「受託開発の具体的な仕事内容が知りたい」「自社開発との違いは?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。受託開発は、クライアントの依頼を受けてシステムやアプリを開発する形態で、多様なプロジェクトに関われるのが特徴です。
本記事では、受託開発の具体的な仕事内容や求められるスキル、転職のメリット・デメリットについて詳しく解説します。記事を読めば、受託開発の魅力やキャリアパスが明確になり、転職を検討する際の参考になります。ぜひご活用ください。
受託開発とは
受託開発は、企業や個人からの依頼を受けて、システムやソフトウェアを開発するビジネスモデルです。クライアントの要望に応じたカスタム開発が中心で、業務システム、スマートフォンアプリ、Webサイトなど幅広い分野で活用されています。
契約形態としては、納品義務がある請負契約と、作業に対して報酬が支払われる準委任契約の2種類があります。請負契約では契約内容に沿った成果物の納品が求められ、途中での仕様変更は制限されることが多いです。一方、準委任契約は作業の柔軟性が高いものの、成果物の保証義務はありません。
受託開発の主な分野には、業務システム、スマートフォンアプリ、Webサイトの開発があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

業務システムの開発
業務システムは、企業の業務効率化やデータ管理を目的として開発されます。販売管理、人事管理、在庫管理など、ビジネスの基盤となるシステムが多く、長期間の運用を前提としています。
たとえば、人事管理システムでは、勤怠管理や給与計算の自動化により業務負担を軽減できます。小売業では、リアルタイムで在庫を把握できる販売管理システムが求められます。企業ごとに要件が異なるため、カスタマイズ性が重要になります。
開発期間は半年から数年に及ぶこともあり、高い信頼性と安定性が求められます。テストや品質管理を徹底し、運用フェーズでの保守・アップデートまで考慮した設計が必要です。
スマートフォンアプリケーションの開発
スマートフォンアプリは、企業のマーケティングやサービス提供の手段として活用されています。ゲーム、学習アプリ、マッチングアプリなど、多様なジャンルがあり、ターゲットユーザーに合わせた設計が求められます。
アプリ開発では、機能性だけでなく、UI/UXの設計が重要です。利便性やデザイン性が重視されるため、ユーザーの行動を分析し、操作しやすいインターフェースを設計することが必要です。また、新技術の導入や定期的なアップデートに対応できる開発体制が求められます。
Webサイトの開発
Webサイトは、企業のブランディングや情報発信に不可欠です。コーポレートサイト、ECサイト、ランディングページなど、用途に応じた設計が必要になります。
多くの企業が自社サイトを持っていますが、開発には専門知識が必要なため、受託開発会社に依頼するケースが一般的です。Webサイトの開発では、デザインのクオリティ、ユーザビリティ、SEO対策が重要な要素になります。検索エンジンでの上位表示を狙う場合、適切なサイト構造やコンテンツの設計が欠かせません。
受託開発企業に転職するメリット
受託開発企業への転職は、エンジニアとしてのキャリアを大きく成長させるチャンスです。多様なITスキルの習得機会、新規開発プロジェクトへの参画、そして幅広い業界との関わりなどの特徴があります。こうした経験を積むことで、エンジニアとしての市場価値を高め、将来的なキャリアの選択肢を広げられるでしょう。
ここからは、具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
- ITスキルが身につく
- 新規開発に携われる
- 幅広い業界に携われる
ITスキルが身につく
受託開発企業への転職は、幅広いITスキルを効率的に習得できるのがメリットです。受託開発では、クライアントの要望に応じたシステムを開発するため、案件ごとに異なる技術を扱う必要があります。そのため、プログラミング言語やデータベースの知識だけでなく、クラウド技術やAPI連携など、幅広いITスキルを身につけられるでしょう。
また、開発するシステムの種類も多岐にわたるため、新しい技術に触れる機会が多いのも特徴です。例えば、Webシステム、業務アプリ、組み込み系ソフトウェアなど、さまざまな開発領域で経験が積めます。これにより、一つの技術に特化するのではなく、複数の分野で活躍できるエンジニアとして成長できるでしょう。
さらに、プロジェクトの進行に合わせてクライアントと直接やり取りする場面もあり、要件定義や設計のスキルも磨かれます。技術力だけでなく、課題解決力やコミュニケーション能力も向上するため、キャリアアップの大きな助けとなるでしょう。
