報連相・見える化・PDCAよりも大切な「雑談力」とは

「報連相」「見える化」「PDCA」。これらは、就職や転職活動で頻繁に耳にする言葉です。確かに重要ですが、エンジニアとして働く中で、本当に大切なスキルや能力は他にあるのではないでしょうか?

この記事では、エンジニアが意識すべき「雑談力」と「推進力」に焦点を当て、本当に必要なものを掘り下げていきます。

この記事は以下の方におすすめです!
・技術スキルだけでなく、チームで働くための「雑談力」や「推進力」を学びたい人。
・従来の「当たり前」に疑問を持ち、エンジニアとしてより良い働き方を考えたい人

ライター:青田ちひろ

エンジニア出身のキャリアカウンセラー。理系の大学院修士課程を修了後、電機メーカーに20年以上勤務。職業訓練校にて、求職者ならびに在職者のエンジニアに対して、セミナー講師を務める。エンジニアを取り巻く環境を考慮し、様々な視点からエンジニアとしてのあり方をレクチャーする。キャリアコンサルティング技能士、2級ワープロ技士、表計算技士、色彩検定、色彩講師、アロマテラピーインストラクター等、多彩な技能を持つ。

IT業界の求人なら社内SE転職ナビ

社内SEの転職を検討しているなら、案件数業界トップの「社内SE転職ナビ」がおすすめです。
保有案件は10,000件以上の中から、IT業界に詳しいエージェントが面談を通して、幅広い職種から自分に合った求人をご紹介。
入社後の定着率も96.5%とマッチングには自信があります。社内SEへの転職に興味がある方は、ぜひ1度ご相談ください。

ナレッジコラムシリーズ

この記事の目次

報連相とは

ほうれんそうは、スピナッチと呼ばれます。これを食べると、とたんに力が湧いてきます。だから、大事!いやいや、それではありません。

報連相(報告・連絡・相談)は、仕事の進捗状況やトラブルを共有し、チームで円滑に業務を進めるための基本とされています。特にエンジニアの現場でも、情報共有は不可欠です。任された仕事の進捗を報告し、仕事が滞りそうであれば連絡し、トラブルが発生したら相談する。このサイクルを守ることで、業務はスムーズに進むはずです。

報連相の弊害とは?

報連相を強く推奨する背景には、それをしない社員が多いという問題があります。しかし、過剰に求めすぎると以下のような弊害が生まれます。

形式的な報連相が増える:とりあえず報告や連絡だけしておけばよいという風潮が生まれる。
上司と部下の信頼関係が損なわれる:上司が部下を信用しないと、部下も本音を話さなくなる。
問題解決が丸投げされる:相談が「上司に任せておけば良い」という受け身の姿勢を生む。

本来、報連相はチーム全体の効率化や問題解決を目的としていますが、形骸化することで逆効果となることもあります。

報連相を禁止するとどうなる?

思い切って報連相を禁止してみると、中間管理職の役割が変わります。メンバーから報告が上がってこないため、リーダー自らがメンバーの状況を把握する必要に迫られるのです。

  • メンバーの進捗やトラブル状況を直接確認する
  • 個々の特性を理解し、適切に仕事を割り振る
  • メンバーとの対話を通じて雑談力を磨く

これらの行動こそが、プロジェクトを前進させる「推進力」を生むのです。さらに、メンバーと対話する中で雑談を交わすことで、信頼関係を築くと同時に「雑談力」を磨くことができます。この雑談力は、単なるコミュニケーションスキルにとどまらず、プロジェクトの進捗状況や潜在的な問題を自然な会話の中で引き出すための重要な力です。

推進力と雑談力が備わることで、プロジェクトの状況を的確に把握できるだけでなく、メンバー個々の特性や適性を理解し、それに応じた役割分担が可能になります。その結果、リーダー自身も成長し、より良いチーム運営が実現するのです。

エンジニアに「見える化」は本当に重要か?

「見える化」という言葉、どこか子どもっぽく感じませんか?最近では多くの職場で「可視化」という表現が使われています。エンジニアなら「可観測」という言葉もご存知かもしれませんね。「可制御」と対になる重要な概念です。

誰のための見える化か

見える化の目的は、本来であればプロジェクト全体を俯瞰し、課題を早期に発見して対応するための仕組みであるはずです。しかし、現実には、中間管理職が自分の上司に「プロジェクトはうまくいっています」とアピールするためのツールとして使われることもあります。

このような状況では、見える化がメンバーにとって役立つものではなくなり、「上司への報告」のためだけの作業になりがちです。これでは、現場の実態やメンバーの課題が正しく共有されないリスクがあります。

見える化をやめたらどうなる?

