IT人材の不足が深刻化する中、思うように採用が進まず悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。経済産業省の試算によれば、2030年には約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。こうした背景からも、採用戦略を見直し、市場の変化に柔軟に対応していくことが重要です。
本記事では、最新のITエンジニア市場動向から採用トレンド、そして成功のためのポイントまでを解説します。自社の採用活動にお役立てください。

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ITエンジニアの最新市場動向
IT人材の需要は年々高まり続けており、採用を取り巻く環境も大きく変化しています。ここでは特に注目すべき5つの動向を紹介します。
- 2030年にIT人材が約79万人も不足する
- 2024年の有効求人倍率は1.6以上
- 約4割の企業がIT人材の採用人数を増加
- ITエンジニアのフリーランス案件が増加
- 今後はAIを活用できるITエンジニアの需要が増加
2030年にIT人材が約79万人も不足する
2019年3月に公表された経済産業省の調査報告書によると、2030年には約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。企業がIT技術を駆使したビジネスモデルへの転換を進める一方で、推進を担うエンジニアの数が圧倒的に足りなくなる点を警告しています。
少子高齢化による労働人口の減少だけでなく、IT技術の進化スピードに既存のITエンジニアのスキルアップだけでは追いつかないからです。さらに、大学や専門学校などの教育機関におけるIT人材育成の遅れも人材不足に拍車をかけています。
企業のデジタル戦略の実現は遅れ、国際競争力の低下を招く可能性も指摘されています。企業は不足するIT人材の確保に注力しなければならないのです。
2024年の有効求人倍率は1.6以上で高止まり
厚生労働省の一般職業紹介状況(職業安定業務統計)によると、2024年の有効求人倍率は情報処理・通信技術者で1.6を上回っています。これは1人の求職者に対して1.6件以上の求人がある状態であり、企業間の人材獲得競争がいかに激しいかを示しています。
背景には企業が求めるITエンジニアの専門スキルが高度化、多様化している点が挙げられます。AIやクラウド、セキュリティといった分野のスキルを持つ人材は引く手あまたです。ITエンジニア自身も、より良い待遇やキャリアアップを求めて転職を検討する傾向が高まっており、人材の流動性も有効求人倍率の上昇につながっています。
約4割の企業がIT人材の採用人数を増加
レバテック株式会社の「レバテックIT人材白書2025」によると、約4割の企業が「IT人材の採用人数が増加した」と回答しています。企業のデジタル化推進が加速している点と、ITエンジニアの力が欠かせないという点が伺えます。
企業がAIやIoT、ビッグデータといった最新技術を駆使し、ビジネスモデルの変革や業務効率化を実現するには優秀なITエンジニアの存在が欠かせません。そのため、多くの企業がエンジニアの確保を最優先課題として捉え、採用活動を強化しているのです。
デジタル化の波に乗り遅れないためにも、企業は競合他社に先駆けて魅力的な待遇やキャリアパスを用意しITエンジニアの採用に力を入れるべきです。
AIスキルを持つエンジニアの需要増加
生成AIや機械学習の技術が急速に進化する中で、AIを活用できるエンジニアの需要が高まっています。とくにChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、企業のAI活用は実験段階から実装・運用フェーズへと移行しつつあります。
製造業ではAIによる不良品の検知や工程の最適化、金融業では信用スコアリングや不正検知、医療業界では診断支援や画像解析など、業界を問わずAIの導入が進行中です。こうした現場では、AIモデルの開発や運用、データの前処理やチューニングができる人材が必要不可欠です。
AIスキルは、今や一部の先進企業だけでなく、あらゆる業種で「事業を動かす」ための基盤となりつつあります。今後、AI関連の知識や経験を持つエンジニアは、ますます採用市場で価値が高まっていくでしょう。
ITエンジニアの採用トレンド
日々変化するのはITエンジニアの市場だけではありません。市場動向に合わせてITエンジニアの採用トレンドにも変化が見られます。ここからは以下の5つの視点で、ITエンジニアの採用トレンドについて解説します。
- フリーランス人材の増加
- 副業従事者の増加
- 40〜50代の採用も検討することが必要
- 外国人のITエンジニアの採用
- 未経験者のポテンシャル採用
それぞれのトレンドについて、詳しく見ていきましょう。
フリーランス人材の増加
「【ランサーズ】新・フリーランス実態調査2021-2022版」によると、2015年の調査開始時と比べて2021年時点のフリーランスの人数は約68.3%増加しています。
フリーランス人材が増加しているのは、企業のニーズとエンジニアの働き方の変化が合致しているからです。企業側は、必要な時に必要なスキルを持つ人材をプロジェクト単位で確保したいと考えており、ITエンジニアは時間や場所に縛られない自由な働き方を求めています。
