ITエンジニアとしてキャリアアップを目指す上で、転職は有効な手段の一つです。一方で、無計画に転職すると、後悔を生む場合もあります。筆者自身も過去に一度、転職で大きな失敗を経験しており、今から振り返るともっと計画的に行動すれば良かったと反省しています。
本記事では、筆者自身の失敗談を元に、ITエンジニアの転職で成功するためには何が必要かをお伝えします。これから転職を考えている方に、筆者のような経験を避けていただくためにも最後までぜひご覧ください。
ライター:にのまえはじめ
大手精密部品メーカーで社内SE・PGを経験。その後、国内のSIerに転職し生産管理システムの開発・導入・保守・運用を担当。現在は自らIT企業を立ち上げ、顧客企業のDX化やIT化による業務改善の支援を行っている。並行して企業サイトやWebメディアでライターとしても活動中。趣味は筋トレ・プロレス観戦。
Website:https://writer.yui-road.com/


筆者が体験したITエンジニアの転職失敗談
筆者が転職活動時に失敗したと感じているのは、とくに以下の3つです。
- 勤務地や待遇など労働環境のみで判断してしまった
- キャリアプランを考えずに活動してしまった
- 会社のネームバリューを優先し、やりがいなどは注目しなかった
順番に詳しく見ていきましょう。
勤務地や待遇など労働環境のみで判断してしまった
筆者が最初の転職で犯した最大の失敗は、勤務地や待遇といった労働環境ばかりを優先してしまった点です。当時の私はとにかく慣れ親しんだ土地を離れたくなかったため、転職先を選ぶ際、住み慣れた場所から引っ越す必要がなく、転勤の可能性も少ない企業ばかりを探していました。
労働環境を最優先に考えるあまり、自分のスキルを冷静に分析したり、企業の事業内容や社風を深く理解したりもせずにただ条件面だけで決めてしまったのです。
入社した後になって初めて自分のスキルと業務内容のミスマッチに気づき、新しい環境に慣れるまでに想像以上の時間を要してしまいました。転職後の業務をスムーズに進めるためには、自分のスキルや強みをしっかり分析し、ミスマッチを防止する活動が必要です。
キャリアプランを考えずに活動してしまった
キャリアプランを考えずに転職活動をしてしまった点も、大きな失敗の原因でした。将来自分がどうなりたいのか、どんなスキルを身につけたいのかという長期的な目標が全くなかったのです。
当時の職場環境に合わないと考えていた筆者は、目の前の不満から解放されたい一心で、将来のビジョンを描かずにいたのです。
転職後のキャリアパスはいくつも用意されていたものの、具体的な目標を持っていなかったため、目の前の業務にただ従事するだけの日々を送ってしまいました。上司からの指示待ち人間になってしまい、自分の意見やアイデアを発信する機会も少なくなってしまったのです。転職活動を始める前に数年後のキャリアを明確にしておけばよかったと後悔しています。

会社のネームバリューを優先し、やりがいなどは注目しなかった
会社のネームバリューばかりを優先し、仕事のやりがいや自分の成長可能性に目を向けなかった点も転職失敗の大きな要因でした。
当時の私は有名企業に入社すること自体が目標になってしまっていたからです。「大手企業なら安定しているだろう」「給料も高いだろう」という安易な考えで、ネームバリューのある企業ばかりを狙っていました。
入社した後に、自分がその会社で何をしたいのか、どんな貢献ができるのかを深く考えていなかったと気づいたのです。受け身な姿勢になってしまい、成果を上げられませんでした。仕事に対するモチベーションも維持できず、結果的に長続きしなかったのです。長く働き続けるのであれば、やりがいや仕事内容をもっと確認しておくべきだったと後悔しています。

