たな技術分野に挑戦したいとの気持ちから」というように面接官にマイナスのイメージを与えない言い方が必要です。

自分の強みに加えて弱みの言い方も注意が必要です。「この点が弱い、苦手」といって終わるのではなく、「〇〇が弱いと認識しているため、◎◎するように心がけている」というように苦手な点のカバーを行おうとしているのかを示すことが必要です。

逆質問は受験する企業に対して、興味を持っていることをアピールするための手段として、対象者から面接官に対して質問を行った方がいいということです。

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