エンジニアが転職でステップアップするには?①キャリアプランの立て方【体験談】

私は家電製品の商品開発におけるソフトウェア開発組織において、ソフトウェアエンジニアをキャリアのスタートとして、その後技術リーダーやマネージャーを経験し、何度かの転職も経験してきました。

そんな私の経験から、エンジニアとして転職してステップアップしたいと考える人に対して必要な準備と進め方を説明していきます。

この記事は以下の方におすすめです!

・エンジニアとして「転職」が気になり始めている方
・エンジニアとして実際に転職した人の例が知りたい方
・転職を見据えたキャリアプランの描き方を知りたい方

firstriver

ライター:firstriver

30年以上の会社生活を経験。家電機器に組み込むマイクロコンピュータのソフトウェアと周辺回路の設計を皮切りに、ソフトウェア開発部門、技術開発部門の開発リーダーやマネージャーに。その後、ケーブルテレビ配信の技術規格策定に携わる。現在は、化学メーカーの情報システム部門で各種システムやツールの導入・運用を担当。

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この記事の目次

転職は何のために?

転職したいと考える理由は、いくつかに分類されると思います。夫々の転職の理由によって、新たな仕事の探し方やその結果得られる仕事も変わってきます。

転職は人生において大きな節目となるため、自分でしっかりとその理由を整理した上で新たな仕事を探すことをおすすめします。

職種・職位を変えてキャリアアップしたい

現状の仕事が、自分で希望していたものではなく明確に就きたい職種が決まっているケースです。

例えば、

  • 現在はプログラマをやっているけど、システムエンジニアになりたい
  • 現在はシステムエンジニアをやっているけど、プロジェクトリーダーになりたい
  • 現在はプロジェクトリーダーをやっているけど、プロジェクトマネージャになりたい

など。

希望する職種・職位で活躍したいなら、相応のスキルを身につける必要がありそのためには具体的なアクションが必要です。自分で希望する職種・職位を目指して一歩踏み出すためには、おのずと準備の方法が決まってきます。

現在の会社で自己研鑽を行いながら引き続き実務を通して必要なスキルと経験を積んでいく方法があります。他方で、必要なスキルを習得して転職によりキャリアアップする方法も考えられます。

希望の働き方を叶えたい

現在の職場における働き方に関して何らかの課題があり、働き方に具体的な希望がある場合です。
例えば、以下のようなケースの解決手段の1つとして転職が現実的です。

  • 現在は残業時間や業務負荷が高く、ワークライフバランスの整った職場で働きたい
  • SES企業で客先常駐の形で働いているが、社内SEとして働き事業への貢献を実感したい
  • ITへの投資に積極的な企業で、新しい技術に触れたい

このような要望を叶えたい場合にも、転職が有効です。

給与をアップしたい

「給与の安さが不満で、アップするために転職したい」という気持ちは、転職の主要な理由の1つに挙げられます。ただ転職をすれば、「給与アップが約束される」というものではありません。

給与をアップするためには、その給与に見合った仕事の成果が出せるスキルを身につけなければなりません。

その上で、スキルを発揮できる仕事に就き、期待通り成果を出せて初めて給与アップにつながるということを理解する必要があります。

その他

会社の都合や契約の満了などに伴うやむない理由や労働条件などが良くないなどのケースもあるでしょう。転職にあたっては、しっかりとした労働条件の中で、自分の能力を十分に発揮したいと願うはずです。

このような職場に巡り合うためには、まずは自分のスキルをアップすることを考えるべきです。

私の場合、最初の転職理由は 会社の主幹事業の1つである製品事業が、海外メーカーの安い価格に押されて市場からはじき出されてしまい、その事業を止めざるをえなくなったことでした。

この事業の一員であった私は、事業の終了とともに、他の事業体への異動を命じられましたが、社外で別の道にチャレンジすることを選びました。

社外に飛び出した私を待っていたのは、決して楽な道のりではありませんでしたが、それまでの経験や実績に加え、希望する転職先の企業が要求するであろう知識を学び直し、受験したところ新たな職場を勝ち取ることが出来ました。要は、転職にあたっては十分な事前準備が欠かせないということです。

転職の目的を達成するためは?

前述の通り、転職の目的は色々と考えられますが、自分の希望する転職先で期待通り活躍していくためには以下の対応を強くおすすめします。

転職成功にはキャリアパスをしっかりと描くことが重要

将来、自分がなりたい姿として

  • 技術部門の最高責任者として、会社の技術的な牽引役を果たしたい
  • 技術部門において大規模なプロジェクトを牽引できるプロジェクトマネージャとして活躍し、会社にも貢献したい

など、色々と描くことができるはずです。更に、その時にどれくらいの収入を得たいかも含めて描いていきます。このように具体的な姿を描くことにより、その目標を達成するためのモチベーションに繋がっていくはずです。

以下では、入社してまだ間もない若手のエンジニアを対象としてプロジェクトマネージャになるためのキャリアプランを具体例として説明していきます。ある程度の経験あるエンジニアの場合には、自分の今の状況に照らして読み替えてみてください。

4ステップで詳細なキャリアプランを立てる

将来、自分がなりたい姿をできるだけ具体的に描いてみます。できれば10年以上先がいいです。会社の中で、どんな立場でどんな仕事に従事したいのか、どれ位の収入をもらいたいのかなどです。

