ITエンジニアとして成長が必要な理由と市場価値を上げる方法

ITエンジニアとしてのキャリアにおいて、「成長」は避けて通れないキーワードです。技術革新が目覚ましい業界にあって、成長し続けることが自身の市場価値を高め、より良いキャリアを築くための鍵となります。

この記事では、ITエンジニアが成長を続ける理由、具体的な方法、そして注意すべき点について解説します。経験を積んだエンジニアも、これからキャリアを歩み始める方も、この記事を通じて「次のステップ」へのヒントを見つけていただけるはずです。

この記事は以下の方におすすめです!

・キャリアアップしたいと思っているものの、自身の市場価値に自信がない
・ITエンジニアとして成長したい

firstriver

ライター:firstriver

30年以上の会社生活を経験。家電機器に組み込むマイクロコンピュータのソフトウェアと周辺回路の設計を皮切りに、ソフトウェア開発部門、技術開発部門の開発リーダーやマネージャーに。その後、ケーブルテレビ配信の技術規格策定に携わる。現在は、化学メーカーの情報システム部門で各種システムやツールの導入・運用を担当。

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この記事の目次

ITエンジニアとして成長が必要な理由

ITエンジニアとして成長が必要な主な3つの理由を説明します。

  • IT業界は進歩のスピードが速い
  • 成長しなければ生き残っていけない
  • 成長がモチベーションのカギになる

IT業界は進歩のスピードが速い

IT業界における技術革新のスピードはとても速いです。最新の技術であったものが、いつの間にか陳腐化された技術になってしまいます。

一例を挙げればAIの分野です。つい先日まで大規模DBを背景にしたAIによる音声認識や音声合成技術がスマホに取り入れられ大きな関心を呼んでいましたが、突然登場したChatGPTに代表される生成AIに取って替わられています。

従って、商品開発や新たなサービス開発に係るITエンジニアは常に新しい技術をウォッチしていないといけません。ウォッチだけではなく、自身の開発する商品やサービスに関連する新技術となりうる可能性を見極め自分のものにしていくことも求められます。

成長しなければ生き残っていけない

このように常に新しい技術をウォッチして自身の技術を磨いて成長を続ける必要があることに加えて、経験を積むに従いマネジメント力や交渉力、更にはコミュニケーション力をつけていく必要があります。

例えば開発プロジェクトを推進していくためには、プロジェクトマネージャがいて、その下に複数のプロジェクトリーダがいてチームをまとめていく、チームの中には夫々複数のエンジニアが所属する構成で運営されます。

エンジニアとしての経験を積めば、チームをまとめるためのチームリーダになることが期待され、チームリーダとして経験を積めば、プロジェクトマネージャとしてプロジェクトをまとめることが期待されるようになります。これは、健全な組織を維持していくために自然なことです。

こうした期待に応えていくためには、成長していけるよう努めていく必要があります。

成長がモチベーションのカギになる

IT業界が進歩しているにも関わらず、自身が全く変わらず、新たな技術を習得することもなく、ITエンジニアとして仕事を続けることは考えにくいでしょう。

技術の進歩に合わせて、自分のスキルを高め、ITエンジニアとして成長していくことが重要です。この成長によって、組織内での自身の存在価値を実感し、それがやりがいとなりモチベーションを高めることができます。

逆に、成長が停滞すると、自分の価値を見失い、仕事への意欲を維持することが難しくなるかもしれません。成長することで初めて、モチベーションを持ちながら仕事に向き合うことができるのです。

ITエンジニアとして成長する方法

ITエンジニアとして成長していくためにはどうすべきか?その方法を説明します。

  • キャリアパスを描く
  • 問題意識を持つ
  • 自ら能動的に行動する
  • 問題の先送りをしない
  • ライバルを持つ

キャリアパスを描く

5年先、10年先に自分がどのような立場でどんな仕事をしていたいか、具体的にイメージしてみましょう。例えば、

5年後には、開発チームのリーダとしてチームをまとめる立場になりたい。
10年後には、開発プロジェクトのプロジェクトマネージャとしてプロジェクトを推進する立場になりたい。

このように目指す姿を描いたら、それを実現するために必要なことを洗い出していきます。その上で、それらを時間軸上に並べ、ロードマップ(キャリアパス)として計画を立ててみてください。