新規開発に携われる
受託開発企業では、新規開発に携われることもメリットです。自社開発では、既存システムの改修や機能追加が中心になるケースが多く、大幅な変更や新規開発の機会は限られます。一方、受託開発では、クライアントごとに異なるシステムを開発するため、新規開発の案件に関わる機会が多いです。
新規開発では、要件定義から設計、実装、テストまでの全工程に関われるため、システム開発の醍醐味を存分に味わえます。また、受託開発ではクライアントの要望に合わせて一からシステムを作り上げるため、開発の自由度が高く、新しい技術を取り入れやすい点もメリットです。
さらに、プロジェクトごとに異なる業務要件や技術的な課題に対応する必要があるため、問題解決能力や適応力も養われます。技術的な挑戦が多く、開発のやりがいを感じやすい環境のため、新しい知識を積極的に吸収しながら成長したいエンジニアにとって魅力的な働き方といえるでしょう。
幅広い業界に携われる
受託開発企業では、小売業、製造業、金融業、医療機関など、様々な業界のクライアントと協働する機会があるのもメリットです。それぞれの業界特有の業務フローやシステム要件を理解することで、ビジネスに関する幅広い知見を得られます。
例えば、小売業向けのPOSシステム開発では専用端末の制御技術が必要となり、医療機関向けのシステムでは個人情報保護に関する厳格な規制への対応が求められます。業界ごとに特化したシステム開発を経験することで、それぞれの業界特有の課題やニーズを理解できるようになるでしょう。
このような知識は、エンジニアとしての価値を高めるだけでなく、次のプロジェクトでの提案力や対応力の向上にもつながります。
また、受託開発では特定の分野に限定されず、さまざまな業界の案件を経験できるため、将来的にキャリアチェンジを考える際にも選択肢が広がります。異なる業界のシステム開発に携わることで得た知識やスキルは、転職時の強みとなり、より多くの企業で活躍できる可能性が高まるでしょう。
受託開発企業に転職するデメリット
受託開発企業への転職には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。特に、客先常駐や厳しい納期管理、クライアントの意向に左右される業務環境などは、受託開発ならではの課題です。
ただし、これらのデメリットは事前に理解し、適切な対策を講じることで、負担の軽減も可能です。
ここから、受託開発企業に転職するデメリットを解説します。
- 客先常駐を求められることがある
- 納期が厳しい
- クライアントの影響が大きい
客先常駐を求められることがある
受託開発では、プロジェクトによってはクライアント企業に常駐して作業するケースがあります。常駐先では、自社とは異なる就業ルールや開発環境に適応する必要があり、働きにくさを感じることもあるでしょう。
例えば、セキュリティの観点から持ち込み可能なデバイスに制限があったり、服装規定が設けられていたりする場合があります。また、開発ツールや作業フローもクライアントの指示に従うため、自由度が低くなることもあります。
さらに、クライアントの所在地によっては転勤を伴うケースも少なくありません。自社が東京にあっても、プロジェクトによっては名古屋や大阪のクライアント先に出向くことが求められることもあります。そのため、転勤の可能性があるかどうかは事前に確認しておくと良いでしょう。
ただし、客先常駐の環境はクライアントとの直接的なコミュニケーションが取りやすく、業務の進行をスムーズにするという利点もあります。新しい環境での適応力を養えるため、エンジニアとしての成長にもつながるでしょう。

納期が厳しい
受託開発では、納期が厳しい点もデメリットです。契約で定められた納期を守ることが最優先です。
クライアントの業務に関わるシステムを開発するため、スケジュールの遅延は大きな影響を及ぼします。そのため、プロジェクトの進行状況を適切に管理し、遅れが発生してはいけません。
納期が厳しいため、開発中に不測の事態が発生すると、納期を厳守するために残業や休日出勤を余儀なくされることもあるでしょう。特に、バグ対応や仕様変更が発生した場合、短期間での対応が求められ、業務負担が増加する可能性があります。
このような負担を軽減するためには、プロジェクト管理能力を高めることが重要です。スケジュールに余裕を持たせたり、リスク管理を徹底したりすることで、トラブルが発生しても冷静に対処できるようになります。
また、チームでの情報共有を密にすることで、タスクの分担をスムーズにし、業務負担の偏りを防ぐことも可能です。
