売り手市場とは?IT転職に有利な職種や採用を成功させる秘訣

転職活動や新卒採用では「売り手市場」「買い手市場」という言葉が使われますが、その意味を正しく理解していますか?売り手市場では企業が積極的に採用を進めるため、求職者は就職・転職先の選択肢が増え、好条件で内定しやすくなります。

この記事では、売り手市場の意味や特徴をわかりやすく解説するとともに、2025年の売り手市場の業界・採用されるためのポイントを詳しく紹介します。

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売り手市場とは

売り手市場とは、求職者の数よりも企業の求人が多い状態を示します。

求人数(需要)が多い一方で、転職や就職を希望する人(供給)が少ないため、求職者にとって選択肢が広がり、より良い条件での就職・転職しやすくなるのが特徴です。

■売り手市場の特徴

企業側求職者側
求人を多く発行する就職先の選択肢が増える
人材獲得の競争が激化する好条件で内定しやすい
未経験者の採用も視野に入れる経験不足でも採用されやすくなる
人材を早く確保しようとする選考プロセスが短縮されやすい
内定条件の緩和を考慮する就職や転職のハードルが下がる

反対に「買い手市場」では、求人を求職者が奪い合う状態になるため、就職・転職活動が難航しやすくなります。

市場の状況を判断する際は「有効求人倍率」という指標が重要なので、次の項目でわかりやすく解説します。

買い手市場

売り手市場とは反対に、求人よりも求職者の数が多く、企業側が人材を選びやすい状態のことを「買い手市場」と呼びます。

■買い手市場の特徴

企業側求職者側
求人数が減る選択肢が少なくなる
採用基準が厳しくなる選考プロセスが長くなる
即戦力を求める傾向が強まる未経験者の採用が難しくなる
優秀な人材を確保しやすくなる内定獲得の競争が激化する
内定条件を厳しくする傾向がある給与や待遇の交渉が難しくなる

たとえば「就職氷河期」は、新卒採用における典型的な買い手市場でした。この時期は企業の求人数が少なく、1つの求人にたくさんの応募が殺到しています。応募者が増えて選考の倍率が高くなるため、内定のハードルも上がります。

企業側は即戦力となる人材を優先して採用するため、とくに未経験者や学歴に自信がない求職者は、売り手市場より厳しい状況になりやすいです。

有効求人倍率

売り手市場か買い手市場かを判断する指標に「有効求人倍率」があります。

有効求人倍率とは、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す数値のことで、「有効求人数 ÷ 有効求職者数」で求められます。

一般的には、有効求人倍率が1.0以上で売り手市場、1.0未満で買い手市場となります。有効求人倍率が「2.0」であれば、求職者1人に対して2件の求人がある状態です。

このような状況では、企業側は人材を確実に確保しようと選考基準を緩和したりするため、求職者にとって有利な「売り手市場」になります。

2025年現在は売り手市場?

2025年の就職・転職市場はどうなっているのでしょうか?

厚生労働省が2025年3月4日に発表した調査によると、全体の有効求人倍率は1.26倍と安定しており、企業の採用意欲に大きな変化は見られません。しかしIT業界では売り手市場の傾向が強く、エンジニアなどのIT専門職の求人が増加しています。

ここでは具体的なデータをもとに、IT業界の売り手市場の状況を詳しく見ていきます。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年1月分)について」

IT業界・職種は売り手市場

厚生労働省が2025年3月に公表した統計データを見ると、IT業界は引き続き「売り手市場」の傾向が強いことが分かります。とくにエンジニアの求人数は増加しており、転職を考えている人はチャンスが多い状況です。

■IT業界の就職・転職市況(2025年時点)

項目2025年1月2024年12月
IT業界の新規求人+1.6%(前年同月比)+9.3%(前年同月比)
エンジニアの有効求人倍率
エンジニアの新規求人倍率3.48倍

2025年時点では、求職者1人あたり約1.6件のIT求人があり、新たに求職を始めたエンジニアには3件以上の求人があります。「有効求人倍率が1.0倍を超えると売り手市場」とされるため、IT業界は求職者にとって有利な状況であることがわかります。

