転職回数が多いと職務要約の書き方に悩みませんか。しかし、職務要約はむしろ豊富な経験をアピールできるチャンスとなるのです。採用担当者を納得させる職務要約の書き方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
職務要約とは?
職務要約とは、職務経歴書の冒頭で過去の職歴をまとめて記載する部分です。以下の2点を理解して書くことをおすすめします。
- 職務要約の役割と採用担当者の視点
- 職務要約が特に重要になるケース
それぞれ詳しく説明します。
職務要約の役割と採用担当者の視点
職務要約の記載は、あなたのキャリアを凝縮して伝える絶好の機会です。過去の職務経験やスキルを簡潔にまとめたものであり、採用担当者が最初に目にする応募者の情報です。応募者が企業の求める人材に適しているかを即座に伝える役割を果たします。
採用担当者は膨大な数の応募書類を限られた時間内で精査しなければなりません。職務経歴書の冒頭に配置される数行の文章で、応募者が特定のポジションにふさわしいか判断される場合もあります。
効果的な職務要約は、採用担当者の目を引き、書類全体を詳しく読むきっかけを作ります。言い換えれば、職務要約は応募者の「セールスポイント」を簡潔に伝える広告のような役割です。特に転職回数が多い場合、職務要約で経験の一貫性や成長を示さなければなりません。
優れた職務要約は採用担当者に「この人と面接をしたい」という印象を与えます。自身の強みを効果的にアピールできるよう、職務要約の作成には十分な時間と注意を払いましょう。
職務要約が特に重要になるケース
特に職務要約が重要になるのが以下の4つのケースです。
- 転職回数が多い場合
- キャリアチェンジを目指す場合
- 短期間の職歴が多い場合
- 業界経験が浅い場合
自身に当てはまるケースがないか、詳しく確認してください。
転職回数が多い場合
転職回数が多い場合、職務要約は特に重要です。職務要約を通じて転職の理由をポジティブに説明し、各転職によって得られたスキルアップやキャリア形成の努力を強調することが不可欠だからです。
「短期間で多様なプロジェクトに関与し、迅速に成果を出す能力を培った」といった内容を記載しましょう。採用担当者に対して、転職回数の多さがデメリットではなく、豊富な経験と柔軟性を持つ機会となったことを伝える職務要約を記載することが重要です。
キャリアチェンジを目指す場合
キャリアチェンジを目指す場合、職務要約は過去の経験と新しい職種との橋渡しをする役割を担います。過去の経験が新しい職種にどのように活かせるのかを、明確に伝えなければなりません。
営業職からマーケティング職へのキャリアチェンジの場合であれば、営業職で培った顧客対応力や分析力が、マーケティングで役立つと記載しましょう。問題解決能力といった汎用的なスキルのアピールも有効です。職務要約でキャリアチェンジへの意欲と適性を効果的に伝えましょう。
短期間の職歴が多い場合
契約社員や派遣社員だと短期間の職歴が多くなってしまいます。職務要約では、スキルや経験の積み重ねを強調しましょう。「多くのプロジェクトを通じて幅広い業界の知識を得た」といった表現を用いて、短期間の職歴をポジティブな側面から捉え直します。
各職場でスピーディに成果を上げた具体例や、環境への適応力を示すエピソードを盛り込めば、短期間の職歴が強みであるとアピールできます。また、継続的な自己啓発や資格取得の努力を示せば、キャリアに対する真摯な姿勢が伝わるでしょう。
業界経験が浅い場合
業界経験が浅い場合は、職務要約で「短期間の成長度合い」や「新しいスキルの習得方法」を強調しましょう。具体的な実績や成果を盛り込めば、経験の浅さを補えます。「入社後6ヶ月でチーム生産性を20%向上させた」といった具体的な成果は、採用担当者にアピールできる内容です。
前職や学生時代の経験から得た汎用的なスキルが、現在の業界でどのように活かされているかを説明できれば、経験の浅さをカバーし潜在的な価値を示すことができるでしょう。
転職回数が多い場合の職務要約の書き方
転職回数が多い場合の職務要約の書き方を、以下の4つのポイントに沿って解説します。
- 転職理由をポジティブに表現する
- キャリア全体の一貫性を示す
- 数字や成果を具体的に示す
- 転職回数を活かした強みをアピール
職務要約を書く際の参考にしてください。
転職理由をポジティブに表現する
一般的に転職回数の多さはネガティブに捉えられがちです。転職回数が多いのであれば、転職の理由をポジティブな形で簡潔に説明しましょう。
スキルアップを目的とした転職であれば、「新しい技術を学び、キャリアの幅を広げるために、短期間で複数のプロジェクトに従事。特にWeb開発とモバイルアプリ開発で専門性を高めました」といった表現が効果的です。