リモートワークの普及により、地理的な制約も少なくなり、企業とフリーランスエンジニアの距離が縮まったこともこのトレンドを後押ししています。ITエンジニアを確保したい企業は、フリーランスエンジニアが安心して働ける環境を整備しなければなりません。
副業エンジニアの増加
副業としてスキルを提供するエンジニアが増えつつあります。総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査の結果」でも、副業従事者の数は年々増加傾向にあり、ITエンジニアも例外ではありません。
企業にとって、副業エンジニアの採用は必要なスキルを持つ人材を短期的に確保できるため、業務の繁忙期やプロジェクト単位での柔軟な対応が可能になります。フルタイム採用に比べてコストを抑えやすく、専門性の高い支援を効率的に受けられる点が大きなメリットです。
エンジニア側も、本業で得た知識や経験を活かして副収入を得たり、新しい技術に挑戦したりと、キャリアの幅を広げる機会として副業を選ぶケースが増えています。企業は副業人材が働きやすい環境づくりを意識することが、優秀な人材確保につながります。
40〜50代の採用も視野に入れる
若手エンジニアの採用競争が激化する中で、40〜50代の経験豊富なエンジニアにも注目が集まっています。即戦力としてのスキルだけでなく、マネジメントや後進育成の面でも高い価値を発揮できる存在です。
長年にわたり培ってきた知見や実務経験は、単なる技術力にとどまらず、チーム全体の底上げにもつながります。若手では補いにくい視座や判断力を備えていることも多く、組織にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。
年齢にとらわれず、スキルや経験に基づいて採用を判断することが、これからの多様な人材戦略には欠かせません。シニア人材が長く活躍できるキャリア設計や働き方の選択肢を整備することも、企業に求められています。
外国人のITエンジニアの採用
グローバル化が進む今、外国人ITエンジニアの採用は、企業の競争力を高める選択肢のひとつとして注目されています。とくに国内で人材確保が難しいAIやビッグデータ領域では、海外人材の活用に関心を持つ企業も増えてきました。
インドや東南アジア諸国には高度なスキルを持つエンジニアが多く、海外人材の採用を検討する企業も増加傾向にあります。特定の技術に精通した人材を求めて、海外採用を視野に入れることで、自社の技術力強化やグローバル展開を支援する動きも出てきています。
一方で、外国人採用には課題もあります。在留資格の取得支援、日本語や多言語対応を含むコミュニケーション環境の整備など、企業側の体制づくりが不可欠です。特に日本の企業文化にスムーズに馴染めるような支援体制を用意することで、外国人エンジニアが安心して長く働ける環境につながります。
国内人材のみに依存せず、多様な採用チャネルを持つことが今後の採用戦略では重要です。外国人エンジニアの採用をきっかけに、社内のダイバーシティ推進にもつなげていきましょう。
未経験者のポテンシャル採用
経験者の採用が難しくなっている今、未経験者のポテンシャル採用を検討する企業も増えてきました。とくに新しい技術や分野では、そもそも経験者が市場に少ないケースも多く、自社で育成する姿勢が求められています。
実際に、社内研修や実践的なトレーニングを通じて、未経験者を戦力化しようとする企業の動きも活発化しています。未経験とはいえ、高い学習意欲や素養を持つ人材は多く、適切な育成体制があれば、将来的に貴重なエンジニアとして活躍してくれる可能性があります。
採用後の定着と成長を支えるには、OJTや外部研修、メンター制度などを組み合わせた育成プログラムの整備が不可欠です。未経験者の成長を前提とした環境づくりは、将来的な人材不足への備えにもなります。
ITエンジニアの採用が難しい理由
企業の採用担当者からは「ITエンジニアの採用が難しい」との声があがっています。採用が難しいと言われる理由は、主に以下の4つです。
- 有効求人倍率の上昇
- 働き方の多様化
- スキルの見極めが難しい
- 採用手法の多様化
上記の理由を理解しておけば、事前の対策が可能です。市場動向や採用トレンドとも付き合わせて、自社の採用戦略構築の参考になさってください。
有効求人倍率の上昇
ITエンジニアの採用が難しい理由のひとつに、有効求人倍率の上昇があります。ITエンジニアの求人倍率は高止まりしており、企業の採用競争の激しさを示しています。特に即戦力となるエンジニアは引く手あまたで、希望条件に合う人材の確保は非常に困難です。
有効求人倍率が上昇している理由は、企業が求めるIT人材の需要に対して供給が追いついていないからです。企業の需要自体が増えているにもかかわらず、少子高齢化による労働人口の減少や、IT人材の育成の遅れなどからエンジニアの数は十分に増えていません。企業は限られた人材を奪い合っており、有効求人倍率が上昇しているのです。
他社との採用競争に勝利するためには、企業は積極的に求職者にアプローチし自社の魅力を効果的に伝えなければなりません。
働き方の多様化
リモートワークやフリーランスといった働き方の多様化により、正社員としての採用が難しくなっています。エンジニア側も柔軟な働き方を求める傾向が強まっているため、企業は採用戦略を見直さなければなりません。
