サーバー構築とは?種類から構築の流れまで紹介

サーバー構築とは?種類から構築の流れまで紹介

サーバー構築とは、サーバーを業務で使える状態に構築することです。しかし、単にサーバーが動くように設定するだけでなく、要件の定義や設計を行ったりテストをしたりと、サーバー構築のプロセスは多岐に渡ります。

目的によって使用するサーバーやツールも異なるため、サーバー構築は広い専門知識と経験が求められる奥が深い業務です。

本記事では、サーバー構築の具体的な手順の他、サーバーやOSの種類、構築のポイントなど、サーバー構築に関する情報を網羅的に解説します。

これからサーバー構築を行うエンジニアの方は、ぜひ今後の参考にしてください。

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この記事の目次

サーバーとは

サーバーは英語の「Server」を起源とし、「提供するもの」「奉仕するもの」という意味を持っています。ITの世界では、情報を保管し、ユーザーからのリクエストに応じて情報やデータを提供するのが、サーバーの役割です。

例えばWebサーバーであれば、ユーザーがWebサイトを閲覧したい時、ブラウザからのリクエストを受け取ったサーバーが、対応するWebページのデータを送り返します。このような形で、企業のシステムや私たちが普段利用するサービスの多くは、サーバーを介して動作しています。

上記はほんの一例です。アプリケーションサーバーや、データベースサーバー、Webサーバー、メールサーバーなど、それぞれのサーバーには特定の目的や役割が与えられます。

サーバーの種類はいくつある?

サーバーには、物理やクラウドのような仕組みの違いや、サービス形態の違いによって複数の選択肢があります。

ここでは主な種類である以下の4つについて解説します。

  • レンタルサーバー
  • VPS
  • クラウドサーバー
  • 専用サーバー

レンタルサーバー

レンタルサーバーとは、すでに構築・運用されているサーバーを、利用者が月額制の料金でレンタルするサービスを指します。

初期投資がおさえられ、監視やセキュリティ更新などの運用業務がプロバイダ側で行われるため、運用の手間もかからないのが特徴です。

一方で、レンタルサーバーは他の利用者と共有するため、他のサイトのトラフィックやウイルス感染の影響を受ける可能性があります。またカスタマイズの自由度が低い点もデメリットです。

レンタルサーバーは、手軽にサーバーを導入したい個人や、小規模なビジネス向けにおすすめです。

VPS

VPSは、物理サーバーの中に仮想的にサーバーを構築して提供するサービスです。これにより、他の利用者の影響を受けずに、専用サーバーのように利用できます。

VPSの一番のメリットは、専用サーバーに近いパフォーマンスを低コストで実現できることです。また、仮想サーバー内を自由にカスタマイズできるため、システムの調整や最適化をしやすいという特徴もあります。

ただし完全なリソースの独占は難しく、物理サーバーに問題が発生すると、その中にあるVPSも影響を受ける点は注意が必要です。

中規模のWebサイトやアプリケーションを運営する方や、専用サーバーのコストをおさえたい方などにはVPSがおすすめです。

クラウドサーバー

クラウドサーバーは、インターネットなどのネットワークを通じてサーバーを提供するサービスです。VPSと似ていますが、リソースの拡張や縮小が柔軟に行える点で異なります。

この柔軟性により、需要に応じてリソースを迅速に調整できる点が大きなメリットです。一方で、コストが使用量に応じて変動するため、利用状況によっては想定よりも費用がかさむデメリットもあります。

高いアクセスが予想されるプロジェクトや、急成長するスタートアップ企業など、需要の変動が激しい状況では、クラウドサーバーが有力な選択肢となります。

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専用サーバー

専用サーバーは、名前の通り1台のサーバーを、1つの組織や個人が専有する形式のサーバーです。自社のサーバールームに設置する場合や外部のデータセンターに設置して運用を委託する場合があります。

全てのリソースを専有するため、他のユーザーの影響を受けずに高いパフォーマンスを発揮できる点が大きなメリットです。反対にデメリットとしては、設定や管理が煩雑になりやすい点や、初期コストが高くなる点が挙げられます。