プロジェクトベースのキャリアの場合は、「多様なプロジェクトに参画し、業界ごとの課題解決やシステム設計を経験。柔軟な対応力と短期間で成果を出すスキルを培いました」との表現がおすすめです。
環境適応力を強調する際には、「さまざまな企業文化や業務フローに迅速に適応し、複数の組織で期待以上の成果を達成してきました」といった表現がいいでしょう。
転職回数の多さがデメリットではなく、積極的なキャリア形成の結果であることを印象づけましょう。
キャリア全体の一貫性を示す
転職回数が多い場合でも、キャリア全体に一貫性があるとアピールできれば、採用担当者に信頼感を与えられます。一貫性を示すためには、以下の二つのポイントを意識するといいでしょう。
最初に軸となるスキルや経験を強調します。例えば「システムエンジニアとして、どの職場でも設計と開発に注力し、業務効率化を実現してきました。短期間で得た多様な経験が、幅広い視野と柔軟な対応力につながっています」といった表現がおすすめです。
次に、キャリアのゴールに向けた成長を説明しましょう。「プロジェクトマネージャーを目指し、複数の業界でプロジェクト運営経験を積む中で、チームリーダーとしてのスキルを磨きました」などの記述が有効です。
転職回数の多さが場当たり的な行動の結果ではなく、一貫したキャリア形成の過程であると印象付けることが重要です。
数字や成果を具体的に示す
転職回数の多さをカバーするために、職務要約に具体的な成果を示すのは不可欠です。数字や実績を示せば、転職回数よりも「何を達成したか」に注目してもらえるでしょう。
実績をアピールするのであれば、「3社での勤務を通じて計10件以上のプロジェクトを担当し、全プロジェクトで納期内の成果物納品を達成しました」といった表現が効果的です。複数の企業でいずれも高い成果を上げていることが伝わります。
チーム運営の成果を強調する場合は、「短期間で3つのプロジェクトを同時進行し、いずれもクライアント満足度95%以上を獲得しました」と記載すれば、顧客対応の高さが証明されるでしょう。
具体的な数字や成果を示すことで、短期間でも確実に結果を出せる能力の証明にもなります。採用担当者に対して強いアピールポイントとなるでしょう。
転職回数を活かした強みをアピール
転職回数は表現次第で強みとしてアピール可能です。「柔軟性」「多様な業界での経験」「幅広いスキル」などの表現で強調するのが効果的です。変化の激しい現代のビジネス環境において非常に価値のある人材だと伝わるでしょう。
柔軟性を強調する例としては、「多様な企業文化に適応し、短期間で業務を習得する柔軟性と対応力を持っています」といった表現が効果的です。
業界経験の豊富さをアピールするのであれば、「IT、医療、製造業など複数の業界での経験を活かし、課題解決力を強化しました」といった表現が有効です。
さらに、「複数の企業での経験を通じて、多様なプロジェクト管理手法やコミュニケーションスタイルを習得し、どのような環境でも効果的にチームを率いるスキルを磨きました」といった表現を用いれば、幅広いスキルをアピールできます。
採用担当者が納得する職務要約の例文集
具体的に採用担当者が納得する職務要約とはどのようなものでしょうか。
- 業界経験が豊富な場合の例文
- スキルチェンジを目指した転職の場合の例文
- 異業種転職が多い場合の例文
3つの例文を参考に、自身の職務要約をブラッシュアップしてください。
業界経験が豊富な場合の例文
業界経験が豊富な場合、専門性と実績を簡潔かつ印象的に伝えることが重要です。以下に、IT業界と製造業界での豊富な経験を持つ人材の職務要約例を示します。
例文1:
IT業界で10年以上の経験を持ち、特にWebアプリケーション開発において高い専門性を発揮。フロントエンドからバックエンド、インフラ構築まで幅広い技術領域に対応可能。大規模プロジェクトでチームリーダーとして業務を遂行し、納期内にシステムをリリースした実績多数。
例文2:
製造業界でのERPシステム導入プロジェクトを多数担当。業務フロー分析から要件定義、カスタマイズ開発まで一貫して携わり、全プロジェクトでコスト削減率15%以上を達成。クライアントとの信頼関係構築に自信があります。
具体的な専門性や役割、成果を簡潔に伝えており採用担当者に強い印象を与えるでしょう。
スキルチェンジを目指した転職の場合の例文
スキルチェンジを目指す転職の場合は、過去の経験と新たな分野との関連性を示すことが重要です。以下に、営業職からマーケティング職へ、システムエンジニアから人事コンサルタントへのキャリアチェンジを目指す例を示します。
例文1:
これまで営業職として、年間売上目標を120%達成するなど顕著な成果を残しました。現在はデジタルマーケティングのスキルを磨き、広告運用やデータ分析に強みを持つマーケティング担当者としてキャリアアップを目指しています。