IT転職が売り手市場で有利な理由

2025年のIT業界は売り手市場が続いており、とくに業界経験者にとっては転職しやすい状況です。

さらに、現在の転職市場の動向や背景を知っておくことで、企業のニーズやITトレンドに沿った転職活動ができ、転職成功に大きく近づけます。ここでは、IT転職が売り手市場で有利な理由について詳しく解説します。

【IT転職が売り手市場で有利な理由】

  1. 働き方が多様化している
  2. ポテンシャル重視の求人が増加している
  3. DX人材のニーズが高まっている
  4. ITインフラやセキュリティへの課題が多い

働き方が多様化している

テレワークやフルリモート勤務の普及により、企業の採用方針が大きく変化しています。これまでオフィス勤務が前提だった企業も、リモート環境の整備が進んだことで、地方や海外の優秀な人材を採用できるようになりました。

とくにIT業界はリモートワークの導入が進んでおり、求職者は勤務地に縛られず「年収・待遇」を重視して企業を選べる有利な状況が続いています。さらにIT・Web領域は、副業やフリーランスの採用も活発なので、柔軟な働き方やキャリア形成も実現しやすくなっています。

ポテンシャル重視の求人が増加している

IT業界では慢性的な人材不足が続いており、企業側は即戦力の確保が難しくなっています。そのため多くの企業が採用基準を緩和。未経験者でもポテンシャルに期待できれば、採用に至るケースが増えています。とくにITエンジニアは、この売り手市場の傾向が顕著です。

基本的なプログラミングスキルやITリテラシーを持っていれば、実務経験が少ない未経験者にも転職のチャンスが広がっています。

DX人材のニーズが高まっている

近年は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が進み、IT人材の需要が急増しています。とくに需要が加熱しているのは、AIやビッグデータ、クラウドサービスを活用できるITエンジニアです。その他にも、開発エンジニアやデータアナリスト、ビジネス戦略、プロジェクトマネジメントなどのIT職種も注目されています。

売り手市場の今、データ分析やクラウド技術を身につけたり、ITプロジェクトの実務経験をアピールすると、転職活動で好待遇なオファーに期待できます。

ITインフラやセキュリティへの課題が多い

企業の社内システムのクラウド化が進む一方で、サイバー攻撃の増加が深刻な問題となっています。

企業側はITインフラやセキュリティ対策の強化を急ピッチで進めており、インフラエンジニアやセキュリティエンジニアの雇用が拡大しています。なかでもクラウド環境の構築経験や、ゼロトラストセキュリティの導入経験を持つエンジニアは、即戦力として企業から高く評価されるでしょう。

また、クラウド・セキュリティ領域は売り手市場の傾向が強いため、「オンプレミス環境のサーバー管理」や「ネットワークの保守・運用」の担当者は、クラウドエンジニアやセキュリティエンジニアに転職しやすい状況といえます。

売り手市場で転職に有利なIT職種

2025年はエンジニアを筆頭に、IT業界で売り手市場が続いています。とくに需要が高いIT職種は次の5つです。

【売り手市場で転職に有利なIT職種】

  1. AIエンジニア
  2. データアナリスト/データサイエンティスト
  3. Webエンジニア
  4. アプリケーションエンジニア
  5. 組み込み系エンジニア

AIエンジニア

AI技術の発展に伴い、機械学習やディープラーニングを活用できるAIエンジニアの需要が年々高まっています。とくにデータ解析、自然言語処理、画像認識の分野で活躍が期待され、多くの企業がAI人材を求めている状況です。

AIエンジニアにはPython・TensorFlow・PyTorchなど、フレームワークを活用した開発スキルが求められます。またデータの前処理やモデルのチューニング、AIの実装・運用に関する知識を備えれば、AIエンジニアとして高待遇なオファーに期待できます。

データアナリスト/データサイエンティスト

データアナリスト・データサイエンティストは、企業が持つデータを分析し、経営戦略や事業成長を担う職種です。

求められるスキルとしては、統計学や機械学習に加えて、SQL・Python・Rなどのプログラミングスキルが挙げられます。統計の知識やプログラミングスキルに加えて、データからビジネスの課題を導き出し、具体的な戦略を立案できる人材は非常に重宝されます。