あれっ、これって「報連相」の内容と同じじゃないですか?そのとおり、同じです。

もし見える化をやめた場合、中間管理職の役割が自然と変わります。リーダーは自らメンバーの状況を把握し、チーム全体を見渡す必要に迫られるからです。

  • メンバーの進捗やトラブル状況を直接確認する
  • メンバー一人ひとりの特性を理解し、適切に仕事を割り振る
  • 対話を通じて雑談力を鍛え、チームの信頼関係を構築する

このプロセスを通じて、リーダー自身が「推進力」を身につけると同時に、メンバーとの距離感が近くなり、チーム全体の生産性が向上します。

見える化が上司へのアピールに留まらず、リーダーが率先して取り組むことで、メンバーにも良い影響を与えることができます。自分のプロジェクト全体を正確に把握し、その情報をオープンに共有するリーダーは、メンバーからの信頼を得ると同時に、チーム全体の協力を引き出します。

このように、「見える化をやめる」ことは、決して単純にツールを排除するという話ではありません。それはむしろ、リーダーが主体的に動き、チームの推進力を引き出すための一つのきっかけになるのです。

PDCAはエンジニアにとって大切

PDCA(Plan, Do, Check, Action)は、エンジニアにとって重要なのでしょうか?結論から言えば、確かに大切です。特にプロジェクトを率いるリーダーにとっては、PDCAを回すことがプロジェクト成功の土台となります。

プロジェクトの進行は、小さなPDCAを繰り返すことで成り立っています。しかし、この中で最も重要なステップは何でしょうか?一つひとつを振り返りながら考えてみましょう。

PDCAのどこが一番大切か?

PDCAのそれぞれの役割

まずは、それぞれのステップを簡単におさらいします。

  • P(Plan): 計画を立てる
  • D(Do): 実際に動いてみる
  • C(Check): 成果を確認する
  • A(Action): 改善や次の準備を行う

これらすべてが重要なのは言うまでもありません。

ただ、その中で「エンジニアにとって最も優先すべきステップ」とは何でしょうか?

注目されがちな「Plan」と「Check」、見落とされる「Do」

多くのエンジニアに「最も大切なステップは?」と尋ねると、一番多い回答は「P(Plan)」です。全体の40%ぐらいは「計画がなければ始まらない」という理由でこれを選びます。次に人気なのが「C(Check)」。30%ぐらいの人が選びます。成果を評価し、次につなげることの重要性が挙げられます。

意外と評価が低いのが「D(do)」です。「手を動かして実行すること」は泥臭い作業に見えがちで、華やかさに欠けるため、あまり選ばれません。

「Do」がエンジニアの本質

しかし、エンジニアにとって「D(do)」が最も重要だといえます。他のステップ、つまり計画や評価、改善は、必ずしもエンジニア自身が行う必要はありません。これらは他職種の人でも可能です。

一方、「D(do)」はエンジニアにしかできません。実際にコードを書き、システムを構築するのは、エンジニアの専売特許とも言えます。この実行フェーズがなければ、どれだけ計画や評価をしても、何も動き出しません。

だからこそ、エンジニアとして「D(do)」を軽視するべきではありません。実行を重ねることで、プロジェクトは前進し、結果として大きな達成感を得られるのです。

雑談力がPDCAを円滑に回す理由

PDCAは計画・実行・評価・改善の連続プロセスですが、その間をつなぐのは「人とのやり取り」です。雑談力は、そのやり取りを円滑にし、関係性を強化するための重要な要素です。雑談の中で信頼関係が築かれることで、チーム全体がオープンな雰囲気になり、PDCAの各ステップがより効果的に進行します。

結果として、雑談力を活用することで、PDCAは単なる理論ではなく、実際のプロジェクトを動かす強力なツールへと進化するのです。

雑談力と推進力――エンジニアが本当に必要なもの

リモートワークが主流となった職場では、生産性を上げるための管理が非常に重要視されます。しかし、エンジニアの仕事は、単に決められたタスクを正確にこなすだけではありません。実は、チーム内の雑談や偶然の会話が、新たなアイディアの生まれるきっかけになることが多いのです。