例文2:
システムエンジニアとして培った論理的思考と問題解決スキルを活かし、人事コンサルタントとしてのキャリアチェンジを希望。過去の経験を活かし、データドリブンなアプローチで企業の人材課題解決に取り組む意欲があります。
いずれの例文も、スキルチェンジの妥当性と成功の可能性を採用担当者にアピールしています。
異業種転職が多い場合の例文
異業種転職が多い場合、多様な経験を強みとして表現し、新たな職場で活かせるかを示しましょう。以下に、複数の業界でキャリアを積んだ人材の職務要約例を示します。
例文1:
金融業界、IT業界、小売業界と複数の業界でキャリアを積む中で、異なる業界の業務フローや課題解決手法を習得。これにより、幅広い視野と柔軟な対応力を獲得。異業種の知識を活かした新たな挑戦を希望しています。
例文2:
多様な業界での勤務経験を通じて、業界ごとの特性を理解し、それに基づく効果的なソリューション提供を実現。現在は多岐にわたる業界知識を活かし、業界横断的なプロジェクトに取り組みたいと考えています。
いずれも異業種転職の経験を単なる職歴の変遷ではなく、知識とスキルを獲得する機会に捉え直しています。異業種転職の価値を効果的にアピールする書き方です。
職務要約で避けるべきNG表現
採用担当者にアピールするためには、職務要約でマイナスな印象を持たれてはいけません。特に避けるべき2つのNG表現「転職回数への焦点」と「ネガティブな言葉遣い」について解説します。
転職回数に焦点を当てすぎた表現
職務要約で転職回数に焦点を当てすぎると、マイナスイメージを持たれる可能性があります。
例え、「過去5年間で5社に勤務し、それぞれ異なる業務に携わりました」という表現は、転職回数の多さを強調するあまり「一貫性がない」「すぐに辞める人」といった印象を与えかねません。
また「短期間でさまざまな企業を経験しました」という表現も同様に、短期間の転職が強調されることで、採用担当者に「職場適応が難しい人」という印象を与えてしまいます。
NG表現を避けるには、転職回数ではなく職場で得たスキルや経験に焦点を当てましょう。
例えば「短期間で多様なプロジェクトに従事し、迅速に成果を出す能力を磨きました」といった表現に変更すれば、転職回数の多さをポジティブな成長や成果につなげた印象を与えられます。
転職回数はあくまで転職の背景や得た経験を書かなければなりません。ポジティブな視点から自分のキャリアを捉え直し、結果としてどのような能力や知識が身についたのかを示せれば、効果的な職務要約となるでしょう。
ネガティブな言葉遣いの影響
職務要約に限った話ではありませんが、ネガティブな言葉遣いは避けるべきです。
例えば「前職では人間関係がうまくいかなかったため転職しました」という表現は、ネガティブな理由を直接記載しており、採用担当者に「適応力がない」と思われる可能性があります。
また「業務内容が希望と異なり、やりがいを感じなかったため退職しました」という記載も同様で、現職や前職への批判的な内容は「不平不満が多い人物」と捉えられてしまうでしょう。
ネガティブな表現は、自身のキャリアや能力についての印象を悪化させてしまいます。ネガティブな理由は避け、ポジティブな理由に置き換えて記載しましょう。
例えば「キャリアアップを目指し、スキルの幅を広げるために転職を決意しました」という表現は、自身の成長意欲や前向きな姿勢を伝えられ、採用担当者に良い印象が伝わります。
また、自分自身の成長や新たな挑戦への意欲を強調すれば、採用担当者に対して積極的で前向きな姿勢をアピールできます。職務要約ではネガティブな言葉遣いは避け、自分自身の価値や成長志向を前面に出した表現を心がけましょう。
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まとめ
転職回数が多い方でも、戦略的に職務要約を記載すれば採用担当者にアピール可能です。ポイントは、転職回数の多さをデメリットではなく、多様な経験と成長の証として捉え直すことです。本記事でお伝えした書き方や例文を参考に、効果的な職務要約を作成してください。
ひとりで作成するのが困難であれば、エンジニアファクトリーの転職エージェントにご相談ください。過去の経歴を客観的に分析し、職務要約の作成をサポートいたします。
ライター:にのまえはじめ
・プロフィール
大手精密部品メーカーで社内SE・PGを経験。その後、国内のSIerに転職し生産管理システムの開発・導入・保守・運用を担当。現在は自らIT企業を立ち上げ、顧客企業のDX化やIT化による業務改善の支援を行っている。並行して企業サイトやWebメディアでライターとしても活動中。趣味は筋トレ・プロレス観戦。
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