大規模なWebサイトやアプリケーションを運営する企業、特定のセキュリティや性能の要件がある場合などにおすすめのサーバータイプです。

サーバーのOSの種類

サーバーを構築する際、サーバーの種類の他に、OSの違いにも考慮が必要です。ここでは、代表的な以下の3つのOSを紹介します。

  • Windows
  • Unix
  • Linux

Windows

Windowsは、マイクロソフト社が開発しているOSです。Windowsは、法人向けのクライアントPCのOSに多く採用されています。そのため、普段からWindowsを使っているエンジニアにとっては、使いやすいサーバーOSといえるでしょう。

ただし、使用するバージョンや設定によって、GUIが異なる場合があります。特定のGUIに慣れている場合、システムの設定や管理を行う際に戸惑う可能性がある点は、注意が必要です。

Unix

Unixは、1970年代初頭にAT&Tベル研究所で開発されました。現代の多くのサーバーやスマホOSの基盤となっている、信頼性と拡張性が高く評価されるOSです。

Unixの特長には、シンプルかつ強力なコマンド群や、安定性やセキュリティの高さが挙げられます。一方で、コマンド中心の操作のため、エンジニア初心者やWindowsのGUIに慣れている人にとっては、取っ付きにくいOSともいえます。

Linux

Linuxは、Unixをベースに開発されたオープンソースのOSで、世界中のサーバーで広く利用されています。

利用者が多いことで情報が豊富な点や、カスタマイズの自由度が高い点、動作が安定している点などが特徴です。一方で、Unixと同様にコマンドベースのUIであるため、慣れが必要な点はデメリットといえます。

Unixとの大きな違いは、オープンソースとしてコードが公開されている点です。そのため、世界中のエンジニアの手によって、様々なバージョンや派生版が作成されています。

サーバー構築とは

サーバー構築と聞くと、OSとソフトウェアのインストールや、設定作業などをイメージする方が多いと思います。もちろんこれもサーバー構築の一部ですが、それだけでは完結しません。

実際の構築作業に入る前に、まずはどのような機能や性能をサーバーに求めるのか、要件をしっかりと定義することが求められます。そして、それらの要件に合わせて適切な機器やミドルウェアを選定し、全体のシステムを設計することが重要です。サーバー構築は、このような計画や設計を含めた一連の工程によって成り立っています。

サーバーを構築するには?

ここでは、サーバー構築の具体的な手順を以下の4ステップで解説します。

  • 要件定義
  • システム設計
  • 構成図作成
  • サーバー構築

要件定義

システム開発と同様に、サーバー構築でも最初に要件定義が必要です。要件定義によって、サーバーを導入する目的や役割、期待する機能を明確にします。

具体的には、クライアントや関連部門からヒアリングし、何のためにサーバーを構築するのか、どれだけの処理性能や容量が必要か、障害への耐性はどの程度必要か、障害が発生した場合の復旧時間はどれくらいかなどの要件を定義します。

サーバーを構築するための基準となるため、要件定義は重要な工程の1つです。

システム設計

要件定義でサーバー構築の目的や方針を明確にしたら、次は実現方法を具体化するフェーズです。要件定義をもとに、どのようなOSを採用し、どれだけのCPUやメモリ、ストレージが必要かを決めていきます。

他にも、冗長化やバックアップの方法など、サーバーの安定性や信頼性を担保するための方式も設計します。

また、要件を実現するためには、適切なミドルウェアの選定も必要です。データベースやWebサーバーなど、アプリケーションに必要なものや、バックアップやセキュリティなどの非機能要件を実現するものなど、要件に合わせて最適なものを選定します。

最後に、サーバーの具体的な設定値やパラメータもこの段階で定義します。

構成図作成

サーバーを構築するには、システム全体の構成を視覚的に理解する必要があります。このために作成するのが「構成図」です。

まずはシステム構成図を作成します。システム構成図はシステム全体の構成を示す図で、サーバー機器だけでなく、ネットワークやアプリケーション、ストレージやデータベースなどの関係性を示します。

ネットワーク構成図は、ネットワークの具体的な構成を明確にする図です。ネットワーク回線の接続先や、ルータ、スイッチ、ファイアウォールといったネットワーク機器の配置や接続関係を記載します。