クライアントの影響が大きい
受託開発では、クライアントの要望や判断が開発の方向性を大きく左右します。技術的に最適と考えられる解決策であっても、コストや運用面での制約により採用されないことがあります。
また、プロジェクト進行中の仕様変更やスケジュール変更により、開発チームの負担が増加することも少なくありません。
こうした状況に対応するためには、クライアントとの折衝力を高めることが有効です。要件定義の段階でクライアントと十分に話し合い、プロジェクトのゴールを明確にすることで、無理な変更を減らせます。
さらに、仕様変更のリスクを最小限にするため、開発前に契約内容をしっかりと確認し、適切な調整を行うことが重要です。
受託開発に必要なスキル
受託開発では、技術力だけでなく、円滑なプロジェクト進行に必要なスキルが求められます。クライアントとの関係を築く力や、幅広い技術への適応力など、多様なスキルを身に付けることが成功の鍵となるでしょう。
ここでは、受託開発に必要なスキルについて詳しく解説します。
- 人脈を広げる
- 幅広い技術力
- コミュニケーション能力
人脈を広げる
受託開発では、多くのクライアントと関わる機会があるため、人脈を広げることが重要です。信頼関係を築くことで、新たな案件の紹介やキャリアアップの機会が増える可能性があります。
また、エンジニア同士のネットワークを持つことで、最新技術や業界動向を把握しやすくなります。特に、フリーランスとして独立を考えている場合、人脈が仕事の獲得につながるケースも多いです。
さらに、受託開発企業で培った経験を活かし、クライアント企業へ転職するエンジニアもいます。そのため、日頃から積極的に交流を持ち、良好な関係を築くことが大切です。
最近では、オンラインコミュニティやテック業界のイベントなども、人脈形成の重要な場となっています。技術情報の交換や業界動向の把握だけでなく、将来的なビジネスチャンスにつながる出会いの機会として活用するのもおすすめです。
幅広い技術力
受託開発エンジニアには、多様なプロジェクトに対応できる幅広い技術力が求められます。一つのプロジェクトでWebアプリケーションを開発し、次のプロジェクトではモバイルアプリの開発に携わるといった具合に、様々な技術スタックへの対応が必要です。
特定の技術に特化するだけでなく、新しいプログラミング言語やフレームワーク、クラウド技術などを学び続けることで、より多くの案件に対応できるようになります。また、異なる業界のクライアントと関わることで、業務知識の幅も広がるでしょう。
技術の進化は非常に速いため、常に新しい技術トレンドをキャッチアップする姿勢が重要です。技術書の購読やオンライン学習プラットフォームの活用、ハンズオンワークショップへの参加など、継続的な学習を心がけましょう。
コミュニケーション能力
受託開発では、クライアントの要望を正しく理解し、適切な対応が求められます。そのため、高いコミュニケーション能力が不可欠です。
開発の各フェーズで、クライアントとやり取りを行う場面が多くあります。要件定義の段階では、課題を的確にヒアリングし、期待に沿った提案をすることが重要です。また、開発中も進捗報告や仕様調整を行い、クライアントの信頼を得ることが必要となります。
さらに、良好な関係を築くことで、継続的な案件の受注につながることもあります。クライアントとの円滑なコミュニケーションの意識が、受託開発での成功につながるでしょう。
受託開発の将来性
IT技術の進化とともに、受託開発の需要は高まり続けていくでしょう。デジタル技術の急速な進化により、受託開発業界は大きな転換期を迎えています。特にAIやIoTの普及、DXの推進により、企業は高度なシステム開発を求めるようになっています。
一方で、事業会社の内製化が進む動きもありますが、人材確保やノウハウの蓄積には時間を要するため、外部委託のニーズは依然として高い状況です。加えて、システム開発の高度化が進み、専門的な技術を持つ受託開発企業は今後も大きな成長が見込まれます。
ここでは、受託開発の将来性について詳しく解説します。
- あらゆる分野でIT活用が活性化
- 事業会社の内製化のニーズが増加
- システム開発の高度化
あらゆる分野でIT活用が活性化
DXの波は、従来ITとは縁遠かった産業にまで広がっています。AIやIoTを活用した自動化システムの導入や、クラウドサービスの普及など、企業は効率化や生産性向上を目的にITの活用を進めています。
例えば、製造業ではIoTを活用したスマートファクトリー化が進み、小売業ではAIを活用した需要予測や在庫管理が利用されるようになってきました。