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Webエンジニア

WebサービスやECサイトの普及により、フロントエンド・バックエンド領域のエンジニア求人が増えています。

Webエンジニアに必要な主要スキルは以下のとおり。最近ではAWSやGCPなど、クラウド環境を活用した開発経験も評価されます。

【Webエンジニアに必要な主要スキル】

  • フロントエンド言語:JavaScript(React、Vue.js)
  • サーバーサイド言語:PHP、Ruby、Python
  • クラウドツール:AWS・GCP・Azure

Web開発のニーズは今もなお衰えず、売り手市場が続いています。Webエンジニアは転職に有利な職種の一つです。

アプリケーションエンジニア

スマートフォンアプリの普及に伴い、iOS・Androidエンジニアの需要が増加しています。

とくにユーザー体験・ユーザーインターフェース(UI/UX)を意識したアプリ開発ができるエンジニアは、企業から高く評価されるでしょう。iOSアプリの開発にはSwiftが、Androidアプリの開発にはKotlinが主なプログラミング言語として使われています。

また、さまざまなOSやデバイスに向けてアプリを展開する企業からは、クロスプラットフォーム開発に対応できる「Flutter」「ReactNative」も評価されやすいです。スマホアプリの市場拡大により、アプリケーションエンジニアは今後も売り手市場が続くでしょう。

組み込み系エンジニア

IoT技術の発展や、自動運転・医療機器の高度化に伴い、組み込み系エンジニアの需要が増加しています。ハードウェアとソフトウェアを連携させる技術が求められるため、両分野の知識を持つエンジニアは、企業から好待遇なオファーが得られるでしょう。

組み込み系システム開発では、C言語やC++を使ったプログラミングスキルに加えて、マイコン制御やリアルタイムOS(RTOS)の知識も必要です。自動車業界や医療機器業界、家電製品の制御システムなど幅広い分野で活躍できるため、組み込みエンジニアは今後も安定した需要が見込まれます。

売り手市場でIT転職を成功させる秘訣

IT業界は売り手市場が続いており、転職のチャンスが広がっています。しかし、売り手市場だからといって、誰でも簡単に転職できるわけではありません。「求められるスキル」「IT業界の動向」をしっかり押さえることで、より有利な条件で転職できます。

ここでは、IT転職を成功させるために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

【IT転職を成功させるためのポイント】

  • スキルアップ
  • AIなど最新トレンドを学習
  • 転職エージェントを活用

スキルアップ

IT業界は技術の進化が速く、現在のスキルだけでは将来のキャリアに不安が残ることもあります。

転職を成功させるには、継続的なスキルアップが欠かせません。社内のカリキュラムや実務経験に頼るのではなく、オンライン学習や資格取得を活用して「需要のあるスキル」を積極的に備えましょう。

Udemyでトレンドの技術を実践的に学んだり、AWSやGCPなどのベンダー資格を取得したりすると、ITエンジニアとして高く評価されるでしょう。

AIなど最新トレンドを学習

近年のIT業界ではAI・クラウド・ブロックチェーンなどの最新技術が注目されています。

トレンドのIT技術をキャッチアップすることで市場価値が高まり、転職先の選択肢を広げることが可能です。

とくにAI業界では、機械学習やディープラーニングの知識に加えて、Python・TensorFlow・PyTorchなどのフレームワークを扱えると、転職市場で優位になります。クラウド領域に関しては、AWS・Azure・GCPの資格を取得するのがおすすめです。

理論を学ぶだけでなく、実際のプロジェクトに参加して実務経験を積めれば、転職活動で大きな強みとなります。

転職エージェントを活用

売り手市場だからといって、必ずしもスムーズに転職先が見つかるとは限りません。自分にぴったりな求人を素早く見つけるには、転職エージェントの有効活用が不可欠です。

転職エージェントに登録すると、業界に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたの希望条件やスキルに基づいて求人を紹介してくれます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などのサポートも受けられるため、一人で転職活動を進めるよりも、成功率がグッと上がるでしょう。

とくにIT業界で転職を考えている方は、IT業界・エンジニア転職に特化したエージェントを活用すると、転職活動がスムーズに進みます。

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まとめ

この記事では売り手市場の意味と、2025年における転職市場の様子を詳しく解説しました。現在のIT業界は、求職者に有利な「売り手市場」です。

自分のスキルや実績をアピールできれば、理想の転職を実現しやすい状況といえます。スキル不足が気になる方も、未経験者の採用が活発な今なら内定獲得のチャンスが多いです。

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