エンジニア自身も「自由な働き方」を重視する傾向が強く、フルリモートや時短勤務など柔軟な条件を希望する人が増えています。従来の就業形態に固執していると、優秀な人材にそもそも応募してもらえないケースも少なくありません。求職者の志向に合わせて、柔軟な働き方を取り入れることが、これからの採用活動には欠かせません。
スキルの見極めが難しい
求職者のスキルの見極めが年々難しくなっています。IT技術の多様化により、履歴書や面接だけでは判断しにくく企業は人材を見極めるのに苦労しています。実技テストやポートフォリオの活用が重要視されているものの、完全にスキルは見抜けません。
ITエンジニアのスキルは、単に知識があるだけでなく、実際に問題を解決できる能力やチームで協力してプロジェクトを進める能力なども含まれます。たとえば「Javaが使える」といっても、保守運用の経験と、ゼロから設計・開発までを任せられるスキルとでは大きく異なります。面接だけで判断せず、実技テストやポートフォリオの提出、面接官の技術的な理解が求められます。
企業は採用プロセスを見直し、客観的にスキルを評価できる方法を導入しましょう。また、IT技術に関する知識のある採用担当者の育成も重要です。
採用手法の多様化
求人媒体に掲載するだけでは、求めるITエンジニアを見つけにくい時代となっています。SNSやダイレクトリクルーティングを活用する企業が増加しており、適切な採用手法を選択しなければ理想の人材が獲得できません。企業側の対応力が試されていると言えるでしょう。
求職者も「企業を選ぶ視点」が変化しており、給与や福利厚生よりも「どんな技術に関われるか」「自分に合った文化か」を重視する傾向があります。こうした情報は、従来の求人票だけでは伝わりにくいため、自社発信の取り組みが不可欠です。
採用チャネルの見直しと、自社の魅力を言語化して届ける力が、採用成功のカギになります。
ITエンジニア採用を成功させるポイント
ITエンジニアの採用環境は、年々難しくなっているとはいえ、必要以上に不安になる必要はありません。以下の3つのポイントをおさえておけば、成功確率は向上します。
- 自社情報を発信する
- 求職エージェントを活用する
- ダイレクトリクルーティングを活用する
順番に詳しく解説するので、戦略的なITエンジニア採用を成功させたい方は、最後までご覧ください。
自社情報を発信する
ITエンジニア採用を成功させるには、自社情報の発信が重要です。採用サイトやSNSを活用し、企業の技術スタックや働き方を積極的に発信して、エンジニアにとって魅力的な情報を提供し応募意欲を高めましょう。
求職者が注目しているのは、単に給与や待遇だけでなく、どのような技術に触れられるのか、どのような働き方ができるのかといった情報です。企業の技術スタックや開発文化、チームの雰囲気などを具体的に伝えれば、自分に合った企業かどうかを判断しやすくなります。企業の技術ブログやオープンソースプロジェクトへの貢献などを発信できれば、技術力の高さをアピールできます。
企業は採用サイトのコンテンツを充実させ、技術ブログやSNSアカウントを積極的に活用しましょう。
求職エージェントを活用する
効率よくITエンジニアを採用するには、専門の求職エージェントの活用がおすすめです。適切な人材を効率的に確保しやすく、転職市場に出てこない潜在層へのアプローチも可能だからです。
ITエンジニアの採用市場は非常に競争が激しいため、自社だけで優秀な人材を見つけ出すのは困難です。独自のネットワークやノウハウを持っている求職エージェントは、企業のニーズに合った人材を効率的に紹介してくれます。転職を積極的に考えていない潜在層にもアプローチできるため、自社だけでは出会えない優秀な人材を発掘できます。
求職エージェントとの連携を強化し、自社の採用ニーズを正確に伝えれば効果的な採用につながります。定期的にコミュニケーションを行い、採用に関する情報共有を行いましょう。
ダイレクトリクルーティングを活用する
近年注目を集めている採用方法が、企業側から積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングです。採用したい人材に直接コンタクトを取り、ミスマッチのないスムーズな採用が実現可能です。
ダイレクトリクルーティングは、企業が求めるスキルや経験を持つ人材に直接アプローチする方法です。求職者が企業に応募するのを待つしかない従来の方法に比べて、ダイレクトリクルーティングは攻めの採用ともいわれます。企業は自社のニーズに合致した人材を効率的に獲得できるため、採用後のミスマッチを防止できます。
効率的に理想の人材を獲得したい企業であれば、積極的にダイレクトリクルーティングに取り組みましょう。採用担当者のスキルアップや、スカウトメールの作成ノウハウの習得などの採用戦略が求められます。
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まとめ
少子高齢化やIT技術の進化に伴い、ITエンジニアの採用は年々難しくなっています。市場動向を理解し、採用の難しさの理由を理解しておかなければ、他社との競争に負けてしまうでしょう。
本記事で紹介したITエンジニアの採用トレンドや、成功させるポイントを理解して、自社の採用戦略を構築してください。正社員だけでなく、フリーランスや副業を活用するなど広く採用戦略を見直せばまだまだチャンスはあります。
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