以上を踏まえ、実際に描いたロードマップに従って仕事をしていく中で必要に応じて都度修正を加えつつ、着実に実行していくことによりITエンジニアとしての成長に繋げていきます。

将来的になりたい姿を出来るだけ具体的にイメージし、それを達成するための道筋を設定することにより、モチベーションを持って目標達成に向けて進めていくことが出来るようになる、つまりはエンジニアとして着実に成長していくための道筋を立てることが出来るということです。

問題意識を持つ

仕事を進める中で、前向きな気持ち(=仕事の進め方や仕事の内容そのものの改善につなげたいという気持ち)で問題意識を持つことが、物事に対する見方や感性を磨くことにつながります。

真剣な気持ちで物事に取り組むことで、感性が磨かれ、今まで気が付かなかったことに気づけるようになり、考えもつかなかったアイデアが思いつくことがあります。

こうした積み重ねによって、誰もが気が付かない製品やサービスの付加価値を思いついたり、誰も成しえなかった仕事の改善に結びつくことがあります。

問題意識を持ち、前向きに取り組むことで新たな可能性が広がるのです。

能動的に行動する

問題意識を持つことにもつながりますが、仕事を進める中で直面する課題に対しての受け止め方次第で、自分が成長できるかどうかが決まります。

課題を「他人事」として、「自分たちのせいではないから関係ない」と捉えると、そこで成長は止まってしまいます。なぜなら、それ以上考えず、思考を停止させてしまうからです。

一方で、課題を「自分事」として、「自分たちの問題」と捉え、解決するために行動を起こすと、能動的な行動の積み重ねが自分自身の成長を促します。

課題を「自分事」として受け止め、解決に向けて行動する姿勢を持つこと。それが自己成長につながる大切なステップとなります。

問題の先送りをしない

開発作業において、発生した問題を先送りして別の作業を進めることは精神的なストレスにもつながります。

これを繰り返していると上司や同僚の信頼を落とす可能性があります。その結果、重要な仕事の機会を失ってしまう可能性もあり自己の成長の機会を失うことにもなります。

このため特別な理由がない限り、発生した問題は速やかに解決するためのアクションを起こすよう心掛け、それを習慣化することをおすすめします。

ライバルを持つ

会社では同期や年齢の近い同僚が周りにいることが多いものです。その中で「彼にだけは負けたくない」と思う気持ちは、自分自身を奮い立たせ、「頑張ろう」という意欲につながります。

このような「仮想のライバル」を意識的に設定することで、日々の業務に張り合いが生まれ、自分の成長を後押しする良い刺激となるでしょう。もちろん、競争心が過剰にならない範囲で、健全なモチベーションとして活用することが重要です。

停滞感との付き合い方

エンジニアとして仕事を続けていくと、必要な技術を習得し、仕事が一通りできるようになる時期が訪れます。開発プロジェクトでは与えられた担当部分を問題なくこなせるようになり、ストレスも少なく、何なく日々を過ごせるようになります。

しかし、このような状態が続くと、ふと「あれ、これでいいのだろうか?」と感じることがあります。世の中では新しいサービスや技術が次々と生まれている中で、自分は「相変わらず同じことを繰り返しているだけ」と感じてしまうのです。

こうした状況が続くと、精神的に不健康な状態に陥る可能性があります。では、「この停滞感をどう乗り越えればいいのか?」という問いへの具体的な方法を以下に挙げてみます。

  1. 新たな技術の習得に挑戦してみる
    例えば、新しいプログラミング言語の習得を目指して資格試験に挑戦するなど、少し高い目標を設定してみましょう。
  2. 会社で未経験の分野に挑戦する
    自ら手を挙げて新しい業務に挑戦することも有効です。初めての分野に取り組むことで、成長の実感を得られるでしょう。
  3. 環境を変えて再挑戦する
    別のフィールドで自分を試すために転職を検討するのも一つの方法です。新しい環境に身を置くことで、刺激と挑戦を同時に得ることができます。

停滞感を感じること自体は悪いことではありません。それは、次のステップへ進むためのサインとも言えます。この感覚をチャンスと捉え、行動に移してみてください。

常にステップアップを意識しよう

「どうすれば、1段高いステージに上がれるか」を常に考え、実行することは、自分自身の成長に深く関わっています。1段高いステージに進むことで、これまで以上に高度なスキルが要求され、自己成長につながるからです。ステップアップにはいくつかの方法があります。