最終的な姿に対して、3年程度の期間ごとに目標を設定します。3年としたのは、1つの目安です。これを4年とか5年または2年に変更しても大丈夫です。会社の状況や自身の思いを踏まえて設定すればOKです。

STEP
最初の3年(0~3年目)

プログラミング言語を身につけて、先輩のサポートを受けながら、プログラム開発ができるようになることを目指します。また、これに付帯する各種ドキュメントが作成できるようになる必要があります。

加えて、開発プロジェクトにおける開発の全プロセスを理解し、夫々のプロセスの内容と夫々のゴールをしっかりと理解します。

STEP
次の3年(4~6年目)

先輩に頼ることなく、1人前のプログラマとして1人立ちすることを目指します。

  • アサインされた担当部分の開発を全うして、しっかりと仕上げる
  • 開発の過程で発生した各種の問題点は、1件ずつ着実に潰していく
  • プロジェクト内で発生した各種課題に対して、積極的に解決を支援していく

以上の開発プロジェクトにおける自身の役割を全うし、これを繰り返していくことで、開発経験を積み、開発スキルを向上させていきます。

STEP
次の3年(7~9年目)

リーダーとして、チームを先導し、各種開発プロジェクトの成功に着実に貢献していきます。そのためには、

  • チームにアサインされた担当部分の開発を全うして、しっかりと仕上げる
  • 開発の過程で発生した各種の問題点は、チームとして1件ずつ着実に潰していく
  • プロジェクト内で発生した各種課題に対して、チームとして積極的に解決を支援していく

以上の開発プロジェクトにおけるチームの役割を全うし、これを繰り返していくことで、開発経験およびチームマネジメント経験を積んでいきます。

STEP
更にその次のステップ(10~12年目)

開発プロジェクトを統括できるプロジェクトマネージャになることを目指します。

  • 開発プロジェクトの目標である製品開発を推進し、しっかりとした品質と納期で仕上げていく
  • 開発の過程で発生した各種の問題点は、プロジェクトとして1件ずつ着実に潰していく
  • プロジェクト内で発生した各種課題に対して、プロジェクトとして積極的に解決を支援していく

以上の開発プロジェクトにおける役割を全うし、これを繰り返していくことで、開発マネジメント経験を積んでいきます。その先を考えるならば、複数のプロジェクトを推進できるプロジェクトマネージャという立場も想定できます。その場合には、年収は〇〇円以上を目標とする、などを設定することが可能です。

このように、夢を大きく描いて、意欲をもって取り組んでいけるような、キャリアプランを考えてみましょう。計画は大胆に立ててOKです。但し実行段階では一歩一歩着実に進めていくことが必須です。

また、計画を実行する過程で必要な修正は加えてOKです。なりたい姿を追記したり、目標年度を修正したりは、都度行っていくようにします。

あくまでその時の最新の状況に合わせて必要なら計画の修正を行いましょう。大切なことは、大きなゴールの目標に向かって、モチベーションを持って進めていく原点をここに整理し、忘れずに書き留めておくことです。

自分のスキル、経験の棚卸し

これまで自分が経験してきた仕事とその成果を振り返り、自分ができることを全てリストアップしてみます。

私の場合を例に挙げれば、プログラミング言語、デジタル回路設計(正確にはマイコン周辺回路などの設計)、OAスキル、プロジェクト推進・調整・管理業務に加え、各種ビジネス文書や技術文書の作成や特許提案文書の作成などです。

スキルや経験の棚卸しは一人で行うより、壁打ち相手がいた方がスムーズに進みます。IT業界特化の社内SE転職ナビのエージェントとともに、これまでの経験やスキルを振り返ってみましょう。

希望する仕事とのギャップのチェック

棚卸した結果と、転職先で必要とされるスキルとのギャップ(差分)のチェックを行います。この作業により、足りない部分が浮き彫りになってきます。

プログラミング言語のスキルはあるけど十分ではないとか、プロジェクト管理の経験はあるけど、網羅的な知識があるわけではないなど様々なことが考えられます。

ギャップを埋めるための行動を考える

このように、現在の自分が保有するスキルや経験と必要とされるスキルとのギャップが明らかになれば、これを埋めるためにどうしたらいいかを考えて、実行に移していきます。実行に移さなければ、いつまで経ってもより高いステージにステップアップすることはできません。

ギャップを埋める方法として考えられることは、

  • 現在の会社で引き続き経験を積む
  • スキル強化のために勉強する
  • 資格を取得する

などが考えられます。

明らかになったギャップを埋めるために「現在の会社で引き続き経験を積む」を選択した場合においても、ステップアップするために今の自分に足りないものが理解できて、目的意識を持って業務に取り組むことができるようになり、ここまで行ってきた作業は意味があるものと考えられます。

ギャップを埋めるための具体的な対策は、後編の「エンジニアが転職でステップアップするには?②理想とのギャップを埋める【体験談】」をご覧ください。

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まとめ

転職する目的と共に自身の今後のキャリアパスを再確認した上で、しっかりとした転職の準備を行っていくためにまずは、自分の経験やスキルの棚卸を行うところからスタートです。

現状のレベルでは不十分であれば、学習するなどしてスキルを強化し、場合によっては資格の取得を行いましょう。

ここまでしっかりと準備を行えば、転職エージェントのサポートを受けることができるはずです。

自分を信じて、希望する会社の面接を受けて、新たな仕事(=新たな人生)に踏み出されることを応援します。

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