また、医療分野ではオンライン診療システムの需要が高まり、教育分野ではEdTechの活用が加速しています。農業分野でも、センサー技術やドローンを活用したスマート農業が注目を集めています。
このように、あらゆる産業でITソリューションへのニーズが高まる中、受託開発企業には専門的な知識と技術力を活かした、質の高いシステム開発が求められているのです。業界特有の課題を理解し、最適なソリューションを提供できる受託開発企業の重要性は、今後さらに増していくでしょう。
事業会社の内製化のニーズが増加
ITシステムの重要性が増す中、事業会社がシステム開発を内製化しようとする動きも見られます。社内でのIT人材の育成には長期的な投資と時間が必要であり、技術的なノウハウの蓄積も容易ではありません。そのため、すぐに完全な内製化を実現するのは困難です。
特に中小企業では、十分な技術力を持つ人材を社内で確保することが難しく、専門知識を持つ外部企業への依頼が依然として必要とされています。また、大企業でも内製化が進む一方で、特定の技術領域や大規模プロジェクトにおいては、専門的なノウハウを持つ受託開発企業への外注が不可欠です。
そのため、基幹システムの開発や専門性の高い技術領域については、受託開発企業への委託が継続すると予想されます。
システム開発の高度化
IT技術の進歩に伴い、システム開発の高度化が進んでいます。特に、AI、ブロックチェーン、ビッグデータ解析などの分野では、高度な知識やスキルが求められるため、企業が独自に開発することは容易ではありません。
こうした状況の中、受託開発企業には専門的な技術力を活かしたシステム開発の依頼が増えています。さらに、最新技術を活用したシステムの導入を検討する企業も増えています。
このような高度な技術要件に対応するためには、継続的な学習と実践の機会が必要です。受託開発企業は、様々なプロジェクトを通じて最新技術の導入実績を積み上げられ、そのノウハウを活かした質の高いソリューション提供が可能です。
企業が競争力を維持するためには、高品質なシステムの提供が不可欠であり、その実現のために受託開発企業が果たす役割は大きくなっていくでしょう。
エンジニアにとって優良な受託開発企業の特徴
受託開発企業で働くエンジニアにとって、どんな企業が「良い環境」と言えるのか。単に開発案件が多いだけでなく、スキルアップやキャリアの成長を支援してくれる企業かどうかが重要です。
設計から開発・運用まで一貫して関われる
システムの一部分だけを担当する企業では、仕様通りに作ることがメインになりがちです。エンジニアとして設計や要件定義から関われる企業なら、技術だけでなく、上流工程の経験も積めるため、キャリアの選択肢が広がります。
クライアントの課題解決に積極的に関われる
優良な受託開発企業は、クライアントの要望をそのまま実装するのではなく、本質的な課題を見極め、適切な提案を行います。このような環境では、エンジニアも単なる「作業者」ではなく、技術を活かして価値を生み出す経験ができます。結果として、技術力と問題解決力の両方を磨くことが可能です。
幅広い案件があり、特定のクライアントに依存しない
多様な業界・クライアントの案件を持つ企業では、さまざまな技術や開発手法に触れる機会が増えます。一方、特定の企業に依存している場合、その企業の意向に縛られやすく、スキルの幅が限定されることもあります。成長の機会を広げるなら、多様な案件に関われる企業を選ぶのがベストです。
学習・成長を支援する環境がある
研修や勉強会の開催、資格取得支援、技術共有の文化がある企業は、エンジニアのスキルアップを後押ししてくれます。受託開発はプロジェクト単位で仕事が進むため、環境によっては「納期優先」で学ぶ機会が少なくなりがち。成長できる環境があるかどうかも重要なポイントです。

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まとめ
本記事では、受託開発の基本的な概念から、具体的な仕事内容、転職時のメリット・デメリット、必要なスキル、そして将来性まで、幅広く解説してきました。
受託開発は、業務システムやスマートフォンアプリ、Webサイトの開発など幅広い業務があり、ITスキルの向上や新規開発への関与など多くの魅力があります。一方で、客先常駐や厳しい納期などの課題もあるため、しっかりと理解した上で転職を検討することが重要です。
また、受託開発の将来性は高く、ITの活用拡大や内製化ニーズの増加により、今後も需要が続くと考えられます。転職を成功させるには、企業選びが鍵となるため、設計から運用まで一貫したサービスを提供し、幅広い取引先を持つ企業を選ぶと良いでしょう。
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