会社の中で成果を出し、新しい役割や責任を任される形でステップアップするのも一つの道です。しかし、もしその環境での成長が難しい場合は、転職によるステップアップを考えることもできます。

転職を選ぶ場合、ITエンジニアとしての市場価値を高めておくことが重要です。そのためには、技術の習得や経験の積み重ねなど、日頃からの努力が欠かせません。自身の市場価値を意識し、必要なスキルや知識を磨くことで、新しいフィールドでの活躍につながります。

ITエンジニアが市場価値を上げる方法

ITエンジニアが市場価値を上げる3つの方法について説明します。

  • 実績を積み上げる
  • 資格を取得する
  • 複数の職種の経験を積む

実績を積み上げる

現在の会社で与えられた仕事や開発プロジェクトを積極的に進め、確実に成果を出していきましょう。ただし、与えられる仕事をこなすだけではなく、自身の技術力アップや将来のステップアップにつながると思われる業務には、自ら手を挙げて取り組む姿勢が重要です。

こうした積極性によって、スキルアップだけでなく実績が積み上がり、市場価値の向上につながります。

資格を取得する

特定のスキルや知識を証明する資格を取得することで、エンジニアとしての信頼性を高めることができます。特に需要の高い技術や専門分野の資格に挑戦することで、転職やキャリアアップの際にアピール材料となるでしょう。

おすすめの資格は下記の記事でご紹介しています。

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複数の職種の経験を積む

仕事上で対応可能な専門分野を複数持つことにより、自身のスキルの幅が広がると共に仕事の幅が広がっていきます。

対応領域を広げることは、エンジニアとしての市場価値を上げることに直結します。転職の際にも転職希望先の会社から注目され、採用につながる可能性が高くなります。

ITエンジニアとして成長するためにしてはいけないこと

ITエンジニアとして成長していく上で、やってはいけないことについて説明します。

  • 現状に満足すること
  • 自分の意見を持たないこと
  • 勉強しないこと
  • 納得できていないのに行動すること

現状に満足すること

現状に満足する=「現状肯定」を意味します。その結果自分の専門知識を磨いたり、仕事力の向上に努めたりするモチベーションが低下します。

現状を肯定してモチベーションの下がった状態が続くと、自身の成長がその時点で止まるだけでなく、業界の進化に取り残されるリスクもあります。常に新たなことに挑戦し続ける姿勢が必要です。

自分の意見を持たないこと

「開発はこう進めるべきだ」とか「この機能はこうあるべきだ」といった意見を持つことが重要です。意見を持つことで「これを実現するためにはどうすべきか?」という問題意識が生まれます。

問題意識を持つからこそ、その解決方法を考え、解決のための行動を起こすことができるのです。このプロセスが自身のスキルアップや仕事力向上、ひいては成長につながっていきます。

逆に、自分の意見を持たなければ問題意識も生まれず、考えることも改善に取り組むこともなくなり、成長が止まってしまいます。

知識の更新を怠ること

仕事を進める上で、最低限必要な知識の習得は避けられません。この習得を怠ると、求められる仕事すらこなせなくなる可能性があります。

また、最低限の知識を身につけるだけでは十分ではありません。開発作業を行うためには、製品やサービスの関連分野に興味を持ち、関連技術の知識を深めることに努める必要があります。

納得できていないのに行動すること

与えられた仕事であっても、その必要性や価値を自分なりに理解し納得することが大切です。納得できずに行動してしまうと、組織で合意が得られる成果にはつながりません。

その結果、信頼を得られず、重要な仕事を任せてもらえなくなる可能性があります。これは成長の機会を失うことを意味します。

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まとめ

ITエンジニアとして成長が必要な理由や成長する方法、市場価値を高める方法などについて説明してきました。

ITエンジニアは進歩の激しいIT業界の中にあり、これを牽引していくとても大切な役割です。そうした自信と誇りを持って仕事を進めていきたいものですね。常に自己研鑽を惜しまず、自己の持続的な成長を行える人のみに与えられた職業といえます。

この記事で紹介した方法や心構えを参考に、自分に合ったキャリアパスを描き、計画的に実行していきましょう。そして、その過程で得られる知識や経験を、自分だけでなく周囲の成長にもつなげてください。成長するエンジニアであり続けることが、より良い未来を切り開く力になるはずです。

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