最後にサーバー構成図です。サーバーの内部構造や配置、サーバー間の関係性などを表します。これにより、各サーバーの具体的な配置や関係性が視覚化されるため、構築の際にガイドラインとして役立ちます。

サーバー構築

作成したシステム設計や構成図をもとに、実際のサーバー環境を構築していきます。

物理サーバーの場合は、まず設置場所の確保や配線作業が必要です。レンタルサーバーやVPS、クラウドサーバーの場合は、このような物理的な作業を省略できるメリットがあります。

次に、サーバー上での設定作業です。OSのインストールや初期設定、ネットワークのプロパティ設定などの基本的な設定を行います。その上で、システムの要件に合わせてミドルウェアやアプリケーションのインストール、設定を進めていきます。

すべての設定が完了したら、最後に行うのはテストです。基本的な動作や性能の測定、障害時の復旧など、あらゆる運用を想定したテストを行います。

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サーバー構築のポイント

サーバーの構築時は様々な考慮が必要ですが、その中でも特に重要なポイントを4つ紹介します。トラブルや損失に繋がる可能性があるため、しっかりチェックしておきましょう。

要件に合ったサーバーを選ぶ

サーバー構築で大切なポイントの1つが、要件に見合ったサーバーの選定です。業務量や使用する台数を踏まえ、最適なサーバースペックを見極めることが求められます。

サーバーのスペックが不足していると、業務の効率や応答速度に影響が出る恐れがあります。これはUX(ユーザー体験)を悪化させるため、避けなければなりません。しかし、反対にスペックが高すぎると、予算が無駄になってしまいます。初期費用やランニングコストが増加するリスクがあるため、バランスの取れた選定が重要です。

将来の業務拡大やサービスの増大も計算に入れつつ、最適な選定を行いましょう。

セキュリティ対策を徹底する

サーバー構築において、セキュリティ対策は重要な要素です。近年、情報漏洩やサイバー攻撃が増加しており、その被害によって企業は大きなダメージを受けることがあります。このようなリスクを最小限に抑えるために、セキュリティ対策の徹底は不可欠です。

セキュリティ対策としては、セキュリティソフトの導入やファイアウォールの設置などが考えられます。これに加えて、運用面での考慮も必要です。アクセス制御や、パスワードポリシーの制定、従業員へのセキュリティ教育など、日常的な操作に潜むセキュリティリスクを排除する取り組みが求められます。

障害対策を行う

サーバー障害対策には、「障害の起きにくさ」と「障害発生時の影響範囲の縮小」という、2つの観点が存在します。

障害を起きにくくするには、サーバーやネットワークの冗長化が必要です。1つの箇所が故障しても、別の部分がその役割を担うことでシステム全体の停止を回避できます。

一方、障害が発生した場合の対策として、定期的なバックアップの取得と、それを用いた復旧手段の整備が重要です。実際の障害時に迅速に対応できるよう、作成した障害復旧手順は事前にテストしておきましょう。他にも、障害を早期に検知するための監視機能の導入も、障害対策として有効です。

外部委託を検討する

サーバー構築は、単にハードウェアをセットアップするだけではなく、ネットワークの設定やセキュリティ対策、障害対策といった関連分野を含めた広い専門知識が必要です。

知識や経験が不足していると、サーバーの設置自体は成功しても、運用開始後にトラブルが発生する可能性もあります。例えば、セキュリティ設定のミスによる情報漏洩、性能設定の誤りによる業務効率の低下などが考えられます。

そうしたリスクを避けるため、外部の専門業者にサーバー構築を委託するのも、選択肢の1つです。専門家の知識や経験を活用すれば、安全かつ効率的なサーバー構築が可能となります。

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まとめ

サーバーまとめ

本記事ではサーバーの種類やサーバー構築の手順、構築時のポイントなどを解説しました。

サーバーやOSには複数の種類があり、構築の手順も要件定義から設計、構築など多岐に渡ります。他にもネットワークやセキュリティ、障害対策にテストなど、サーバー構築には様々な専門知識が必要です。

そのため、サーバー構築のエンジニアとして活躍するには、広い知識の習得と豊富な経験が必要といえます。ただし知識や経験は一朝一夕で身につくものではないため、まずは範囲を絞って構築の実績を積むことから始めると良いでしょう。

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