もう一度転職をやり直すならどうしたいか
もし、もう一度転職をやり直せるなら、以下の3つの点に注意したいと考えます。
- ITの最新技術やトレンドを調査する
- 企業分析を行いやりがいのある会社を選ぶ
- コミュニティを活用する
転職検討中の方は参考になさってください。
ITの最新技術やトレンドを調査する
もう一度転職をやり直すならば、徹底的にITの最新技術やトレンドを調査します。IT業界は常に変化しており求められるスキルも日々進化しているため、どのような場面でITエンジニアが求められているのか、どんな技術にニーズがあるのかをしっかりと理解しておかなければなりません。
技術系のニュースサイトやブログを定期的にチェックし、業界のカンファレンスやセミナーにも積極的に参加します。オンラインの学習プラットフォームを活用して、最新の技術トレンドをキャッチアップするのも重要です。
得られた情報をもとに、自分のスキルと照らし合わせて長期的なキャリアプランを描きます。市場価値の高いエンジニアを目指すために、必要な努力を続けます。
企業分析を行いやりがいのある会社を選ぶ
徹底的な企業分析も忘れてはいけません。企業のネームバリューや待遇だけでなく、自分の価値観と合致する企業を選びます。
仕事に対するやりがいやモチベーションは、日々のパフォーマンスに大きく影響すると知ったからです。企業がどのような事業を展開しているのか、どのような企業文化を持っているのか、社員はどのような働き方をしているのかなどの情報を集めて分析します。
企業のウェブサイトやSNSをチェックするだけでなく、社員の口コミサイトや転職サイトの情報を参考にします。実際に企業訪問をして、社員の方々と直接話を聞く機会を設けてもらうのもいいでしょう。
表面的な情報だけでなく、企業の理念やビジョンに共感できるかどうかを重視し、長期的に成長できる環境かどうかを見極めます。
コミュニティを活用する
転職活動とキャリアアップにつながる情報を収集するために、エンジニアのコミュニティに参加し積極的に交流を図ります。
コミュニティにはさまざまな経験を持つエンジニアが集まっているため、最新の技術情報や転職に関するリアルな情報を共有できるからです。実績を上げているエンジニアとのコネクションを作れば、相談相手を確保しつつ、おすすめの転職先や労働環境などの情報収集ルートを確保できます。
オンラインの技術コミュニティや勉強会に積極的に参加し、自分のスキルや興味に関する情報交換を行います。直接交流する機会を増やすために、オフラインのイベントへの参加も有効です。コミュニティを通じて得られた情報や人脈は、その後のキャリア形成にも大いに役立つはずです。
これから転職するITエンジニアに伝えたい5つのポイント
筆者のような失敗を避けるために、以下の5つの点に気をつけてください。
- スキルの棚卸しと強みを明確にしよう
- 明確なキャリアプランとビジョンを持とう
- 幅広く企業を分析しよう
- 内定が出てから転職するかを決めよう
- 転職エージェントを活用しよう
スキルの棚卸しと強みを明確にしよう
これから転職を考えているITエンジニアの皆さんに、最初にやっていただきたいのはスキルの棚卸しと強みの明確化です。自分の市場価値への正しい理解は、転職活動を成功させるための第一歩だからです。
企業内でエンジニアとして働いていると、どうしても社内での評価に偏ってしまい自分の市場価値が分からなくなってしまいます。筆者も実際に他社ではほとんど使用されていない言語の経験がありました。
その経験も含めて、プロジェクトや業務内容を洗い出し、得られたスキルや知識をリストアップしましょう。技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力、リーダーシップなど、ソフトスキルも忘れずに含めます。転職サイトのスキル診断ツールなどを活用するのも有効です。

明確なキャリアプランとビジョンを持とう
転職の方向性を定めモチベーションを維持するためには、明確なキャリアプランとビジョンが不可欠です。目の前の不満から逃れるための転職は、再び同じような悩みに直面する可能性が高いです。〇年後にはこうなっていたい、という具体的なキャリアプランを持てば、今何をすべきかどんなスキルを身につけるべきかが見えてきます。
エンジニアとしてのキャリアプランだけでなく、人生全体のビジョンを持つことも重要です。「〇年後には家族との時間を大切にできる働き方をしたい」「〇年後には自分のスキルを活かして社会貢献したい」といったビジョンは、転職先を選ぶ際の判断基準を明確にします。今の会社で描いた未来像に近づけるのか、転職するべきなのかを冷静に判断しましょう。
幅広く企業を分析しよう
転職後の満足度を高めるためには、幅広い企業分析をおすすめします。企業のネームバリューや待遇だけでなく、事業内容や企業文化を深く理解しましょう。
表面的な情報だけで判断してしまうと、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。企業がどのような事業を展開しているのか、どのような技術に力を入れているのか、どのような企業文化を持っているのかをしっかりと分析しましょう。
企業理念やビジョンに共感できる部分があるか、自分の価値観と合致するかどうかも重要です。自分が何を大切にする人間であるかを分析し、よりモチベーション高く仕事に取り組むために、分析結果にマッチングする企業を選んでください。
内定が出てから転職するかを決めよう
転職活動を行う際に、先に退職してから就職先を探す手順はおすすめしません。転職ありきで行動するのではなく、冷静な判断をするために内定が出てから転職するかどうかを決めましょう。
先に退職してしまうと、経済的な不安や焦りから納得しないまま転職してしまう可能性があるからです。内定が出てから、初めてそれまでの会社と転職先を比較検討し、給与、待遇、仕事内容、キャリアパスなどの要素を総合的に判断しましょう。本当に自分にとって最適な選択肢を選んでください。
内定が出た企業が期待していた条件と違っていた場合は、辞退するのも手です。納得できる企業に転職するために、できる限り退職は避け、余裕を持った転職活動を心がけましょう。
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転職エージェントを活用しよう
転職活動を効率的に進め、成功の可能性を高めたいのであれば、転職エージェントの活用を強くおすすめします。本業を抱えながら転職活動を行うのは非常に困難です。就業後や休日を利用しなければならず、自分の時間がなかなか取れません。転職エージェントを活用すれば、スキルや希望条件をヒアリングし最適な求人を紹介してくれるため、効率的な転職活動が可能となります。
履歴書や職務経歴書の添削、面接対策など、転職活動全般にわたってサポートしてくれるエージェントもあります。無料で登録できる場合が大半なので、自分に合ったエージェントに出会うまで登録してみると良いでしょう。転職エージェントを活用して時間と労力を節約し、効率的に転職活動を進めてください。

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まとめ
本記事では実際に転職経験のある筆者が、転職を検討されているITエンジニアに向けて失敗談や、転職で成功するために必要な点について紹介しました。筆者を反面教師にして、スキルやキャリアプランを明確にし、企業の事業内容や文化を深く理解してから転職活動を進めましょう。
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