休憩中に何気なく技術の話をしたり、製品の機能について議論したりする雑談は、エンジニアにとって欠かせないプロセスです。しかし、リモートワークではこうした雑談の機会が減り、画面越しの会話では用件が終わればすぐ退室してしまいがちです。それぞれの環境が異なる中では、何気ない会話を続けるのも難しくなります。

雑談力、つまり「気軽な会話を通じて関係を築き、情報を引き出す力」は、エンジニアにとって重要なスキルです。アイディアの種は、こうした会話の中で芽吹きます。そして、この雑談力が、チームの連携を強化し、自由な発想を引き出す原動力となるのです。

ただし、雑談ばかりしていては仕事が進みません。雑談を終えた後は集中して作業に取り組む――この「けじめ」をつけることが、プロジェクトを成功に導く秘訣です。プロジェクトリーダーには、このけじめをチーム全体に浸透させる「推進力」が求められます。

プロジェクトリーダーに必要な「推進力」

プロジェクトリーダーには、メンバー一人ひとりの進捗や課題を把握し、適切にサポートする役割があります。そのためには、メンバーのスキルや特性を深く理解することが必要です。このプロセスで重要なのが雑談です。

雑談は、単なる気晴らしではありません。メンバーの悩みや課題を引き出し、信頼関係を築くための手段です。雑談力を持つリーダーは、自然な対話を通じてチームの状況を正確に把握し、プロジェクト全体を円滑に進める「推進力」を発揮します。

この推進力があれば、メンバーの特性に応じた役割分担ができ、問題が発生しても迅速に対応できます。結果として、チーム全体がスムーズに動き、プロジェクトの成果が向上します。

アイディアはどこから生まれるのか?

アイディアの源泉は雑談です。日常の会話の中から、ふとしたヒントや発想が生まれることがあります。しかし、リモートワークではブレインストーミングや雑談が難しくなり、そうしたアイディアが生まれる機会も減少します。

プロジェクトリーダーには、こうした状況でもメンバーの意見交換を活性化させる役割が求められます。雑談力を持つリーダーは、メンバーと信頼関係を築くだけでなく、彼らの中に眠る可能性を引き出すことができます。

リーダーが雑談を通じて信頼を築き、推進力を持ってプロジェクトを進めれば、エンジニア一人ひとりが自分の力を最大限に発揮できます。その結果、チーム全体の成果が向上し、プロジェクトが成功へと導かれるのです。

社内SEの求人なら社内SE転職ナビ

IT業界の求人なら社内SE転職ナビ


「報連相」や「見える化」に縛られ、仕事にモヤモヤを感じていませんか?社内SE転職ナビでは、5,000件以上の公開求人や、提案求人数平均25.6社といった充実したサポート体制で、エンジニアが自由度高く働ける職場への転職を支援します。

報連相や形式的なルールに疲れた方、自分のアイデアやスキルをもっと活かしたい方に最適な環境をご提案。さらに、面談後の満足度は120%と、転職後の期待を大きく上回る実績もあります。まずは社内SE転職ナビで、あなたの可能性を広げる求人をチェックしてみてください!

まとめ

今回は「みんなが大好きな報連相、見える化、PDCA」を切り口に、エンジニアにとって本当に大切なものは何かを考えてみました。結論として、エンジニアに必要なのは「雑談力」と「推進力」です。

特にプロジェクトリーダーには、チームを前に進める推進力が欠かせません。しかし、この推進力はリーダーだけのものではありません。メンバー一人ひとりが推進力を発揮することで、プロジェクト全体がよりスムーズに進みます。

もしあなたがリーダーであれば、報連相を押し付けるのではなく、チーム内での雑談を促進してみてください。雑談は単なるおしゃべりではなく、信頼関係を築き、アイディアを生み出す重要な手段です。メンバーも意外と喜んでくれるはずです。

そして、あなた自身も推進力を磨いていきましょう。その方法は意外とシンプルです。メンバー一人ひとりと話す時間を作り、何気ない会話を大切にすること。そこから得られる気づきやつながりが、チーム全体の力を引き出すきっかけになります。

雑談力と推進力を活かして、エンジニアチームをさらに活性化させてみませんか?

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

  • URLをコピーしました!
この記事の目次